月別アーカイブ: 2015年9月

組織がわかる5日間を受講して

8月開講のワークショップ「組織がわかる5日間」に参加しての声を西田さん(倉敷市)からいただきました。

——————————————————

IMG_1373

私の住む倉敷は瀬戸内に面して干拓地が広がり、かつては稲作には不向きな土壌であったことから、
綿やイ草を植える農家が多くありました。

懐かしさ半分興味半分で8年前から自宅の畑で綿の栽培をしていますが、糸紡ぎから機織りまで一通りの工程は、
ネットや文献から得た知識に頼った「自己流」のため、試行錯誤を繰り返してばかりでした。

昨年両親を看取った後、この先自分はいったい何をしたいのかと度々自問するようになりました。
介護の最中も両親を送った後の空虚感の中でも私を慰めてくれていたのは常に「糸」に触れること、
機の前に座ることでした。そうだ!織りを基礎から勉強しよう!勉強したい!と思うようになりました。
60歳を過ぎてから寮生活をするなんて、子育て中には考えられないことでしたが、
年々歳々体力も集中力も衰えてきているこの歳だからこそ思いは日を増すごとに強くなっていきました。
5月に「はじめての織り10日間」を受講したのち、さらに多くを学びたいとの思いからこの講座を申し込みました。

ところが、初日から整経を経て第一のサンプルの綜絖通しを終えて寮に帰るとぐったりと疲れる始末、
残りの4日間に不安を抱いてしまいました。それでも初めて触れる天秤機と、杉綾からスエディッシュレース、
サマー&ウィンター、数種のオーバーショッへと綜絖とタイアップを換えるだけで次々と生まれてくる
組織の織りに疲れより好奇心の方が勝り、気が付けばあっという間に迎えた最終日には、不思議なほどの
充実感に満たされていました。

IMG_1380

何もかも整えられて「学び」だけに費やされた5日間。
的確なご指導を下さった先生、夜遅くまでアトリエで織り続け励まし合えた仲間たち、
かけがえのない時間を一緒に過ごせたことに喜びと感謝の気持ちでいっぱいです。
今私は、以前にも増して「布を生み出す」ことに夢中になっています。

——————————————————
「組織がわかる5日間」は来年度も予定しております。

布を織る 本科 萩原千春

いよいよ夏の到来を迎え暑さが厳しくなってきた7月、
私達のグループは前期最後の課題である「布を織る」の制作に入りました。
前半グループの作業風景を見ていて、私にこれと同じ事が出来るのかという不安がつきまといました。

実際に授業が始まり、まずは各々好きな絵画を選びますた。
その絵の中から抽出した4色+白で縞のデザインを考えていきます。
私は今回上村松園さんの「焔」という作品から縞をデザインしました。
IMG_4785

この絵が持つ重厚感や緊張感を無くさないように気をつけ、
デザインが出来たら染色や整経をし糸を機にセットしていきます。
1200本の細く長い糸が絡まないように切れないように丁寧に作業を進めていくのですが、
本数がとても多いので綜絖通しや筬通しを間違えてしまいその度にやり直しをしました。
色々な事を乗り越えてようやく織り始めます。

やっと織れると喜んでいたのも束の間、織り始めると縮んだり織りムラが目立ってしまったりと、
綺麗に織る事が出来ずにどうしようと頭を悩ましていましたが、毎日織っていくと
打ち込み加減や糸の入れ方の感じが少しずつ分かってきて縮みや織りムラがなくなっていきました。
困ったことがあったり、辛い事があったときはグループのみんなで助け合ったり励まし合ったりして、
無事に全員8mの布を織り上げる事ができました。

展示した布を見たときは、今までの情景が目に浮かびここまで頑張ってきて良かったと心から思いました。

IMG_1315 IMG_8468

——————————————————————————————————————
本科織実習「布を織る」 担当講師:山本梢恵