コンペ・出展

「第6回学生選抜展」在校生受賞のお知らせ

日本新工芸家連盟主催特別企画「第6回学生選抜展」で、専門コース創作科の近藤雪斗さんの作品が、ニューカラー写真印刷賞を受賞しました。

「栄華」

この作品は、織りの技を駆使して心象風景を織り込み、視覚の効果を高めた綴織タペストリーです。

選抜展では他にも、同じ創作科の沼澤瑠菜さんのタペストリー3部作「ときめき」も展示されます。

第6回「学生選抜展」は第45回「日本新工芸展」の巡回展に伴って全国三都市で開かれ、受賞作品「栄華」は三都市全て、出品作品「ときめき」はそのうち東京と京都で展示予定です。ぜひご覧ください。

東京本展:5月17日(水)~28日(日)国立新美術館
東海展:6月17日(土)~25日(日)松坂屋美術館(名古屋)
近畿展:6月27日(火)~7月2日(日)京都市京セラ美術館
日本新工芸家連盟

在校生受賞のお知らせ

専門コース専攻科の近藤雪斗さんが第71回 西宮市展の西宮市展若手奨励賞を受賞しました。


「Frame」−−この日本に、新しいものを建てたい。大きい窓は建物の顔。文明開化への眼差しが、新しいモノづくりへの情熱が、Frameに思いを託す−−/組織織りのラグです。フレーム柄をいかに美しく織れるかが肝。二重織の組織で白黒の色の切替を、ピックアップの技法で滑らかな曲線の工夫を凝らし、作り手のFrameへの思いを手技に託しています。



第71回 西宮市展
7月2日(土)〜9日(土)
※7月4日(月)は休館
10:00-17:00(最終日は15:00まで)
西宮市立市民ギャラリー

旅するタペストリー

修了展で好評だった綴織タペストリー2作品が、日本新工芸家連盟主催特別企画「第5回学生選抜展」に出品され、5月に東京、6月に京都をめぐります。

この綴織タペストリー制作は、例年専門コース1年目の学生がグループで取り組むプロジェクトです。飾る場所に合わせてテーマを決めてデザインし、大きなサイズで織り上げます。制作にあたっては(株)川島織物セルコンの各現場の専門家による講義を受けて技術を学び、スクール講師のアドバイスのもとで学生ならではの発想力を生かして織り表現を追求しています。

「こえ」2022
「おかえり」2022

今回の出品作品は「こえ」と「おかえり」というタイトルの2作で、(株)川島織物セルコン本社内と、スクールの寮の玄関への展示を想定して制作しています。「こえ」は、併設の川島織物文化館から本社本館に入るスペースを、静けさから賑わいへ切り替わる場所として捉え、声と時間の抽象的なデザインに落とし込んだ一作。「おかえり」は、窓のユニークさや光のニュアンスに注力し、学生自身が普段校舎を使っている実感をもとに温もりを大切にした作品です。

この2作品は秋になると、それぞれの場所に納品される予定です。3月の修了展を経て初夏の選抜展へ、いわば旅をしているタペストリー。旅路は続きます。お近くの方、どうぞお運びください。

第5回「学生選抜展」は第44回「日本新工芸展」の巡回展に伴って全国三都市で開かれ、タペストリー2点はそのうち東京と京都で展示予定です。

また、2020年専攻科修了生の陳 湘璇さんの作品「Permanent」が、同じく第44回「日本新工芸展」に入選しました。併せてご覧ください。

東京本展:5月18日(水)〜29日(日)国立新美術館
近畿展:6月28日(火)〜7月3日(日)京都市京セラ美術館
日本新工芸家連盟

東京デザイナーズウィークに参加して 修了生 単珊

Tinytoadstoolというのは小さな毒きのこのことで、
2008年川島テキスタイルスクール在学中に制作した刺繍フェルト帽子シリーズのことです。
制作手法は主にフェルテイング、染め、刺繍です。
2010年に私はその中の一つの帽子を世界旅行させるhello tinytoadstool project
というプロジェクトを計画しました。
自分のブログにプロジェクト参加者の募集を掲載してから、
世界各地沢山の応募から17か国、18人の参加者が決まりました。
一人の参加者は3枚の写真を撮ってから次の参加者に送るというルールで、
3枚の写真はそれぞれが帽子をかぶっているポートレイト一枚と、参加者が住んでいる町または自分の中の象徴物の前に一枚、そのほかは自由という内容です。

ギリシャからスタートし、スウェーデン、フランスなどヨーロッパの国、
そして北アメリカ、オセアニアとアジアを経て、一年半の長い旅を終えて
今年の10月無事に日本に帰ってきました。

このプロジェクトを通じて、多くの方々が私の作品に触れ、楽しんで貰って、
また、この小さな旅帽子を通して、多くの人々が繋がり、様々なストーリーがおきて、
一つ愛の形になったのではないかと思います。

そして、テキスタイルという分野はあんまり人に知られてないということを直々に感じ、
今回の東京デザイナーズウィークをきっかけに、多くの方々にテキスタイルというのは
とても多様で幅広い分野で、いろいろ面白くクリエイティブなことできるよ、
というメッセージを伝えることができたらいいなと思います。

tiny toadstool

ジャパンテキスタイルコンテスト スプラウト賞受賞  本科 清水わかな

この度12月に行われた愛知県一宮市ファッションデザインセンター主催のジャパンテキスタイルコンテストに応募し、学生の部でスプラウト賞(愛知県知事賞)と奨励賞をいただきました。
このコンテストには、テーマを「毛むくじゃらのお化け」とし、手織り、ジャガード(機械織り)、プリントという手法で3つの作品を作り応募しました。

この3部作は学校の授業で「袖」のテキスタイルを考えた時、沢山の毛糸をまっすぐ横に並べてみた時から始まりました。とても単純なアイデアですが経糸のラインの美しさに感動し、それをそのまま残した生地を作りたいという提案を先生にも認めてもらい、自信を持って制作に取り組む事ができました。また、毛糸が並んでいる様はまるで何かの動物の様だったので、従来の毛皮やフェイクファーとは違う「毛むくじゃらのお化け」というテーマをしたら面白いなと思いテーマを設定しました。

最初は毛糸を縮絨で固めて生地にしようとしましたが何度サンプルを作っても納得のいくものができず、日数ばかり過ぎていきました。一からアイデアを練り直し、手織りで布を作ってみましたが、これも経糸が毛羽だって上手く織れませんでした。行き詰まっていた時に、夏の研修旅行で行ったジャガード織りの工場を訪ね、機械織りで表現できないか相談をしてみたところ、同じ物は出来ないけれど、同じ様な表現は出来そうだという事でそこにある糸から出来る作品を作ってみる事になりました。

その時出来た布が「YAK」という布です。細いモヘアと黒い接着糸という特殊な糸を緯糸に用いた布で、その黒い糸を細い針で裂くと人間の黒髪の様な表情になり、ちょっと気持ち悪い感じになりました。なるべく糸をとばして織って毛の畝りや光沢を多く出して目立たせ、地を埋め尽くすようにモヘアを織り込みました。チベットの高地にいるヤクの様な色をしていたのでその名前をとり、この布がスプラウト賞をいただきました。

3部作の内2つが賞をいただき、結果にはとても満足していますが、一枚の布として見ればやぱりまだまだ改良の余地はあると思っています。今回最後の最後まで諦めず挑戦した様に、この「毛むくじゃらのお化け」シリーズを納得のいくまで改良をして、修了展で発表できればいいと思っています。

ジャパンテキスタイルコンテスト シーズ賞・奨励賞 本科 松本りん

「ジャパン・テキスタイル・コンテスト」に応募した2作品がそれぞれシーズ賞と奨励賞を受賞しました。

「micro graphy」ジャガード織  シーズ賞受賞

この作品は、micro graph(顕微鏡写真)という名の通り、microな世界をテーマに作成しました。たまたま、自分の撮影した画像をパソコンで加工していた時、昆虫の顔のアップのような模様が現れてきました。その画像の断片を反転させてリピートし、ひとつの画面を作っていき、このデザインが出来ました。昆虫の顔や動物の顔、アニメーションのような風景・・・等の様々なものが、鑑賞者の想像力によって、それぞれ異なった世界が見えてくる不思議な画面。これを活かす方向へもっていきました。
6月に学校の研修旅行で訪れた、岐阜のY’sテキスタイルさんにご協力いただきました。デザインデータを持っていき、織物用のデータに変換していただきました。そして、試織をして糸を検討し、デザインの詳細を詰めていきました。白糸の部分のみ、緯糸を飛ばして織っていただき、後に自分でそれをカットして、さらにスポンジで擦ることにより、糸の撚りを解き、ボサボサにさせました。そうすることによって、昆虫の顔をアップで見た時の、産毛のような毛の質感が表現できました。
インパクトの強いデザイン、そして多色で織ったために厚く硬めの生地に仕上がりました。この生地の用途として、布張りのソファのための布という、インテリアの一部として使うことを提案しました。スタンダードなデザインが多く見られる中で、もっと遊びの要素を取り入れ、そのテキスタイルに触れる人の想像力を掻き立てるようなデザインがあっても良いなと思い、今回のデザインに挑戦しました。

「ヒカリノムコウガワ」 オパール加工 奨励賞受賞

 「透」を楽しむことをコンセプトに作成しました。オパール加工とは、生地の一部を薬品で梳かすことによって、その部分を透けさせる加工技術です。春の穏やかな光のイメージで、オパール加工で透けさせた部分をポリロンで、その他のグラウンド部分を直接染料のぼかし染めで、それぞれ染め分けしました。染め分けしたために、ひとつの画面にふたつの世界が入り混じっているような感覚。さらに、透けて見える向こう側の世界が入り込み、より一層不思議な画面に見えてきます。
 このテキスタイルは、レディース服地として提案しました。透けるので、重ね着を前提とした服の提案で、下に着る服の柄や色が透けることを考慮したレイヤードを、着る人自身が楽しめることを目的としています。

ジャパンテキスタイルコンテスト 奨励賞 本間陽子

ひらひら舞う


シルクオーガンジーの布にストライプ状にアイロンプリントをし4〜7mm幅に1本づつカットして、緯糸にモヘア糸と交互に織り込みました。
織る事によって出る線のゆらぎのおもしろさ、所々に見えるアイロンプリントの裏の白と,表の色との違いで,プリントがひらひらと舞っている様子を表現しました。

経糸 梳毛糸3/18
緯糸 シルクオーガンジー モヘア アイロンプリント
サイズ 140×62cm