コンペ・出展

ジャパンテキスタイルコンテスト シーズ賞・奨励賞 本科 松本りん

「ジャパン・テキスタイル・コンテスト」に応募した2作品がそれぞれシーズ賞と奨励賞を受賞しました。

「micro graphy」ジャガード織  シーズ賞受賞

この作品は、micro graph(顕微鏡写真)という名の通り、microな世界をテーマに作成しました。たまたま、自分の撮影した画像をパソコンで加工していた時、昆虫の顔のアップのような模様が現れてきました。その画像の断片を反転させてリピートし、ひとつの画面を作っていき、このデザインが出来ました。昆虫の顔や動物の顔、アニメーションのような風景・・・等の様々なものが、鑑賞者の想像力によって、それぞれ異なった世界が見えてくる不思議な画面。これを活かす方向へもっていきました。
6月に学校の研修旅行で訪れた、岐阜のY’sテキスタイルさんにご協力いただきました。デザインデータを持っていき、織物用のデータに変換していただきました。そして、試織をして糸を検討し、デザインの詳細を詰めていきました。白糸の部分のみ、緯糸を飛ばして織っていただき、後に自分でそれをカットして、さらにスポンジで擦ることにより、糸の撚りを解き、ボサボサにさせました。そうすることによって、昆虫の顔をアップで見た時の、産毛のような毛の質感が表現できました。
インパクトの強いデザイン、そして多色で織ったために厚く硬めの生地に仕上がりました。この生地の用途として、布張りのソファのための布という、インテリアの一部として使うことを提案しました。スタンダードなデザインが多く見られる中で、もっと遊びの要素を取り入れ、そのテキスタイルに触れる人の想像力を掻き立てるようなデザインがあっても良いなと思い、今回のデザインに挑戦しました。

「ヒカリノムコウガワ」 オパール加工 奨励賞受賞

 「透」を楽しむことをコンセプトに作成しました。オパール加工とは、生地の一部を薬品で梳かすことによって、その部分を透けさせる加工技術です。春の穏やかな光のイメージで、オパール加工で透けさせた部分をポリロンで、その他のグラウンド部分を直接染料のぼかし染めで、それぞれ染め分けしました。染め分けしたために、ひとつの画面にふたつの世界が入り混じっているような感覚。さらに、透けて見える向こう側の世界が入り込み、より一層不思議な画面に見えてきます。
 このテキスタイルは、レディース服地として提案しました。透けるので、重ね着を前提とした服の提案で、下に着る服の柄や色が透けることを考慮したレイヤードを、着る人自身が楽しめることを目的としています。

ジャパンテキスタイルコンテスト 奨励賞 本間陽子

ひらひら舞う


シルクオーガンジーの布にストライプ状にアイロンプリントをし4〜7mm幅に1本づつカットして、緯糸にモヘア糸と交互に織り込みました。
織る事によって出る線のゆらぎのおもしろさ、所々に見えるアイロンプリントの裏の白と,表の色との違いで,プリントがひらひらと舞っている様子を表現しました。

経糸 梳毛糸3/18
緯糸 シルクオーガンジー モヘア アイロンプリント
サイズ 140×62cm

帽子デザインコンテスト 本科 松本りん

全日本帽子協会主催の帽子デザインコンテストに、作品を出品していました。このコンテストは、今年の6月に一次審査が行われました。一次審査はデザイン画による審査で、いくつ応募しても良いということだったので、私は3作品応募しました。審査の結果、3作品のうち2作品が一次審査を通過したとの通知がきました。通過した2作品のデザインは、ひとつはアジアの伝統的な被り物である笠を現代風にアレンジしたもの、もうひとつは、革と柔らかいシフォン地を使用したアシンメトリーなデザインのハットです。

 最終審査は、一次審査で通過したデザイン画を元に、実際に制作した帽子を審査されます。締め切りは8月末日だったので、夏休みの暑い最中に制作しました。笠は、細いテープ状の素材をミシンで接いでいくブレーディングという手法で作ることにしていて、この技法は素人には難しい技法なので、6月の研修旅行で訪れた名古屋の帽子工場・(有)森安さんにご協力いただきました。森安さんで、デザイン説明をし、職人さん方と相談しながら制作を進めました。自分ひとりではここまでのクオリティのものはできなかったと思います。(有)森安のみなさんにはとても感謝しています。
 もうひとつのアシンメトリーのハットは、(有)森安さんにてフェルトの型押しで土台部分のみを作っていただき、その他の部分は自分で縫製することにしました。このハットは、硬い革と柔らかいシフォン地を縫い合わせるので、ミシンの目調子がうまく調整できなかったり、シフォンにギャザーを寄せるのですが、ギャザーが均等に寄らなかったりと、思った以上に苦戦しました。最終的に、ミシンは諦めてほぼ手縫いで完成させましたが、時間をかけた甲斐もあって、ほぼデザイン画通りに仕上がりました。

 最終審査の結果、上位30名に選ばれたとのことで、入賞祝賀パーティーに招待していただきました。そのパーティーで、最優秀賞・優秀賞・各特別賞の発表があるとのことでした。同じ本科の岡本くんも30名に選ばれ、2人で参加してきました。パーティーでは、ファッションショー形式で、私たち30名の帽子がお披露目されました。実際に自分の帽子を人が被って歩いているところを見られて良かったです。そして、いよいよ賞の発表・・・。結果は・・・!二人とも落選でした・・・残念。でも、上位30名は入選とのことで、立派な賞状をいただきました。正直、悔しかったけど、入選作品全てを見た上で、やっぱり自分の作品が一番好きだったので、満足しています。

 最終結果が出るまで長かったですが、このコンテストを通して(有)森安さんを再び訪れることが出来たし、精一杯モノ作りをする機会が持てて、良い経験になりました。入選した帽子は、機会があれば披露したいと思います。