2025年4月から開催されている大阪・関西万博で、(株)川島織物セルコンが制作したタペストリー作品に、川島テキスタイルスクールの修了生の加納さんと園さんが制作補助として携わりました。
作品は各国の首脳など賓客を接遇する「迎賓館」にしつらえるためのもので、川島織物セルコンがデザインと監修に2人の現代美術家を起用し、大型タペストリーを制作。スクールの修了生が関わったのは、そのうち手塚愛子さんがデザインした作品です。
手塚さんは、織られたものを解きほぐし、歴史上の造形物を引用、編集しながら新たな構造体を作り出す、という独自の手法で制作しており、今回の作品もこの手法で展開。修了生は再構築の部分で参加しました。2人の感想を紹介します。
今回の作品制作は、手塚さんの図案によって制作された二枚のタペストリーの緯糸を引き抜いて織構造を一部解体し、それぞれの経糸同士を平織りで織り直し、一枚のタペストリーとして再構築するというものでした。また、万博での展示のため大変規模の大きいものでした。
織幅3メートルほどの、自身の手に収まらないサイズの織物の制作は大変な作業ではありますが、布を織るという構造は手機の場合と同じです。今回の制作で私たちは、綜絖を上げ、緯糸を通し、筬を滑りこませて、綜絖を下げて打ち込む、という作業を5~6人がかりで行い、布を仕上げていきました。
複数の身体を使って、機の大きさにとらわれることのない織物を制作することは、普段の織り機や、手のスケールを大きく超えて、織るという行為や織物の構造・形式を改めて捉え直すための貴重な機会であったと感じます。(加納)
今回、10メートルをゆうに超える大きな作品の制作補助ということで、規模としても制作方法としても得難い経験ができました。手織り機とはまったくサイズ感が異なりますが、織物の根本的な法則やそこから生まれる美しさみたいなものは同じなのだなと感じました。(園)
関連リンク(プレスリリース):
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