月別アーカイブ: 2010年1月

ジャパンテキスタイルコンテスト スプラウト賞受賞  本科 清水わかな

この度12月に行われた愛知県一宮市ファッションデザインセンター主催のジャパンテキスタイルコンテストに応募し、学生の部でスプラウト賞(愛知県知事賞)と奨励賞をいただきました。
このコンテストには、テーマを「毛むくじゃらのお化け」とし、手織り、ジャガード(機械織り)、プリントという手法で3つの作品を作り応募しました。

この3部作は学校の授業で「袖」のテキスタイルを考えた時、沢山の毛糸をまっすぐ横に並べてみた時から始まりました。とても単純なアイデアですが経糸のラインの美しさに感動し、それをそのまま残した生地を作りたいという提案を先生にも認めてもらい、自信を持って制作に取り組む事ができました。また、毛糸が並んでいる様はまるで何かの動物の様だったので、従来の毛皮やフェイクファーとは違う「毛むくじゃらのお化け」というテーマをしたら面白いなと思いテーマを設定しました。

最初は毛糸を縮絨で固めて生地にしようとしましたが何度サンプルを作っても納得のいくものができず、日数ばかり過ぎていきました。一からアイデアを練り直し、手織りで布を作ってみましたが、これも経糸が毛羽だって上手く織れませんでした。行き詰まっていた時に、夏の研修旅行で行ったジャガード織りの工場を訪ね、機械織りで表現できないか相談をしてみたところ、同じ物は出来ないけれど、同じ様な表現は出来そうだという事でそこにある糸から出来る作品を作ってみる事になりました。

その時出来た布が「YAK」という布です。細いモヘアと黒い接着糸という特殊な糸を緯糸に用いた布で、その黒い糸を細い針で裂くと人間の黒髪の様な表情になり、ちょっと気持ち悪い感じになりました。なるべく糸をとばして織って毛の畝りや光沢を多く出して目立たせ、地を埋め尽くすようにモヘアを織り込みました。チベットの高地にいるヤクの様な色をしていたのでその名前をとり、この布がスプラウト賞をいただきました。

3部作の内2つが賞をいただき、結果にはとても満足していますが、一枚の布として見ればやぱりまだまだ改良の余地はあると思っています。今回最後の最後まで諦めず挑戦した様に、この「毛むくじゃらのお化け」シリーズを納得のいくまで改良をして、修了展で発表できればいいと思っています。

ジャパンテキスタイルコンテスト シーズ賞・奨励賞 本科 松本りん

「ジャパン・テキスタイル・コンテスト」に応募した2作品がそれぞれシーズ賞と奨励賞を受賞しました。

「micro graphy」ジャガード織  シーズ賞受賞

この作品は、micro graph(顕微鏡写真)という名の通り、microな世界をテーマに作成しました。たまたま、自分の撮影した画像をパソコンで加工していた時、昆虫の顔のアップのような模様が現れてきました。その画像の断片を反転させてリピートし、ひとつの画面を作っていき、このデザインが出来ました。昆虫の顔や動物の顔、アニメーションのような風景・・・等の様々なものが、鑑賞者の想像力によって、それぞれ異なった世界が見えてくる不思議な画面。これを活かす方向へもっていきました。
6月に学校の研修旅行で訪れた、岐阜のY’sテキスタイルさんにご協力いただきました。デザインデータを持っていき、織物用のデータに変換していただきました。そして、試織をして糸を検討し、デザインの詳細を詰めていきました。白糸の部分のみ、緯糸を飛ばして織っていただき、後に自分でそれをカットして、さらにスポンジで擦ることにより、糸の撚りを解き、ボサボサにさせました。そうすることによって、昆虫の顔をアップで見た時の、産毛のような毛の質感が表現できました。
インパクトの強いデザイン、そして多色で織ったために厚く硬めの生地に仕上がりました。この生地の用途として、布張りのソファのための布という、インテリアの一部として使うことを提案しました。スタンダードなデザインが多く見られる中で、もっと遊びの要素を取り入れ、そのテキスタイルに触れる人の想像力を掻き立てるようなデザインがあっても良いなと思い、今回のデザインに挑戦しました。

「ヒカリノムコウガワ」 オパール加工 奨励賞受賞

 「透」を楽しむことをコンセプトに作成しました。オパール加工とは、生地の一部を薬品で梳かすことによって、その部分を透けさせる加工技術です。春の穏やかな光のイメージで、オパール加工で透けさせた部分をポリロンで、その他のグラウンド部分を直接染料のぼかし染めで、それぞれ染め分けしました。染め分けしたために、ひとつの画面にふたつの世界が入り混じっているような感覚。さらに、透けて見える向こう側の世界が入り込み、より一層不思議な画面に見えてきます。
 このテキスタイルは、レディース服地として提案しました。透けるので、重ね着を前提とした服の提案で、下に着る服の柄や色が透けることを考慮したレイヤードを、着る人自身が楽しめることを目的としています。

ジャパンテキスタイルコンテスト 奨励賞 本間陽子

ひらひら舞う


シルクオーガンジーの布にストライプ状にアイロンプリントをし4〜7mm幅に1本づつカットして、緯糸にモヘア糸と交互に織り込みました。
織る事によって出る線のゆらぎのおもしろさ、所々に見えるアイロンプリントの裏の白と,表の色との違いで,プリントがひらひらと舞っている様子を表現しました。

経糸 梳毛糸3/18
緯糸 シルクオーガンジー モヘア アイロンプリント
サイズ 140×62cm