見学・研修

美山ちいさな藍美術館を訪れて 本科 加納有芙子

5月24日、美山にある新道弘之さんの工房にお伺いしました。
今回は、本科生のレポートを掲載します。

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京都府南丹市美山町にある藍染工房”ちいさな藍美術館”を訪ねた。普段学校では、先染めである織を勉強をしているわたしにとって”染め”という分野はすこし新鮮に感じられ、またいまひとつイメージできない世界であった。濃い青色で古来から存在する色。自然からとれる染料。ジャパンブルー。・・・・といったくらいのぼやけたイメージとあとは、授業で見た”ブルーアルケミー”というドキュメンタリー映像で得た知識くらいであった。

スクールがある京都市左京区静市から美山まではバスで2時間半程度だった。窓からみえる景色は徐々に変わってゆき緑が深めき透明な空気さえも覚えるほどの風景の中美山に到着した。美山の村は丘のように膨らみをつくっている山と山の間にすっぽりと入りこんでいてなんとも可愛らしい印象がした。南には風景を彩るように川が流れていて、入母屋造りの家々が秩序なくぽこぽこと点在し、その間を縫うように小道がなだらかに続いていた。工房はさらに小道を進んだところあり草の香りが強いところだった。美山へ来るのは今回が初めてだったが、ここに藍染の工房を持つことはとても恵まれているように感じた。他の家々と同じように造られた茅葺屋根のある工房は、計算されてそこに在るというよりも、自然発生的にそこに存在しているように感じられて、風景と同じようにそこに佇んでいた。

新道さんがここに工房を構えたのはいまから40年近く前のことだ。当時はここに移住してくる人は珍しく、かつ社会的にも都市から地方へ出ていくのも稀なことだったようだ。そんな中ここに工房を構えた理由はより自然に近い場所・状態で藍染めをするためであった。藍染めには『天然の水・発酵菌・灰汁作りの灰』が欠かせないため町の中心地では難しいのだと語ってくれた。玄関から右手にすすんだ建物の北側が工房になっていて、そこには藍の甕が土間に埋められている。ここで藍の発酵から染めまでを行っている。工房内で藍がぷくぷくと発酵しているのを見るとなんとなく新道さんが言う自然に近い状態というのがわかるような気がした。藍の染料を見るのは今回が初めてだったが、まずは甕に建っている藍の濃厚さに驚いた。それは生命感があり、その瞬間もゆっくりと発酵を続けているとわかるようだった。

わたしにとっての新しい発見は、藍染めで染められる色のバリエーションがいかに多いかというこだった。実際に新道さんは近日に仕込んだ甕(①)と冬に仕込んだ甕(②)を染め、その色の違いを実演してくれた。①と②の甕では、表層の藍華の出方や見た目の雰囲気も異なっていて、実際に①の甕により染められたものは、濃紺ともいうべき藍色であり、他方はやさしくて弱った水色で染められた。還元の過程で染料が空気にふれて色が変化してゆくのもとても幻想的だった。同じ藍を同じ工房で同じ人が仕込んだものであるのに、仕込みの時間だけでこんなにも色に違いが出るのだと知り驚いた。また仕込みの年月だけでなく、その年の気候や藍の状態によっても色が変化するのだという。昔の染めの職人は、その日の甕の状態からどのような色ができるのかを予想ができたのだろうか。それはもともと色のイメージが明確にあり、それをコントロールしてゆく化学染色とは全く違い、藍染めで色をコントロールすることは神業のように思えた。しかし、その偶然であっても生まれた色が、きっと愛されるべき色だったのかと思うとそんな文化や感覚もすばらしいと思った。
藍染の色について調べていると日本には”藍48色”という言葉があることを知った。藍から抽出される色がいかに多いかということを表現していて江戸時代に生まれた言葉のようだ。そこには薄い藍色から濃い藍色までさまざまな藍の色が存在していて、一般的に浅黄、縹、納戸、紺、褐・・・などの名称が使われている。色は無限にあるものだが、色の名前は数えられるほどしかない。藍についての色名がこれほどにまで存在するということは、日本人にとって藍やその色彩というものがいかに身近なものだったということを表しているのだろう。

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本科 尾州産地テキスタイル課外研修

尾州テキスタイル研修レポート」本科 西澤 彩希

9月19日、日本最大の毛織り物産地である尾州の織物について学ぶため、私たちは3ヶ所の施設を訪れました。
京都からバスに揺られて約2時間半、岐阜県羽島市にある『テキスタイルマテリアルセンター』に到着しました。
こちらの施設は、日本全国のファッション衣料用素材を集めた国内最大のテキスタイル資料館です。
出迎えてくれたのは大量の生地。素材を毎年追加しているとの事で、色とりどり、素材もさまざまな生地が部屋全体に並んでいました。実際に手に取り、触れながらデザイナーの方による素材講習を受けました。

まず、ファンシーツイードを中心に制作されている足立さんの講習を受けました。
たくさんの生地を用意して頂いた足立さんは、一つ一つ生地を見せてくれて、制作工程やその生地が出来るまでの流れを語って頂きました。制作に対する情熱が伝わってきて、その情熱がより良いもの作りへの活力になるのだと思いました。珍しい技法や素材を用いる事で、生地にさまざまな表情が生まれます。
足立さんは「普通の事では認められない。尾州の限界を考えて制作している」と仰っていました。
中でも印象に残っているものが左右の柄が違うジャケットです。隣り合う柄の中心に縫い合わせはなく、織り方を工夫して一枚の生地に柄が織られていました。今までの経験と技術、そして挑戦する心意気があったからこそ生み出された生地に触れられ、とても幸せで贅沢な時間を過ごせました。

「失敗した事を積み重ねて、どうやったらうまくやれるか考える」足立さんも過去にとんでもない失敗をしたと仰っていました。私は今までの織りの授業で、失敗ばかりしていると感じていました。糸が絡まったり、緯糸が飛んでいて何センチも前に戻ったりしていて時間に焦り、思い通りに進まない自分にもどかしさを感じていました。
そんな時に聞いた足立さんのこの言葉に私は励まされました。今までした失敗は今後の役に必ず活かせるだろうし、失敗しても挑戦する事が大切なんだと学びました。

続いて、ジャカード織物をメインに企画から販売まで幅広く活躍されている岩田さんの講習を受けました。
岩田さんには、染色された糸や、織物の設計図にあたる紋図などを見せていただきました。
それらの中に、たくさんの丸い穴が開いた厚紙がありました。これは、紋紙と呼ばれるジャカード織機に付属し、
その穴を読み取って柄を織る、言わば柄のデータです。複雑な模様になるほど紋紙の枚数は増えます。
岩田さんはこの紋紙を見ただけで、ある程度どのような柄が織られるかがわかるそうです。

今まで培ってきた豊富な知識を、足立さんや岩田さんは私たちにわかりやすいように教えてくださいました。
織物というのは、どの工程も緻密で繊細で、仕組みを理解するのは難しいですが、織りあがったものを見ると、
達成感や感動が生まれます。その分だけ根気や技術力が試されますが、二人の講義を受け、努力すれば素晴らしいものを生み出すことができるのだと痛感しました。

次に、愛知県一宮市にある「葛利毛織工場株式会社」さんへ見学に行きました。
こちらは主にメンズスーツ生地を制作されている工場です。懐かしさのある佇まいの工場は、昔から使われているションヘル織機のガシャンガシャンというリズミカルな音が響いていました。
ションヘル織機は人の手が加わります。私たちが普段学校で使う手織り織機同様、経糸・緯糸の準備、整経、綜絖通し、筬通しもすべて手作業で行われ、根気と熟練された技術を要します。
綜絖・筬通しの作業は大体6000本位の糸を通すのに3日はかかるらしく気の遠くなりそうな作業に圧倒されました。そして製織は1日に10mくらいしか織れないとのことです。
スピードと大量生産を重視される現代でなぜ時間と手間のかかるションヘル織機にこだわるのか、それは手織りの風合いを保つ為だそうです。ションヘル織機の特徴は、低速で織り進めるため、繊維を傷めることなく優しく丁寧に織られていきます。そのため手触りが柔らかくしなやかさある生地が出来上がるそうです。そうして作られたスーツに魅了され、芸能人や海外ブランドからオーダーされています。
工場を見学していて一番に感じたことは、従業員の方が織機と寄り添いながら作業をしていたことです。
一つ一つの作業を大切にされており、織りあがった後もミスがないか入念にチェックされています。
そうしたことが信頼につながり、世界進出できたり、価値があるものと認められるのだと思いました。

最後に伺ったのは岐阜県羽島市にある「三星染整株式会社」さんです。
繊維素材の染色・整理加工をしている工場での加工風景を見学させていただきました。取り扱っている繊維素材は幅広く、天然繊維から合成繊維まで加工を行っています。機械によるさまざまな加工技術を見せていただきました。加工されたものは最終的に検査が行われます。生地の幅、色、風合い、キズがないかなど、目視で検査されています。出荷後も何か不具合があった時などのために管理カードがあるとの事です。

生地はさまざまな工程を経て私たちの手元に届きます。
今まで当たり前のように生地に触れていた事が、実は多くの方が関わったからこそ出来たものだと学びました。
今回の見学で、テキスタイルの奥深さを知る事ができ、今後の制作の意欲を高める事ができました。

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足立氏講義の様子                  岩田氏講義の様子
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葛利毛織工場株式会社
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三星染整株式会社

「Made in Japanを支えること」本科 岡田 弥生

ここ10年ほど、日本の伝統工芸は世界で注目を集めつつあります。
第2次世界大戦に敗戦してから、日本人はアメリカやヨーロッパ各国に追いつこうと必死に努力をしてきました。
その結果、世界のどこにも負けないもの作りの文化が生み出され、一方で、日本の伝統文化は高齢化が進み後継者不足に頭を抱える時代を迎えました。

伝統を守り続けることは、新しいものを生み出し続けることでもあると学んだ尾州への研修。お話をしてくださった方々が、尾州でもの作りをしているということに誇りを感じている様子に大変刺激を受けました。

テキスタイルマテリアルセンターでは、お二人のデザイナーの方にお話を聞くことができました。ツイードを得意とされている足立さんのお話からは、新しいものを生み出し続けることの面白さと大変さを学びました。足立さんが生み出したテキスタイルはどれも斬新で、フィルムを織り込むような素材使いから、出来上がった布地からあえて糸を抜くなどの発想には伝統を超えたもの作りの面白さを感じました。続いてジャカード織を専門とされてる岩田さんのお話は、織機をいかに人が操るかで、織物に無限の可能性を見出すことができるように思えました。岩田さんに見せていただいた鳥模様の織物は一羽の中に様々な織り方がなされており、ただ色を変えたりするよりも味のある鳥が浮かび上がっていました。

お二人の話では、世界のファッションシーンを牽引するようなメゾンからもオーダーが来るということでした。
ファッションデザイナーとどのように仕事をするか。彼らの求めるものをどのように布に表現し、できないことははっきりと伝え、できることを最大限のものを作り上げるテキスタイルデザイナーという仕事についてもお話が伺え、貴重な経験となりました。

続いて、スーツ等を生産している葛利毛織の工場を見学させていただきました。現在では高速織機が普及し、大量の布地を短時間で織り上げることが当たり前となっている中、低速だからこそ手織りの風合いを残した布を織ることができるションヘル織機を昭和初期より使い続けられているそうです。そちらで織られたという布地は、確かに空気を含んだような柔らかさのあるものばかりでした。

最後に三星染整の整理加工工場を見学させていただきました。今まで、スクールでは織ることを中心に学びましたが、製品になるまでには織りあがったものにこんなにもたくさんの工程を経て加工を施さなければならないのかということに驚きました。何度もサンプルを作成し、その布地に最適な外観と触感を作り上げることは、きっと私が想像する以上に難しい作業だったと思います。

made in Japanの製品が世界で注目される今日、尾州で作られているような力強い日本の伝統を何らかの形で支える人材になりたいと強く感じました。

美山見学レポート 本科 岡田弥生

「人間だから失敗があります。でも、それが愛らしいし、面白い。」
藍染作家の新道弘之さんが、一枚の着物の前でおっしゃった言葉が、とても印象的に私の心に残りました。
4月に入学してからスクールでは、毎日が失敗の連続です。そんな私にとって、新道さんのこの言葉は、
自分を励ましてくれるような、そして、決して完璧ではない人間が作るものの暖かさや豊かさについて考えさせられる一言でした。

心配していた雨も、バスを降りる頃には太陽が顔を出すほどになり、
スクールを出発してから2時間ほどで私たちは京都府南丹市美山町に到着しました。
山々に囲まれた美しい村に、茅葺屋根がならぶ風景は、いつも私が生活している風景とはまるで違い、
何度も深呼吸をしたくなるような世界が広がっていました。

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ブルーアルケミーというDVDの中で紹介されていた新道さんの工房と美術館を訪ねるべく、
ゆっくりと村の中を歩いて行きました。
工房までの道のりは、昔ながらの郵便ポストや村ののどかな景色が続き、
緩やかな坂道を登ると、木でできたささやかな看板が見えてきました。
「ちいさな藍美術館」の中へお邪魔すると、早速、藍花の咲く甕が一つ目に入り、
DVDの中で見た藍の工房へ来たのだという実感が湧いてきました。

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美術館では、入ってすぐに展示されてあった素朴な丹波布が目に留まりました。
新道さんのお話によると、かつての農家の女性が家で織っていた着物だそうです。
民藝運動の提唱者でもある柳宗悦が北野天満宮の市でこういった着物を発見し、
のちに民藝として知られるようになったとのことでした。
富裕層が着るような豪華絢爛な着物ではなく、こうした素朴で、無駄がなく、
普通の人々の生活に沿ったものに光が当たり始めたのは、歴史の流れの中でも、興味深い事です。

工房では、新道さんが実際に藍染を見せてくださいました。
布を何度か藍甕に浸けた後、パタパタと空気中で酸化させると、緑がかっていた布が鮮やかな藍色に変わってゆき、
その姿はまさに不思議な魔法のようでした。
和室では、新道さんが世界各国の様々な布地を見せてくださいました。
中でも新道さんがこれまでに染められた布地で、新道さんのお母様がご自身の棺掛けを作られたというお話が最も印象的でした。

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今日では、街を歩けば数え切れないほどの機械で作られた製品が並び、
いわゆる「手仕事」で作られたものを見つけるのは、とても難しくなりました。
そのような時代だからこそ、人が手で作ったものの温かさや面白さ、
愛らしさについて考えながら、これからの制作に挑んでいきたいと思います。
美山で学んだ事は、きっと、今後何度も思い出され、
その度に美しい景色と新道さんの言葉が私の心に浮かんでくることでしょう。

美山町・北村を訪ねて 本科 龍山千里

5月27日、藍染めによる創作を行なう新道弘之さんの工房を見学するため、私達は美山町・北村をおとずれた。
立派な北山杉をバスから眺めながら、京都の山奥深いほうへ向かっているのを感じつつ、
着いたらそこは、時間の流れがまったくちがうように思えるほどに、しずかで緑ゆたかなところだった。
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美山・北村町

今回見学でお世話になった新道弘之さんは、学生の頃より藍染めに魅せられて、
長い間制作活動や研究を続けてこられた。そのなかで彼が、こつこつと収集してきたものを
展示した「ちいさな藍美術館」も工房に併設されており、わたしたちが伺ったときは、
日本の藍染め絞り、また全世界各地でつくられてきた藍染めのコレクションを見ることができた。
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日本の藍染め絞り
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中国の藍板締め絞り

まず、藍染めをするには藍の植物を染料化する必要があり、藍を染料として使用するには、
水と酸素を使って藍の色素そのものを抽出する方法、または葉から堆肥をつくる方法の
大きくわけて二種類がある。日本では古くから、蓼藍の葉を発酵させて堆肥をつくる方法で
藍染めが行なわれており、堆肥は「蒅(すくも)」と呼ばれる。石灰と木灰の灰汁を使い、
蒅を発酵させ、7〜10日かけて染液を作るとのこと。事前に観賞した「BLUE ALCHEMY」*でも
出てくるように、新道さんはこの工程のなかで、日本酒も藍甕のなかに入れて発酵させる。
職人一人ひとり、独自のレシピがあり、今ではようやく勘で染めることができるようになった
新道さんも、そこに辿り着くまでには長い時間が必要だったと話していた。

新道さんが考案した新しい絞り技法による藍染めの工程の一部もみせていただいた。
どのように手を動かせば、よりうつくしい模様ができるか研究を重ねて生まれた絞り模様には、
削ぎ落とされた美を感じた。
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工房のなかに並ぶ藍甕
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絞り染めが施された布を水洗する様子

今回、一番わたしが心を動かされたのは、新道さんの制作してきた布の切れ端を、
お母様が繋ぎ合わせて制作したという藍染めのパッチワークだった。
それはお母様がご自分の棺にかけるために制作された布で、最期を見送る際に使われたそうです。
染めた布地を隅々までいつくしむ、新道さんご夫妻・お母様のつくる姿勢に学ぶべきところがあった。
また、純粋にある人のことを想って、それだけの為につくられたものというのは深い愛情を感じられ、
ことばにしきれない感動があった。
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藍染め布のパッチワーク
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藍染め布のパッチワーク拡大図

新道さんはこれをわたしたちに見せながら、「きれいだろう。俺が作ったんじゃないもの。
自然が作り出した模様だから、きれいなんだ」ということをおっしゃっていた。
藍染めによって生まれる色にしろ、または絞りでできる模様にしろ、
人が作り出すものはどんなに完璧で整ったものを目指しても、
どうにもコントロールしきれない「ずれ」のようなものが自然と生まれる。
それはテキスタイルに関わらず、つくること全てにおいて言えることだと思うが、
実は、人はそこに美を見出しているんだということに気づいた。

長年藍を研究されてきた新道さんのお話を通して、それは簡単な事でないことも同時にわかり、
美しさを目指して人が何かを作り出すとき、自然のちからが関与できる隙のようなものをつくることが、
ひとつの「技術」なのかもしれないと思った。

*『Blue Alchemy -Stories of Indigo-/ブルーアルケミィ ―藍の物語―』 アメリカのドキュメンタリー監督、Mary Lanceさんが世界各地の藍の現場を訪ね、7年の歳月をかけて制作したドキュメンタリーです。新道さんのインタビューや工房の様子をはじめ、世界の藍製造の貴重な映像をみることができます。

染司よしおか工房見学・紅花染体験 本科 藤田

「お水取り」「お松明」の名前で知られる東大寺・修二会。毎年3月に行われる行中、
練行僧によって作られた椿の造り花がご本尊に捧げられます。
この造り花の材料となる和紙は、京都にある「染司よしおか」で梔子と紅花を用いて染められています。
1月22日、本科の学生は染司よしおかの工房を訪ね、
紅花から和紙を染める染料を抽出する工程を体験してきました。

紅花からは黄色の染料と紅色の染料が取れますが、ここでの紅花染めには黄色の染料は使わないため、
まず花びらを水の中でひたすらもみ込み、水に溶けだした黄色の色素を取り除きます。

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その後、さらにもみ込みながら花びらに残った紅色の染料を抽出します。
この染液を濃縮していき、水分を取り除くと、和紙を染めるための泥状の紅が出来上がります。

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染司よしおかでは、植物染料だけを使い、助剤なども「稲藁の灰汁」や
「烏梅(うばい・梅の実をいぶしたもの)」を用いるなど、すべて自然界にあるもので染めています。
化学染料を使うかわりに手間と時間をかけ、鮮やかな色彩が生み出されていました。

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工房の方から「この工房では新たな試みはせず、文献に残っている手法でしか染めない。」
というお話を伺って、新しい色を作りたくなることもあるのではないかと思い、
ものを作り続けていくためのぶれない理念の大切さを実感しました。

また、「だんだんと質のよい紅花が入手しにくくなっている」という現状も伺い、
現代の環境で古の技術に挑むには、手間がかかるという以外にもさまざまな難しさがあることがわかり、
技術は伝統的であっても、現在の環境を考え、
未来の展望を計る広い視野が大切なのだと感じた一日となりました。

美山のちいさな藍美術館を訪ねて 本科 金子かおる

6月12日、藍染め作家の新道弘之さんの工房を訪ね、京都府南丹市美山町に行きました。

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美山に向かうバスの中で見た映画『ブルーアルケミィ ―藍の物語―』*はとても興味深く、
特にインドでのプールの中で藍の染料を出す作業が印象に残りました。
緑色の液体が徐々に藍色になっていく様子には驚きました。

初めての美山。だんだん山奥に向かうにつれて期待感が高まります。
バスを降りると日本昔話の世界が広がっていました。
茅葺き屋根の景色もさることながら、空気がとても澄んでいてとても清々しい気分になりました。
小さな藍美術館まで景色を楽しみながら向かいました。
新道さんの工房は茅葺きの家の中でも大きいそうで、独特のゆったりとした空気が流れていました。

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2階の美術館は新聞の記事で見たよりも広く、全面に大きな布が広がっていて圧巻でした。
今回は日本の藍染めの展示は無く、ヨーロッパの藍染めの展示でした。
ヨーロッパの染色に藍染めがあった事にとても驚きました。
ヨーロッパでは藍染めを「インディゴ」ではなく「ブループリント」と呼んでいて、その響きが可愛く感じました。

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インドから伝わった木版染めも模様はアジア風のものは少なく、
ヨーロッパらしい麦の穂のモチーフがデザインされているものや花柄など、
現代のプリントデザインとしてスカート等に使えそうなものが多く、見ていて楽しかったです。
布に添えられていた写真が当時使われていた様子をイメージし易くとても参考になりました。

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午後からは工房で絞り染めのお話や、藍染めの実演をしていただきました。
実際に絞った布を藍甕に浸け、取り出した布が酸化し深緑から藍色に変わっていく様子を初めて見て感動しました。
その後に拝見したドキュメンタリービデオは他の作家の方の作品も見る事が出来、
いろんなアプローチの仕方を学ぶ事が出来ました。

*『Blue Alchemy -Stories of Indigo-/ブルーアルケミィ ―藍の物語―』 アメリカのドキュメンタリー監督、Mary Lanceさんが世界各地の藍の現場を訪ね、7年の歳月をかけて制作したドキュメンタリーです。新道さんのインタビューや工房の様子をはじめ、世界の藍製造の貴重な映像をみることができます。

ちいさな藍美術館10周年記念企画展「西方の藍染」の会期が7月30日(水)まで延長されることになりました。

5月14日 専攻科フックド ラグ見学  ディレクター 野田凉美  


フックドラグは、枠にしっかりと基布を張り、模様に合わせてフックガンで糸を刺して制作していきます。以前、スクールに隣接する川島織物セルコンの工場でも、電動フックガンを使いラグを作っていたのを見た事がありますが、今回は、コンピューター制御のジュ−タン自動織機を設計製造されている日本省力機械へ伺い、その工程や機構を見学させて頂きました。
写真原稿を37色のグラデーションに分解し、毛足の長さの調整やフックガンの無駄ない動線などを全てコンピューターにより設計します。シャーリング(表面のカット仕上げ)までの工程は、見ていてとても楽しいものでした。また、電動フックガンの体験をしましたが、手動のフックとは重さも早さも全く違い、なかなかコントロールするのが難しいものでした。


資料やサンプルを準備して下さった上、社員の方ばかりか辰村社長自らご説明いただき有難うございました。