月別アーカイブ: 2020年7月

技術研修コースを修了して 駒田桃子

大学では染織ゼミに所属しており、卒業後に技術研修コースで3ヶ月間スクールでお世話になりました。
在学中は、ノッティングという技法でタペストリーを制作しました。

織りの経験があるとはいえ、制作を進めていく中でひとりでは迷うこともたくさんあります。
ここではいろいろな専門の先生がいるので、ひとつ質問をしても様々な角度で答えが返ってきます。
そして自分が今までやってきたことという狭い世界から少し出てこれたように思います。

制作風景

また、ここでは自分の学びたいという気持ちに応えてくれる環境が整っています。なので3ヶ月という短い期間でも、自分の意欲次第で期待以上の学びが得られるという実感がありました。
卒業後は、自分が感じている織りの良さやそのこだわりを、織りながら実感し制作していきたいです。

技術研修コース 2020年10月・2021年4月入学 募集しています。
ある程度の織経験を持つ方が3ヶ月、6ヶ月、1年の期間でテーマを持って研究と制作を行うコースです。 受講生は大学で染織を学んだ方や改めて専門的に学びたい方等です。

夏期休暇のお知らせ

誠に勝手ながら下記の期間におきまして夏期休暇とさせていただきます。

夏期休暇:8月8日(土)~8月16日(日)

なお、商品の発送分締め切りは8月5日(水)受注分まで、
最終出荷は8月6日(木)とさせていただきます。
※在庫状況により、最終出荷日までに商品が発送できない場合があります。

期間中にいただきましたご注文、及びお問い合わせにつきましては、
8月17日(月)以降に順次回答させていただきます。
なお、期間中はFAXまたはメールでのご注文をよろしくお願い致します。

当スクール宛のお荷物は17日正午以降での配送をご指定ください。

ご迷惑をお掛け致しますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

スクールをつづる 6

創立47年の歩みをたぐり寄せながら、現在のスクールのことをご紹介する全8回シリーズ。

専門コースはどんな授業?

本科グループ制作
スウェーデン、ストックホルムにある提携校 HV Skola
年間を通して織物に打ち込み、染織を総合的に習得できます。
1年目の本科は、糸染めから織の全工程を学び、密度の高い基礎授業を通して、
基本技法の習得と表現力を養います。

2年目の専攻科は、具体的な目的を持って作品を制作し、
希望する分野の企画制作からプレゼンテーションまでを学びます。

3年目の創作科は、スウェーデンの HV Skola への交換留学や国内外のコンペに参加し、
自立して創作を続けていくためのスキルを身につけます。


スクールをつづる 1 学校のなりたちは?
スクールをつづる 2 どんな学校?
スクールをつづる 3 どこにあるの?
スクールをつづる 4 どんな環境?
スクールをつづる 5 どんなコースがあるの?

スクールをつづる 5

創立47年の歩みをたぐり寄せながら、現在のスクールのことをご紹介する全8回シリーズ。

どんなコースがあるの?

専門コース本科修了制作(上山清香)
技術研修コース(駒田桃子)
スクールの基盤は「専門コース」。染織技術とデザインを基礎から学び、
将来自立して創作できることを目指し、1年ごとにスキルを深めていきます。
織経験者が対象の「技術研修コース」は、テーマと期間を決めて、組織や素材の研究から制作までを行います。

海外向けには、英語で授業を行う「留学生コース」(春・秋定期開催)と「海外ワークショップ」も。
海外の旅行グループ用に、体験から専門的な染織まで希望に合わせたワークショップにも対応しています。

「ワークショップ」は、短期間(1〜10日間)で一つの技法を習得します。
手織りの基本、組織・綴・手紡ぎ糸づくり・染色(天然・化学)などの技術を個々に習い、
作家・研究者から制作のヒントを得ることができます。


スクールをつづる 1 学校のなりたちは?
スクールをつづる 2 どんな学校?
スクールをつづる 3 どこにあるの?
スクールをつづる 4 どんな環境?

スクールの窓から 1 「表現論」

川島テキスタイルスクールの専門コースでは、様々な先生が教えています。専任講師をはじめ、外部からも作家や技術者などを講師に招き、風通しのいい環境を作っています。このコーナーでは、そんな専門コースの授業の一部をご紹介します。(不定期掲載)

7月9日、「表現論」の授業で繊維造形作家の堤加奈恵さんを講師に招き、「わたしがみた フィンランドのこと、テキスタイルのこと」というテーマで、作品や資料を見ながら、海外留学の体験談をお話いただきました。堤さんの織りに向き合う真摯な姿勢に触れたひとときとなりました。

大学院を修了後の7年間、綴織のタペストリー制作に励んできた堤さん。2018年〜19年の9カ月間の海外滞在を機に作風が大きく変化しました。日本で生まれ育った自らのルーツに興味を抱き、座布団から着想を得るなど日本の染織工芸品を取り上げて、自身で織った布を造形作品として発表するように。レクチャーは、そんな影響を受けたフィンランド滞在について、助成金付き留学制度応募から、滞在計画の立て方、伝統工芸のRyijy(リュイユ/ルイユ)織りと収集家との交流、植物染色、個展開催など堤さんの経験をなぞるように進んでいきました。

学生に向けては「5年、10年後、こんな自分になれたら素敵だなと思える経験を今、 フットワーク軽くやってみるといいです」「見えない未来を想像して不安に思っても、明日、一週間後にぱっとひらめくことがあるかもしれない。その時が来るまで、今、目の前にあることを精一杯頑張ればいい」とまっすぐに語られました。

◆ 堤さんにとって織りとは? 「人生を楽しくしてくれたもの」

「私は元々、絵が好きで美大(京都精華大学)に入ったのですが、自分が描く線にコンプレックスが強かったんです。そこで綴織に出会い、線が忠実に再現されない面白さに触れ、作るのが楽しくなりました。綴れを織る時、爪で押し下げる布の重量感が好き。織りは私の人生を楽しくしてくれたものです。」


〈堤加奈恵さんプロフィール〉

Facebook: @lanlanae
Instagram: @tsutsumikanae1006

つつみ・かなえ/
繊維の蓄積により生み出されるディテールと、経と緯の組織の成り立ちから生じる一種の不自由さ、単純と複雑の両面を持ち合わせた織り機に面白みを感じ、「織る事」をベースにして作品制作をしている。京都精華大学大学院芸術研究科染織領域修了。2015年より同大学芸術学部造形学科テキスタイル専攻非常勤講師。

スクールをつづる 4

創立47年の歩みをたぐり寄せながら、現在のスクールのことをご紹介する全8回シリーズ。

どんな環境?

川島テキスタイルスクール建築模型
アトリエ 1970年代
鹿(アトリエから)

周辺はのどかな集落で、山あいの美しい自然に囲まれた環境です。
四季の移ろいを肌で感じ取れ、鳥のさえずりが辺りに響き、鹿の親子が姿を見せることもあります。

校舎・宿舎ともに建築家の内井昭蔵氏による設計。
1975年に第16回BCS賞(建築業協会による)を受賞し、建築物としても貴重な施設です。
内井氏はスクールの趣旨を汲み、土地の状況を考慮しながら、
この学校にふさわしい建物を設計するべく工夫を凝らしています。
一枚の布を織ることを通して、人とものとの関わり合いの原点を探るという視点でアトリエを考案。
通常、屋根に沿って水平に支える梁を、壁から一体となるアーチ状の構造にし、
空間全体に一定のリズムで架け渡しています。
山麓の傾斜に沿って建てられ、自然とのつながりも尊重。
天窓や大きなガラス窓から自然光を取り入れ、緑の景色が広がります。
このような自然と建物にあたたかく包まれた空間だからこそ、
創造的なものづくりに集中することができます。


スクールをつづる 1 学校のなりたちは?
スクールをつづる 2 どんな学校?
スクールをつづる 3 どこにあるの?

スクールをつづる 3

創立47年の歩みをたぐり寄せながら、現在のスクールのことをご紹介する全8回シリーズ。

どこにあるの?

Drawing: Hannah Waldron


京都市の北部、市原(左京区)にあります。
市内でも豊かな自然が残る地域で、施設は(株)川島織物セルコン本社市原事業所に隣接しています。

周辺は水源に恵まれ、鞍馬川の清流から染めに必要な水量を得られる環境。
かつ空気が澄んでいて、広大な土地が確保できることから、
本社が1964年に西陣から移転し、工場を新設しました。
土地に調和しながら、織物の技術と文化の新たな流れを築く中で、
教育の場として、国内外に広く門戸を開く川島テキスタイルスクールが存在しています。

山一つ越えると京都の奥座敷と呼ばれる鞍馬や貴船があり、美しい渓谷や透き通った川、山々が連なります。
京都駅から公共交通機関で1時間程度の距離で、古都の歴史・伝統・文化などの魅力を探訪する機会も豊富です。



Hannah Waldron
ハンナ・ワードロンさんはイギリス在住のアーティスト、デザイナーです。
2019年の春に、スクールで絣を学びました。


スクールをつづる 1 学校のなりたちは?
スクールをつづる 2 どんな学校?