日別アーカイブ: 2011/09/28

「一衣舎秋展・京都」 修了生 川俣貴美子

2006年に専攻科を修了してから5年半が経ちました。
2009年までKTSのスタッフとして経験を積ませて頂きましたが、スクールを離れてから早いものでもう2年になります。

在学中は着物を制作していましたが、最近は制作の中心が帯に移ってきました。そしてこの度作品を販売して頂ける機会を得ました。

皆さんは「一衣舎(いちえや)」をご存知でしょうか。着物がお好きな方ならご存知かも知れませんね。雑誌「七緒」などにも紹介されている方です。ご専門は着物や帯、長襦袢などのお仕立てですが、
20年以上前から織り手と直接会って、ご自身の考えに合った作品を着る方に直接紹介する会を催されています。最近では少し動きもありますが、着物の世界では織り手と着る方が直にお会いできる機会が少ないのが現状です。そのような中で一衣舎さんの活動を、織る側としても、また着る側としてもとても興味深く思っていました。

何度かお邪魔して作品を拝見する中で、自分の目指す方向と非常に近いものを感じたので、昨年思い切ってアドバイスを頂きに伺いました。そのお話をもとに制作し再度持参したところ、この度取り扱って頂けることになり、早速9月21日から25日まで京都の「ちおん舎」さんで行われた「一衣舎秋展・京都」で初披露となりました。

自分の作品に値段をつけてお客様に提示するというのは、とても独特な今までに味わったことのない感覚でした。自分にとっては愛着のある作品ですが、お客様にとっては沢山ご覧になられる中の一つです。そしてその場には私自身も素敵だと思う作品が数多く並んでいます。その中で自分の作品がお客様の目にどのように映るのか不安に感じました。

会場でお客様方は、作品に囲まれた空間そのものを楽しむかのように長い時間をかけて一つ一つご覧になっていきます。中にはこの会の為に遠くから来て何時間もいらっしゃる方もいます。その中でピンと響く出会いがあると作品が売れていきます。その時のお客様の表情はとても良いものですね。勝手な想像ですが、恐らく皆さん良い日もイマイチの日も頑張って生きて働いて、そのお金で購入されているのでしょう。そしてそれを着るのが楽しみで明日からの力が湧いてくる。自分の作品がそんな元気の源になるのであれば嬉しい限りです。

私の作品にもピンときた出会いがありました。これから制作を続けて行く中で、今回選んで下さった方の表情を忘れることはないでしょう。このような機会を与えて下さった皆様に感謝して、伺ったご意見も参考に、でも影響され過ぎないよう一度頭をリセットしてから次の制作を始めたいと思います。

一衣舎さんは全国各地でこのような会を開催されていますが、来年も秋頃に京都でこのような機会があるはずです。気になられた方は是非お越し下さい。(詳細は「一衣舎」HPへ)