スウェーデン交換留学近況報告2 創作科 谷 歩美果

8月下旬より、提携校であるスウェーデンのHV Skolaに交換留学に行っている
創作科(3年目)の谷さんより近況報告が届きました。

Damastの授業が終わり、DesignTorgetとのコラボレーションプロジェクトが始まりました。
このプロジェクトは、HVの 生徒が作ったものを来年の春にDesignTorgetの店舗にて販売するというものです。
まず始めに、DesignTorgetから来たアマンダさんよりアーティストやデザイナーにとって何を考える必要があるのかというレクチャーを受けました。そこで印象的だったのがHow~という言葉です。どう働きたいか、どうなりたいか、自分の人生、生き方をどう作るか、どんな層を的にするか、どういう素材を使うのか、他にもいろいろなHow~があり、またHowを考えたら次は行動に移すべきというレクチャーはとても面白かったです。経済の知識が創作側の販売生活を大いに助けるというお話も、今まで自分があまり考えていなかった、作品を売るという点を考えるきっかけになりました。実際HVのみんなは経済学の授業があり、使った材料、制作時間、クオリティなどを考慮して、利益を得るための価格設定を学んでいます。他にも経済学の授業で、会社の立ち上げ方やインターネット販売の方法なども学んでいると言っていました。

このプロジェクトはグループワークで、白色と黒色しか使えないという条件があります。
私はJosefineさんと一緒に、来年2018年がスウェーデンと日本の国交樹立150周年記念の年だというところから、
スウェーデンの技術と日本の技術を合わせ たクッションカバーJapanese and Swedish Plow Colectionを作ることに決めました。まず、思いつくそれぞれの国の織物や テクニックをリストにして、いろいろな素材でサンプルを作りました。(RYAWAFFULDROPDRALLRIPS、刺子、緋り、絞り) HVでは綿やリネンを染めるのに反応性染料を使っているのですが、何度も調整を繰り返してもうまく黒を得ることが出来ず、結果、統一性を求めるため、使う素材をウールにしました。
こちらの染色方法は日本でやっていた綛を繰る方法ではなく、鍋に綛全部をドボンと入れるという方法で、始めの頃は何かすごく悪いことをしているような気持ちになっていました。この方法は糸を繰らない分、沸騰をさせずに長時間煮て色を得ます。なので待っている間に刺編をしたり、編み物をしたりしている光景をよく目にします。
編み物をしている人の姿は染色中だけではなく、先生が話している授業中や仕事中のトラムの駅員さんなど日本だと確実に怒られるだろうなという場所、時間にも目にしており、そこにスウェーデンらしさを感じます。

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↑糸繰をするJosefine、木枠ではなくボビンを使う。

素材をウールに統ーし、もう一度サンプルを作り、それぞれのテクニックが一枚織るのにどのくらいの時間を取るかや、RYA部分にどの種類の糸を混ぜるか、時間短縮のために線続通し順を変えず、ワッフルからドロップドラルに移る組織の作成、刺子刺編の代わりに刺子に見える織組織の作成などを話し合い、本番を作り始めました。
このプロジェクトを通して、商品にするためのクオリティーを求める姿勢や自分たちのクリエイティビティをコントロールする力を身につけることが出来た上に、スウェーデンのテクニック、日本のテクニックを通じてお互いの知識を増やすことが出来たこと、織組織りを学べたことなど、沢山のことを得ることが出来ています。来週の最終プレゼンに向けてこのままの姿勢を保っていきたいです。

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↑絣 Munkabålt DesignTorgetプロジェクトのサンプル

DesignTorgetProjectの間にTaqueteというテクニックを学びました。二週間に一回くらいのペースでBLという授業があり、そこでいろいろな織組織りの学習をしています。TaqueteはWeft-Ripsの多重織で、特別な線続を使うと自由に絵柄を織ることが出来ます。また、GORAEGETMATERIALという学校全体で行われたワークショップにも参加しました。GORAEGETMATERIAL はMakeyourownmaterialという意味で、緋、スピニング、ミシンワークの三箇所を回りながら、自分の好きなように好きな 素材で糸を作るというものでした。ここでいつもはあまり関わりのない、ファンデーションコースの人とも話すことが出来、良い機会になりました。

10月の頭の頃に、学校全体でプレゼンテーションがあり、なんでも良い好きな写真を3枚提出するように言われ、
よくわからず出席しました。この授業では、写真1枚につき1分の説明で3枚紹介し、自分自身をプレゼンするという、おそらくプレゼンテーションの練習のための授業だったのだと思います。スクリーンの前のふかふかなソファーチェアに座りながら、前に座っている全校生徒に自分の好きなものについて話すと、なんだかアメリカのテレビ番組のように思えて1人で二ヤ二ヤしてしまいました。

学校外では、隣のお店でRosemaryさんというご近所さんとなぜか友達になり、Rosemaryさんと娘のVictoria、息子Andresとご飯を食べにいきました。お子さん2人は14歳で日本のアニメが大好きと、私が知らない日本のアニメを教えてくれました。Rosemaryさんごー家は二年前にアメリカからストックホルムに引っ越してきたそうで、スウェーデンで日本好きなアメリカ人と友達になるという不思議な体験をしています。娘のVictoriaは特にセーラームーンが大好きで、日本版とアメリカ版のOPの違いを解説してくれたり、なんだか妹が出来たみたいで可愛いです。

HVの卒業生の個展も見に行きました。主に自然染色でインテリアテキスタイルを織っており、アボカドの種で染色している作品は暖かさと冷たさが混合したなんとも言えない色味がとても素敵でした。

毎日、朝から夜までやることが沢山あるのですが、休憩の取り方がうまくなったのか、あまりストレスを感じません。ただ、スウェーデンに来てから確実にコーヒー中毒のようになっています。クラスメイトのMariaさん日く、これはスウェーデンに来た外国人の通る道だそうです。

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写真はスウェーデンで見つけた面白いものたちなどなど。

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↑とんがりキャベツ、丸いキャベツより柔らかくて苦みが少ないのが特徴
チェーン店のお寿司屋さん。無機質な内観とレンガの外観のギャップがすごかった。

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↑やる気の無い羊。
NORDISKA MUSEETはノーディスカッ ミュージーエットと読むとシャミさんに教えてもらった。

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↑NORDISKA MUSEETのおもちゃの歴史コーナーにゲームボーイが展示されておりびっくりした。

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↑Möbelattという種類のウール、しっとりとしている。ラグの経糸に使うことも出来る強さがある。