技術研修

「第8回学生選抜展」受賞のお知らせ

日本新工芸家連盟主催特別企画「第8回学生選抜展」で、技術研修コースの王今さんの綴織タペストリー「Memory」が田中直染料店賞を受賞しました。

「Memory」

選抜展では他にも、創作科の日岡聡美さんの綴織タペストリー「on my way」も展示されます。

第8回「学生選抜展」は第47回「日本新工芸展」の巡回展に伴って全国三都市で開かれ、受賞作品「Memory」は三都市全て、出品作品「on my way」はそのうち東京と京都で展示予定です。ぜひご覧ください。

東京本展:5月12日(月)~18日(日)東京都美術館
東海展:6月21日(土)~29日(日)松坂屋美術館(名古屋)
近畿展:7月1日(火)~6日(日)京都市京セラ美術館

日本新工芸家連盟

修了生インタビュー:「答えが返ってくる安心感のある場所」堤加奈恵

 2024年秋から約3カ月間、川島テキスタイルスクールの技術研修コースに通い、着尺を制作した堤加奈恵さん。繊維造形作家で、大学でテキスタイルの講師をしている堤さんがスクールで着尺を学ぼうと思った動機や、制作プロセス、学んだ実感などについてお話を伺いました。

◆着用するための布を織る経験は必要だと思った

——堤さんが着尺を学びたいと思われたのはなぜですか?
 日本で染織のことを考える時に着物は避けては通れない。今は着物と言えばフォーマルな存在ですが、昔は仕事着や生活するために使う布も家で織られていたことを思うと、着用するための布を織る経験は必要だと思ったんです。あと、着尺といえば一番難易度が高い認識です。独学でも着用する布は織れますが、まだ知らない方法を知りたいですし、学びを得たいと思っていましたのでまずは着物の技術を最初から最後までしっかりと学んだ上で、これから自分で作品への転換などいろいろ考えながら制作していきたいと考えました。

——川島テキスタイルスクールを選んだのはどうしてですか?
 修了生とお仕事をご一緒する機会が何度かあり、技術がしっかりしていると思っていたんです。大学とは違って年齢も経歴もさまざまな方たちが同級生という環境も面白そうだと思ったのもあります。

——今回、堤さんは技術研修コースで制作するのに支援金を得て、スクールの修了展を作品発表の場にするという方法をとっておられます。その内容を教えていただけますか。
 日本美術家連盟「美術家のための支援事業」に採択いただき、この支援金を充てています。作家活動を続けるにはお金の問題がどうしてもあって、助成金を申請して予算を確保する方法というのは作家の先輩から教えてもらってきました。財団や協会によって締切や支援金スタート時期が違うので、コース開始に合うものを選んで申請しました。昨年夏から申請書を書き始めて、決まったのは10月。採択されなかったら自費でも受講しようとは決めていました。

——今回の制作では、花脊(京都市左京区の山村地帯)で採取した植物で染色されました。どのように構想されたのでしょうか。
 今回の着尺もやるからにはテーマを持って制作したいと思っていた矢先に、花脊の方と知り合い、現地に通う中で地域の問題や状況を知り、植物の生態系を守る活動とつなげるテーマに至りました。その上で染料として選んだのは経糸は繁茂を続けるオオハンゴンソウという外来植物で、緯糸は花脊を象徴するチマキザサをはじめ、昔から親しまれてきたトチやクリ、クロモジ、カナクギ、ハギなど。生態系を脅かす外来種を経糸に、昔から地域の方々に親しまれてきた植物を緯糸に織っています。オオハンゴンソウは特定外来生物に指定されていますので、自然観察指導員の方と同行し、ご指示の元で作業をさせてもらいました。

——染色するのにスクールの環境はどうでしたか?
 設備が整っているのは大きいですね。外のスペースでも染められるし、大きい鍋もあるし、家でやるのとは全然違います。山がすぐそこにあるので、煮出した後の植物を自然に返せる。肥やしになると思うと、ごみとして捨てるのとは気分が全然違います。私も将来、こんな染色室を持ちたいという明確な夢ができました。

——制作環境としてスクールはどうでしたか?
 直接先生から教えていただく内容はもちろんのこと、長い年数ここで織物を教えているからこそ蓄積されている情報の多さ、校舎にある設備や織機、道具類なども見ていて勉強になりました。他の学生さんもいろんなものを織っておられて、作業途中の織機を見て、こういう風に進めるのかとか。今まであまりまじまじと見たことのない織機もあって、いろんなタイプの織機を見られたのも楽しかったです。

◆絹糸の扱いにくさに驚き、着物になって納得

——着尺の制作における学びの実感はどうですか。
 すごく濃厚な3カ月で、めちゃくちゃいい経験でした。最初、絹糸の扱いにくさに苦戦しました。普段ウールや綿や麻はよく使うのですが、これまでほとんど生糸を扱ってこなくて、細いし、浮くし、静電気でひっつくし、ささくれに引っかかるしで、これは何?!本当に着物になるまで漕ぎ着けられるの?!と。精練の段階(染色の前工程)から衝撃で、(アルカリ性のお湯につけて)表面のセリシンが溶けていく様子や、どんどん光沢が出てくる事に、昔の人はよくここにこの艶が眠っている事に気づいたなとか、考えていました。そして、この扱いにくい生糸をいかに扱いやすくするのか、というところにも知恵が詰まっていて、改めてすごいなと思いました。
 絣についても、どの工程も隙がなくて気が抜けない。思い通りの柄を出すための1mmの為の神経が凄まじく、着物にかけるエネルギーがすごいと思いました。衣服のデザインや選ばれる素材は、昔から権力の象徴であったり、集団行動をする上で大切な役割だったことについても考えました。これまで私の知っている絣と、今回取り組んだ絹糸の着尺の絣は全く別物でした。

——着物に仕立てた作品を見て、今どんな思いがありますか。
 縫い合わさって立体的に仕上げたものは、絹独特の艶感が際立ち、光の受け方も相まって布の色の見え方が美しい。今までの苦労が全て報われた感じがして、大変な素材ではあるけれど、この美しさを前にして納得できました。

——スクールでの学びは堤さんにとってどういうものでしたか?
 すごく気持ちいい時間でした。ここは技術の集積所みたいだなと。現代では自分で織ることはほぼされなくなり、生きた技術はすでになくなっていることが多い中で、技術を集積しているのがこの学校だと思ったんです。先生から教わる時もそうですし、会社(川島織物セルコン)で蓄積された専門技術もこの学校で担保され、守られている。円の中に多角形で表すグラフ(レーダーチャート)で表すと、面積が広くて総合的にバランスがとれているイメージ。そんな場所がどっしりと存在してくれている有り難さを感じます。駆け込み寺のような、どうすればいいかわからないことでも聞けば必ず答えが返ってくる、安心感のある場所として存在している気がします。

——本気で織物をやりたい人が学びに来てくれるからこそ、スクールも日々更新しています。作家で講師である堤さんの学びの姿勢に励まされる人もいるのではないかと思います。学びたい時はいつでも戻ってきてください。ありがとうございました。

*堤さんは2020年、専門コース「表現論」の講義でゲスト講師としても来られました。授業リポート記事はこちら

西陣絣加工師・葛西郁子さん工房訪問

このほど課外研修として、京都・西陣にある葛西絣加工所を訪れました。当日は西陣絣加工師の葛西郁子さんと、絣加工を手伝っている平林久美さんが迎えてくれました。参加したのは専門コース専攻科と技術研修コースの学生、そして留学生です。

専門コースでは全員が絣の基礎を学び、2年目の専攻科でも個人制作で絣が主体の作品や、絣を取り入れた作品制作に取り組んでいる学生がいます。留学生は絣基礎コースを修了したばかり。絣を学んだからこそ、絣加工という専門的な仕事内容が想像しやすく、活発に質問が飛び交った場となりました。

葛西さんからは、絣の経糸をつくる自身の仕事について、生地見本を見ながら西陣絣の魅力について、映像を見ながら西陣絣の成り立ちについてそれぞれ説明があり、さらに絣の括りと、西陣絣特有の「梯子(はしご)」という道具の実演がありました。身振り手振りを交えて西陣絣の魅力を全身で伝えようとする葛西さんのエネルギッシュな姿勢に引き込まれるように、身を入れて聞き入る学生たち。特に留学生はスクールの絣コースを受講するために来日していて、学ぶ姿勢も積極的。「なぜ緯糸は見えないのか」「経糸は全何メートル?」「筬が弓状の形なのはなぜ?」など次々に質問し、葛西さんも丁寧に、内容をふくらませて答えてくれました。

昨年に引き続き、今回も同席された平林さんは、じつは川島テキスタイルスクールの修了生で、今年(2024)から西陣絣加工業組合の一員になったそうです。葛西さんの絣加工の仕事を手伝いながら、自ら加工した絣糸を用いて、織る作業も行っていて、この日は機にかかった作業途中のビロードとお召を特別に見せてくれました。目を輝かせて、高貴なビロードの制作に見入る留学生。「日本での用途は?」「海外では?」と聞き合い、イタリアから来た学生がイタリアのビロード製作風景の写真を見せる場面も。こうして時間があっという間に過ぎ、盛りだくさんの内容に、最後は皆の充実感が笑顔になってあふれました。

近年恒例となっている葛西絣加工所への訪問。2024年の今回は、絣の熱意が交差する、清々しい場となりました。

2021年訪問時のリポート詳細はこちら

冨田潤先生工房見学

秋の課外研修として、冨田潤先生の工房を訪れました。参加したのは専門コースの本科(1年)と技術研修科の学生、そして留学生です。留学生のなかには、冨田先生の著書“Japanese Ikat Weaving” (1982年、Routledge Kegan & Paul)を持参した学生や、出身大学の図書館でその本を読んでいた学生もいて、冨田先生がいかに海外で知られているかがわかります。

訪れたのは京都の北西にある越畑。里山にある拠点をThe Villageと名付け、「染織でつながりながら暮らしを創造していく集合体として」活動を実践しておられる場です。当日は冨田先生の案内のもとギャラリーで作品を見て、アトリエを見学。アトリエではジャガードをドビー機に改造した機の仕組みの説明を受けて、染織家のホリノウチマヨさんからも制作中の作品のお話がありました。午後は住居のある古民家でDVDを鑑賞。冨田先生との交流やDVDの内容に、留学生の一人は制作のインスピレーションを受けた様子で、懸命にメモを取る姿もありました。

自然豊かな環境で、暮らしと仕事が一体となるありように、織りを通して心豊かに生きることを感じたひとときでもありました。

修了生インタビュー:「学校の風景とともにある着尺の旅」藤原由美

 大学の通信教育で着尺を学んだ後、川島テキスタイルスクールの技術研修コースに通った藤原由美さん。スクールでは毎日、朝から晩まで織りに没頭し、四季の変化を感じながら、絣の着尺を7カ月で織り上げました。そして言います。「ここの風景とともに着尺はありました」と。充実感いっぱいに「織りの旅をした」と語る藤原さんのインタビューです。

◆ 緯糸一本入れるだけでも、一歩進める
——技術研修コースに入学を決めた経緯を教えてください
 私は着付けを習ったことがあり、着尺を織るのに興味がありました。大学の通信教育で染織を学び、卒業制作で初めて着尺を織りました。自宅で一人での制作。無我夢中で仕上げましたが、糸が手になじむまではいかなかったので、もう一度着尺を織りたいという思いがありました。
 こちらに来たきっかけはワークショップです。「はじめての織り」をはじめ、いろんなワークショップを受講するなかで、どの先生も糸一本一本を丁寧に扱う姿勢が印象的でした。昨年、技術研修コースで帯を織った方にも会い、私も踏み出そうと入学しました。

——実際に取り組んで、どのような学びがありましたか。
 デザインの考え方から一歩ずつ、丁寧に学んでいけました。専門コース創作科の方々と同じ机を使わせてもらって、制作の様子を見ていると、皆さんすごく丁寧にデザインを考えている。まずはデザインありきで技術、そこに思いが込められて作品が出来上がっていくんだなとわかりました。私一人のなかにはデザインのレパートリーが少ないのですが、同じように制作に励む人たちがいる環境だからこそ、学びが広がりました。考えたデザインをもとに先生から経絣を提案され、さらにずらし絣にすることで光が流れるイメージができました。

——絣で気づきはありましたか?
 17メートルの経糸に合わせて絣のテープをつくるのに、わずかな誤差が大きなずれにつながるので大切に、くくり方の丁寧さも教えていただきました。くくって地染めするのに約2カ月、防染に1カ月近くかかって、絣はすごく時間がかかる工程だとわかりました。しんどいなと感じることもありましたが、自分の手元に来てくれた糸なので愛着がわきますし、「必ず模様を出してあげるからね」と糸に語りかけながらやっていました。
 織物ってどの工程も、やった分進んでいく。たとえ5分でも一つくくれたら、緯糸一本入れるだけでも一歩進める感じがあったので、着々と。そうして糸にきちんと向き合うところから始められたのもよかったです。

◆思いの詰まった一枚に
——学びの環境としてはどうでしたか。
 困った時、先生に聞ける安心感がありました。何か違うことをやってもすぐに助けを求められる環境で、(軌道修正して)安心して次に進むことができたので。専門コースで絣の着物を制作した方と話せたのも心強かったです。
 着尺用の織り機を使えたのもよかったです。専用の機だと安定して打ち込めて、まっすぐきれいに織れました。音の響きもいいですし。

——実際の学校生活は、制作に何か影響はありましたか?
 はい。この学校の風景とともに着尺はありました。窓の外には緑が広がり、季節の変化を感じながら過ごせて、色もこの景色のなかで生まれたものです。学校の周りの植物を使って染めたので。自宅にある山桜の木を地色にしたいと思っていたら、堀先生が学校周辺の草木も使ってみたら?と提案くださって。そこからヨモギやカラスノエンドウ、ビワの葉などを使って色彩が生まれ、景色を着尺に写させてもらった感じがしています。

——無事に着尺を織り上げ、技術研修を終えた今の気持ちを聞かせてください。
 この自然に囲まれた静かで、すてきな空気感が漂う環境で学べたことが何よりの宝物です。寮ではご飯もお風呂も用意されていて、毎日織りだけに集中できる本当に幸せな時間でした。特に最後の2週間は、一日の終わりに疲れても顔は喜んでいて、筋肉が笑顔で固まっている状態(笑)。やっぱり織りは楽しいと思いました。
 織りと一緒に私も育てていただきました。何事も一足飛びにはいかなくて、順を追って一歩ずつ、積み重ねが大事だなと。私は一枚目の着尺制作でやり残した感があって、もう一枚は必ず織ってみたいという気持ちがあってこの学校に来ました。ここでとても丁寧に教えていただいて、思いの詰まった一枚に仕上がってとても嬉しいです。これでまた、新たな織物に出会う旅に出られる。ここから始まります。

修了生インタビュー:絣の帯を制作して「次の夢が見えた」神田洋子

故郷の新潟で18年間ギャラリー&茶房を主宰してこられた神田洋子さん。2年間の京都滞在を機に、「染織の基礎をきちんと学びたい」と川島テキスタイルスクール(KTS)のワークショップをいくつか受講。そのうちの一つ「ずらし絣のマフラー」を受けた時、「もっといろんな絣模様に挑戦したい」と思い、3カ月の技術研修コースに進んで絣の技法を使った帯を制作しました。70代で新たに学びに踏み出して、修了時に「先が開けた感じがしています」という神田さんのインタビューをお届けします。

◆  私にも「できた」を体感

−−新潟県ご出身の神田さんは、2年間限定で京都に来られました。織りを学びたいと思われたきっかけは?

私の住んでいる地域は、新潟県の中でも小千谷や十日町、塩沢など織物の産地が近く、昔から織物に携わっている方が多いです。そんな土地柄と、友人の好意で織機5台を自宅のアトリエに入れたのをきっかけに、経験者の仲間の指導と本を頼りに5人で平織りを中心に楽しんできました。ギャラリーの仕事を一旦お休みして京都に来たのを機に、染織の基本をきちんと学んで、それを帰ってからも生かしたいと思いました。

−−ワークショップから技術研修へ、KTSで学びを継続された理由は何でしょう。

自宅に織機があって仲間もいるので、学んだことを今後も続けられるような形で持ち帰りたいと思ったからです。KTSではどの講座も内容が充実していて、学びの緊張感がありました。絣はプロの職人がやるものと思っていましたが、絣のワークショップを受講して私にもできたのがすごく嬉しくて。学びの緊張感と結果の充実感を、もう少し長く体感したい、そして3カ月で形にすることで、その先につなげていきたいと思いました。

−−技術研修コースでは、デザインから始めて試作を行い、帯を制作されました。制作過程における学びを教えてください。

お太鼓の部分に、川の流れをイメージした流水紋をデザインしました。流れるように生きてきた私の人生にも重ねて。デザインから取り組むのは初めてで、思いついた図案が絣に合うかが分からず、イメージを制作につなぐのが難しかったです。糸を一本一本動かして、なめらかな曲線を作るのに苦心しましたが、織り進めるにつれて線が表れてくるのが面白くて! 糸の引っ張り具合や角度を試行錯誤する中で、経と緯の糸がイメージどおりにピタッと合う回数が段々と増えていく。緯絣は何度もやり直して自分が納得いくまでできましたが、経絣は機に糸を張ってしまうので、やり直しがきかない。絣は最初の組み立てが大事だと分かりました。思ったようにいかなくても、先生に相談しながらどうしたらいいかを考えながら進めていく過程そのものが楽しく、それが学びでした。

◆手仕事でお返ししたい

−−初めての挑戦で、3カ月で作品を仕上げるご苦労もあったのではないかと思います。前向きに受け止めることができるのはなぜでしょうか?

私は手仕事が好きで、織りは長年やりたかったこと。まずは、好きなことができた喜びと感謝が大きいです。やっぱり私は、糸や布にまつわる手仕事が好きだと実感しました。次やる時には反省点を生かして、もう少し自分の図案に合うよう、染めやすいように色を重ねる工夫ができるかなと思います。家に帰ってから、もう一度挑戦してみます。そんな意欲が芽生えるほど充実していました。手織りに加えて、絣が学べた喜びもあります。

−−絣の魅力は何だと思いますか。

絣の細やかさや素朴感が好きです。方眼紙のマス目の上に模様を描き、経と緯の組み合わせで様々な絣模様ができる可能性を思うと夢が広がりますね。スクールで絣を学んで、どう織るかを想像できるようになり、ものづくりのスキルが増えて先が開けた感じがしています。

−−先が開けた感じとは?

今住んでいる地域に里山があり、自然の恵みと共に生活があります。スクールで天然染色を学び、その難しさを知りましたが、周りにある自然がものづくりの素材になると思うと嬉しさがありますね。これから染織を取り入れて、自然と暮らしと相互につながっていくと思います。

それから制作しながら、この先、もう少しきれいに織れるようになったら、あの方に差し上げたいな、あの方ならこんな色が似合うだろうなと想像しながら、次の夢を描いていました。これまで私は周りの方にたくさんお世話になってきたので、手仕事でお返ししたい。今、生きていることに感謝していて、元気でいられる時間を本当に大事にしたい。スクールで学んだ3カ月を基本にして、手仕事の次の夢を描いていきます。


技術研修コースを修了して 駒田桃子

大学では染織ゼミに所属しており、卒業後に技術研修コースで3ヶ月間スクールでお世話になりました。
在学中は、ノッティングという技法でタペストリーを制作しました。

織りの経験があるとはいえ、制作を進めていく中でひとりでは迷うこともたくさんあります。
ここではいろいろな専門の先生がいるので、ひとつ質問をしても様々な角度で答えが返ってきます。
そして自分が今までやってきたことという狭い世界から少し出てこれたように思います。

制作風景

また、ここでは自分の学びたいという気持ちに応えてくれる環境が整っています。なので3ヶ月という短い期間でも、自分の意欲次第で期待以上の学びが得られるという実感がありました。
卒業後は、自分が感じている織りの良さやそのこだわりを、織りながら実感し制作していきたいです。

技術研修コース 2020年10月・2021年4月入学 募集しています。
ある程度の織経験を持つ方が3ヶ月、6ヶ月、1年の期間でテーマを持って研究と制作を行うコースです。 受講生は大学で染織を学んだ方や改めて専門的に学びたい方等です。