見学・研修

本科 尾州産地テキスタイル課外研修

尾州テキスタイル研修レポート」本科 西澤 彩希

9月19日、日本最大の毛織り物産地である尾州の織物について学ぶため、私たちは3ヶ所の施設を訪れました。
京都からバスに揺られて約2時間半、岐阜県羽島市にある『テキスタイルマテリアルセンター』に到着しました。
こちらの施設は、日本全国のファッション衣料用素材を集めた国内最大のテキスタイル資料館です。
出迎えてくれたのは大量の生地。素材を毎年追加しているとの事で、色とりどり、素材もさまざまな生地が部屋全体に並んでいました。実際に手に取り、触れながらデザイナーの方による素材講習を受けました。

まず、ファンシーツイードを中心に制作されている足立さんの講習を受けました。
たくさんの生地を用意して頂いた足立さんは、一つ一つ生地を見せてくれて、制作工程やその生地が出来るまでの流れを語って頂きました。制作に対する情熱が伝わってきて、その情熱がより良いもの作りへの活力になるのだと思いました。珍しい技法や素材を用いる事で、生地にさまざまな表情が生まれます。
足立さんは「普通の事では認められない。尾州の限界を考えて制作している」と仰っていました。
中でも印象に残っているものが左右の柄が違うジャケットです。隣り合う柄の中心に縫い合わせはなく、織り方を工夫して一枚の生地に柄が織られていました。今までの経験と技術、そして挑戦する心意気があったからこそ生み出された生地に触れられ、とても幸せで贅沢な時間を過ごせました。

「失敗した事を積み重ねて、どうやったらうまくやれるか考える」足立さんも過去にとんでもない失敗をしたと仰っていました。私は今までの織りの授業で、失敗ばかりしていると感じていました。糸が絡まったり、緯糸が飛んでいて何センチも前に戻ったりしていて時間に焦り、思い通りに進まない自分にもどかしさを感じていました。
そんな時に聞いた足立さんのこの言葉に私は励まされました。今までした失敗は今後の役に必ず活かせるだろうし、失敗しても挑戦する事が大切なんだと学びました。

続いて、ジャカード織物をメインに企画から販売まで幅広く活躍されている岩田さんの講習を受けました。
岩田さんには、染色された糸や、織物の設計図にあたる紋図などを見せていただきました。
それらの中に、たくさんの丸い穴が開いた厚紙がありました。これは、紋紙と呼ばれるジャカード織機に付属し、
その穴を読み取って柄を織る、言わば柄のデータです。複雑な模様になるほど紋紙の枚数は増えます。
岩田さんはこの紋紙を見ただけで、ある程度どのような柄が織られるかがわかるそうです。

今まで培ってきた豊富な知識を、足立さんや岩田さんは私たちにわかりやすいように教えてくださいました。
織物というのは、どの工程も緻密で繊細で、仕組みを理解するのは難しいですが、織りあがったものを見ると、
達成感や感動が生まれます。その分だけ根気や技術力が試されますが、二人の講義を受け、努力すれば素晴らしいものを生み出すことができるのだと痛感しました。

次に、愛知県一宮市にある「葛利毛織工場株式会社」さんへ見学に行きました。
こちらは主にメンズスーツ生地を制作されている工場です。懐かしさのある佇まいの工場は、昔から使われているションヘル織機のガシャンガシャンというリズミカルな音が響いていました。
ションヘル織機は人の手が加わります。私たちが普段学校で使う手織り織機同様、経糸・緯糸の準備、整経、綜絖通し、筬通しもすべて手作業で行われ、根気と熟練された技術を要します。
綜絖・筬通しの作業は大体6000本位の糸を通すのに3日はかかるらしく気の遠くなりそうな作業に圧倒されました。そして製織は1日に10mくらいしか織れないとのことです。
スピードと大量生産を重視される現代でなぜ時間と手間のかかるションヘル織機にこだわるのか、それは手織りの風合いを保つ為だそうです。ションヘル織機の特徴は、低速で織り進めるため、繊維を傷めることなく優しく丁寧に織られていきます。そのため手触りが柔らかくしなやかさある生地が出来上がるそうです。そうして作られたスーツに魅了され、芸能人や海外ブランドからオーダーされています。
工場を見学していて一番に感じたことは、従業員の方が織機と寄り添いながら作業をしていたことです。
一つ一つの作業を大切にされており、織りあがった後もミスがないか入念にチェックされています。
そうしたことが信頼につながり、世界進出できたり、価値があるものと認められるのだと思いました。

最後に伺ったのは岐阜県羽島市にある「三星染整株式会社」さんです。
繊維素材の染色・整理加工をしている工場での加工風景を見学させていただきました。取り扱っている繊維素材は幅広く、天然繊維から合成繊維まで加工を行っています。機械によるさまざまな加工技術を見せていただきました。加工されたものは最終的に検査が行われます。生地の幅、色、風合い、キズがないかなど、目視で検査されています。出荷後も何か不具合があった時などのために管理カードがあるとの事です。

生地はさまざまな工程を経て私たちの手元に届きます。
今まで当たり前のように生地に触れていた事が、実は多くの方が関わったからこそ出来たものだと学びました。
今回の見学で、テキスタイルの奥深さを知る事ができ、今後の制作の意欲を高める事ができました。

IMG_2675 IMG_2684
足立氏講義の様子                  岩田氏講義の様子
IMG_2710 IMG_2716
葛利毛織工場株式会社
IMG_2726
三星染整株式会社

「Made in Japanを支えること」本科 岡田 弥生

ここ10年ほど、日本の伝統工芸は世界で注目を集めつつあります。
第2次世界大戦に敗戦してから、日本人はアメリカやヨーロッパ各国に追いつこうと必死に努力をしてきました。
その結果、世界のどこにも負けないもの作りの文化が生み出され、一方で、日本の伝統文化は高齢化が進み後継者不足に頭を抱える時代を迎えました。

伝統を守り続けることは、新しいものを生み出し続けることでもあると学んだ尾州への研修。お話をしてくださった方々が、尾州でもの作りをしているということに誇りを感じている様子に大変刺激を受けました。

テキスタイルマテリアルセンターでは、お二人のデザイナーの方にお話を聞くことができました。ツイードを得意とされている足立さんのお話からは、新しいものを生み出し続けることの面白さと大変さを学びました。足立さんが生み出したテキスタイルはどれも斬新で、フィルムを織り込むような素材使いから、出来上がった布地からあえて糸を抜くなどの発想には伝統を超えたもの作りの面白さを感じました。続いてジャカード織を専門とされてる岩田さんのお話は、織機をいかに人が操るかで、織物に無限の可能性を見出すことができるように思えました。岩田さんに見せていただいた鳥模様の織物は一羽の中に様々な織り方がなされており、ただ色を変えたりするよりも味のある鳥が浮かび上がっていました。

お二人の話では、世界のファッションシーンを牽引するようなメゾンからもオーダーが来るということでした。
ファッションデザイナーとどのように仕事をするか。彼らの求めるものをどのように布に表現し、できないことははっきりと伝え、できることを最大限のものを作り上げるテキスタイルデザイナーという仕事についてもお話が伺え、貴重な経験となりました。

続いて、スーツ等を生産している葛利毛織の工場を見学させていただきました。現在では高速織機が普及し、大量の布地を短時間で織り上げることが当たり前となっている中、低速だからこそ手織りの風合いを残した布を織ることができるションヘル織機を昭和初期より使い続けられているそうです。そちらで織られたという布地は、確かに空気を含んだような柔らかさのあるものばかりでした。

最後に三星染整の整理加工工場を見学させていただきました。今まで、スクールでは織ることを中心に学びましたが、製品になるまでには織りあがったものにこんなにもたくさんの工程を経て加工を施さなければならないのかということに驚きました。何度もサンプルを作成し、その布地に最適な外観と触感を作り上げることは、きっと私が想像する以上に難しい作業だったと思います。

made in Japanの製品が世界で注目される今日、尾州で作られているような力強い日本の伝統を何らかの形で支える人材になりたいと強く感じました。

美山見学レポート 本科 岡田弥生

「人間だから失敗があります。でも、それが愛らしいし、面白い。」
藍染作家の新道弘之さんが、一枚の着物の前でおっしゃった言葉が、とても印象的に私の心に残りました。
4月に入学してからスクールでは、毎日が失敗の連続です。そんな私にとって、新道さんのこの言葉は、
自分を励ましてくれるような、そして、決して完璧ではない人間が作るものの暖かさや豊かさについて考えさせられる一言でした。

心配していた雨も、バスを降りる頃には太陽が顔を出すほどになり、
スクールを出発してから2時間ほどで私たちは京都府南丹市美山町に到着しました。
山々に囲まれた美しい村に、茅葺屋根がならぶ風景は、いつも私が生活している風景とはまるで違い、
何度も深呼吸をしたくなるような世界が広がっていました。

IMG_2598blog

ブルーアルケミーというDVDの中で紹介されていた新道さんの工房と美術館を訪ねるべく、
ゆっくりと村の中を歩いて行きました。
工房までの道のりは、昔ながらの郵便ポストや村ののどかな景色が続き、
緩やかな坂道を登ると、木でできたささやかな看板が見えてきました。
「ちいさな藍美術館」の中へお邪魔すると、早速、藍花の咲く甕が一つ目に入り、
DVDの中で見た藍の工房へ来たのだという実感が湧いてきました。

IMG_2601blog

美術館では、入ってすぐに展示されてあった素朴な丹波布が目に留まりました。
新道さんのお話によると、かつての農家の女性が家で織っていた着物だそうです。
民藝運動の提唱者でもある柳宗悦が北野天満宮の市でこういった着物を発見し、
のちに民藝として知られるようになったとのことでした。
富裕層が着るような豪華絢爛な着物ではなく、こうした素朴で、無駄がなく、
普通の人々の生活に沿ったものに光が当たり始めたのは、歴史の流れの中でも、興味深い事です。

工房では、新道さんが実際に藍染を見せてくださいました。
布を何度か藍甕に浸けた後、パタパタと空気中で酸化させると、緑がかっていた布が鮮やかな藍色に変わってゆき、
その姿はまさに不思議な魔法のようでした。
和室では、新道さんが世界各国の様々な布地を見せてくださいました。
中でも新道さんがこれまでに染められた布地で、新道さんのお母様がご自身の棺掛けを作られたというお話が最も印象的でした。

blog

今日では、街を歩けば数え切れないほどの機械で作られた製品が並び、
いわゆる「手仕事」で作られたものを見つけるのは、とても難しくなりました。
そのような時代だからこそ、人が手で作ったものの温かさや面白さ、
愛らしさについて考えながら、これからの制作に挑んでいきたいと思います。
美山で学んだ事は、きっと、今後何度も思い出され、
その度に美しい景色と新道さんの言葉が私の心に浮かんでくることでしょう。

染司よしおか工房見学・紅花染体験 本科 藤田

「お水取り」「お松明」の名前で知られる東大寺・修二会。毎年3月に行われる行中、
練行僧によって作られた椿の造り花がご本尊に捧げられます。
この造り花の材料となる和紙は、京都にある「染司よしおか」で梔子と紅花を用いて染められています。
1月22日、本科の学生は染司よしおかの工房を訪ね、
紅花から和紙を染める染料を抽出する工程を体験してきました。

紅花からは黄色の染料と紅色の染料が取れますが、ここでの紅花染めには黄色の染料は使わないため、
まず花びらを水の中でひたすらもみ込み、水に溶けだした黄色の色素を取り除きます。

IMG_0474

その後、さらにもみ込みながら花びらに残った紅色の染料を抽出します。
この染液を濃縮していき、水分を取り除くと、和紙を染めるための泥状の紅が出来上がります。

IMG_0488blog

染司よしおかでは、植物染料だけを使い、助剤なども「稲藁の灰汁」や
「烏梅(うばい・梅の実をいぶしたもの)」を用いるなど、すべて自然界にあるもので染めています。
化学染料を使うかわりに手間と時間をかけ、鮮やかな色彩が生み出されていました。

IMG_0562blog

工房の方から「この工房では新たな試みはせず、文献に残っている手法でしか染めない。」
というお話を伺って、新しい色を作りたくなることもあるのではないかと思い、
ものを作り続けていくためのぶれない理念の大切さを実感しました。

また、「だんだんと質のよい紅花が入手しにくくなっている」という現状も伺い、
現代の環境で古の技術に挑むには、手間がかかるという以外にもさまざまな難しさがあることがわかり、
技術は伝統的であっても、現在の環境を考え、
未来の展望を計る広い視野が大切なのだと感じた一日となりました。

美山のちいさな藍美術館を訪ねて 本科 金子かおる

6月12日、藍染め作家の新道弘之さんの工房を訪ね、京都府南丹市美山町に行きました。

IMG_9530blog

美山に向かうバスの中で見た映画『ブルーアルケミィ ―藍の物語―』*はとても興味深く、
特にインドでのプールの中で藍の染料を出す作業が印象に残りました。
緑色の液体が徐々に藍色になっていく様子には驚きました。

初めての美山。だんだん山奥に向かうにつれて期待感が高まります。
バスを降りると日本昔話の世界が広がっていました。
茅葺き屋根の景色もさることながら、空気がとても澄んでいてとても清々しい気分になりました。
小さな藍美術館まで景色を楽しみながら向かいました。
新道さんの工房は茅葺きの家の中でも大きいそうで、独特のゆったりとした空気が流れていました。

IMG_9535blog

2階の美術館は新聞の記事で見たよりも広く、全面に大きな布が広がっていて圧巻でした。
今回は日本の藍染めの展示は無く、ヨーロッパの藍染めの展示でした。
ヨーロッパの染色に藍染めがあった事にとても驚きました。
ヨーロッパでは藍染めを「インディゴ」ではなく「ブループリント」と呼んでいて、その響きが可愛く感じました。

IMG_9536blog

インドから伝わった木版染めも模様はアジア風のものは少なく、
ヨーロッパらしい麦の穂のモチーフがデザインされているものや花柄など、
現代のプリントデザインとしてスカート等に使えそうなものが多く、見ていて楽しかったです。
布に添えられていた写真が当時使われていた様子をイメージし易くとても参考になりました。

IMG_9539blog

午後からは工房で絞り染めのお話や、藍染めの実演をしていただきました。
実際に絞った布を藍甕に浸け、取り出した布が酸化し深緑から藍色に変わっていく様子を初めて見て感動しました。
その後に拝見したドキュメンタリービデオは他の作家の方の作品も見る事が出来、
いろんなアプローチの仕方を学ぶ事が出来ました。

*『Blue Alchemy -Stories of Indigo-/ブルーアルケミィ ―藍の物語―』 アメリカのドキュメンタリー監督、Mary Lanceさんが世界各地の藍の現場を訪ね、7年の歳月をかけて制作したドキュメンタリーです。新道さんのインタビューや工房の様子をはじめ、世界の藍製造の貴重な映像をみることができます。

ちいさな藍美術館10周年記念企画展「西方の藍染」の会期が7月30日(水)まで延長されることになりました。

5月14日 専攻科フックド ラグ見学  ディレクター 野田凉美  


フックドラグは、枠にしっかりと基布を張り、模様に合わせてフックガンで糸を刺して制作していきます。以前、スクールに隣接する川島織物セルコンの工場でも、電動フックガンを使いラグを作っていたのを見た事がありますが、今回は、コンピューター制御のジュ−タン自動織機を設計製造されている日本省力機械へ伺い、その工程や機構を見学させて頂きました。
写真原稿を37色のグラデーションに分解し、毛足の長さの調整やフックガンの無駄ない動線などを全てコンピューターにより設計します。シャーリング(表面のカット仕上げ)までの工程は、見ていてとても楽しいものでした。また、電動フックガンの体験をしましたが、手動のフックとは重さも早さも全く違い、なかなかコントロールするのが難しいものでした。


資料やサンプルを準備して下さった上、社員の方ばかりか辰村社長自らご説明いただき有難うございました。

テキスタイルの現場 本科 坂口美幸

大高亨先生(京都造形芸術大学準教授)の5回にわたる授業がありました。
組織や色彩、世界/国内のテキスタイルデザインのこと等を教えて頂きました。
講義だけでなく布のサンプルを見せて頂き、実際に触れることが出来たので、
より理解を深めることができました。

最終日は現場見学に行きました。
今回お邪魔したのは、プリント会社3件とプリーツ加工会社、
有線ビロード会社の5件です。

まず、叡山電鉄八幡前にあるデジタルパレット芝山さんへ。
こちらでは環境に配慮したインクジェットプリントを行っていました。
インクジェットプリントは、広い場所が無くても簡単にプリントが出来、
一品物に適しているそうです。
布に前処理をし、プリントします。
プリントした状態では発色があまりよくないのですが、加熱発色させることで
鮮やかな色に変化します。
色が変化するのは、布に前処理をしているからだそうです。
Tシャツ一枚からプリントして頂けるそうで、気軽にプリントが楽しめるようです。
現在も新しいインクジェットプリントを開発しているそうです。

次に茶山にある佐藤染工場と太田重染工さんへ
佐藤染工場さんは90年も前からシルクスクリーンという技法でプリントしています。
シルクスクリーンとは、メッシュの張ってある版を使用し、
インクを通したい部分のみメッシュに穴が開いておりインクが通るようになっています。
実際に刷っているところを見させて頂きましたが、一色目が刷り終わってすぐに
二色目に移り、あっという間に刷り上がっていました。
一色目から二色目に移る際に、一色目の色が滲まないのは、
メッシュの細かさと圧力をかけて布に色を入れているからだそう。
ですので、すぐに二色目をのせても問題がないそうです。
メッシュは目に見えないほど小さな穴で構成されていました。
シルクスクーリーンプリントをする上で重要なのはメッシュと繊維の選び方だそうです。
社長の佐藤さんは、とても探究心があり、
現在も様々な手法で新しい物作りをされていました。

同じく茶山にある太田重染工さんは、ローラープリント行っている会社です。
ローラープリントを行っている会社は現在国内で2〜3件のみだそうです。
ローラープリントは約50キロある銅メッキした捺染ロールを用いてプリントします。
会社の中にはかなりの数のロールが保管されており、
チェックや水玉の柄やびっくりするほど細かい柄のものまで並べられていました。
古い物では2〜30年前のものまで保管されているようです。
2〜30年前のものでも現在も使用できるそうです。
ローラープリントは、昔からパジャマの素材によく使用されているようですが、
今後幅広い生地に使用されるようになればと思います。
古くからの手法を現在も行っており、
職人技を必要とされる物作りが今後も残っていってほしいと思います。

午後からは、西京極にあるプリーツ加工会社の三協さんへ
こちらの会社ではISSEY MIYAKEさんのプリーツを作っている会社で、
ウェディングドレスなどの服地から、梱包材などまで幅広いプリーツを作っています。
プリーツ加工は3種類あり、ハンドプリーツとマシンプリーツと
手折りプリーツがあるそうです。
今回マシンプリーツでプリントする加工を体験させて頂きました。
機会はとてもゆっくり動きプリーツを作っていきます。
出来上がった布はしっかりとプリーツ加工がされており、
ちょっとしたことではとれることはないそうです。
プリーツの種類もかなり数多くあり、制服のスカートのイメージが強かった私には、
こんなにもプリーツに種類があることに驚きました。

最後に西院駅からバスで日本ビロード工業へ
ビロードというものは緯糸を織り込むときに間に針金のような細い棒を入れ、
その棒を入れたところを織り上がってから切ることで、毛羽がたつようになっています。
最後の切る作業は職人さんが一本一本丁寧に切っていきます。
実際にやらせて頂きましたが、力の入れ加減や道具の使い方が難しく
うまく切ることが出来ませんでした。
さすが職人さん、一本一本的確に切っています。
ビロードは主に鼻緒に使用されるそうで、
明治頃の鼻緒に使用されていた貴重な資料も見せて頂きました。
昔の鼻緒は色鮮やかで、粋なものばかりでした。
ビロード以外に馬の毛で織ったというものも見せて頂きました。
馬の毛はつやがありしっかりとした贅沢な物でした。

今回様々な現場に行って実際に作る工程を見させて頂き、
布になった状態で見ていたものがこのように作られていることを知る
貴重な一日となったと同時に、自分の物作りの参考になりました。

最新技術から昔ながらの技術までを見て、
こうした技術を後世に残していかなければいけないと思いました。
昔からあるいいものがこの世からなくなっていくことは非常に寂しいものです。
新しいものも取り入れつつ、昔からあるものも大切にしていきたと感じました。

研修旅行 本科 松本裕子

山陰地方へ二泊三日の研修旅行へ出かけました。

●一日目

「植田正治写真美術館」
私は植田さんの写真が好きで個人的に楽しみにしていた場所でしたので、
館の方のお話はどれも感慨深く、写真に対する愛情の深さに改めて心打たれました。

「アジア博物館/井上靖記念館」
シルクロードの貴重なテキスタイルの展示だけでなく、染色植物が豊富に栽培されていて、大変有意義な見学ができました。
織物のモチーフに用いられる事が多いペイズリー柄は、スコットランドのペイズリー地方で量産された事が名前の由来だそうですが、起源はペルシアで、最初は一輪の花だった(という説が有力)、という大変興味深いお話も聞く事ができました。夜は、漁師さんが調理される料理居酒屋で海の幸に舌鼓を打ち、
「だんだん!」(松江の方言で「ありがとう」の意)と言って送り出していただきました。

●二日目

「天野圭藍染工房」
こちらは紺屋(こうや)と呼ばれる、糸を藍で染める専門の工房ですが、奥には年代物の機や力織機、
整経台が何台もあり、私達は興味を引かれて見入ってしまいました。
藍染めがもっと盛んだった頃は、紺屋の数も多く、必要なものを各家庭で染めては織っていたそうです。

藍染めは、緑がかった茶色い液に糸を浸し、取り出して空気に触れた瞬間、青に発色します。
リズミカルに竹棒を使い、糸を回し、鮮やかに発色するのを見た時は息を飲むほどの美しさでした。
天野さんはまだお若くていらっしゃいますが、おじい様が作られた工房で藍染めの材料はもちろんの事、
道具類も非常に大切にされていて、とても素晴らしいお仕事をされていました。
職人の精神をも受け継いでおられるのだろうと、立ち居振る舞いから伺い知る事ができました。

「広瀬絣センター」
広瀬は大柄の絵絣が特徴です。
伝習場が併設されているので、生徒さん達が織られている所も見学できました。
また、古い図案の背負い半纏を見せていただいたり、種糸の整経法など、詳しく説明を聞く事ができ勉強になりました。

「出西」
ご自分で育てられた和綿を藍で染め、織る所までされている多々納工房と、焼き物の出西窯を見学しました。

多々納さんは最初に糸を紡ぐ所を見せて下さいました。
綿を持った手を引くと、まるで魔法の様にするすると指先から糸が伸びて、
ご自分でも「本当に不思議です。よく考えられたものです。」とおっしゃっていました。
なんだかそれが、先人や自然に対する敬意がごく当たり前に表れた言葉の様に感じられました。
染めの行程や、綿の苗や、明治頃の嫁入り道具の風呂敷(本当に美しい色と線!)などを拝見して、
お茶や手作りのお菓子までいただきました。

多々納さんのご主人の弘光さんは出西窯を開かれた方々のお一人で、ものづくりを志す私達に宝となる様なお話を聞かせて下さいました。
穏やかなお姿から垣間見える、職人のプライド、哲学、、普段は猫背の私ですが、背筋がぴんっと伸びて、
心洗われる午後のひとときでした。

この日の夜は露天風呂にゆっくりと浸かる事ができました。
ア〜幸せ…

●三日目

「出雲大社」

朝は人も少なく、空気が澄んでとても気持ちが良い場所でした。
この三日間は、本当に嘘のように良く晴れていました。

「倉吉絣博物館」
今回の旅行で弓浜、広瀬、倉吉、と三種の絣を見ましたが、どれも素晴らしい手仕事でした。
さらに絣は目に美しいだけでなく、堅牢で藍には殺菌効果もあるそうです。
倉吉絣は絣足が少ないのが特徴で、線のはっきりした柄が目を引きました。
特に格子の経緯絣が印象的で、大変に古いものでしたが、モダンなデザインで作り手が楽しんで織っているのが伝わってきました。

帰りのバスで空を見上げていると、太陽の周りに丸い虹が。
我々の前途を示していたりして、と都合良く解釈して家路に着きました。

天候にも恵まれ、無事に終了した今回の旅行、本当に充実した3日間でした。
プランを立てて下さった先生、添乗員&運転手さん、引率の中嶋先生、みんな、ありがとうございました!