ジャパンテキスタイルコンテスト スプラウト賞受賞  本科 清水わかな

この度12月に行われた愛知県一宮市ファッションデザインセンター主催のジャパンテキスタイルコンテストに応募し、学生の部でスプラウト賞(愛知県知事賞)と奨励賞をいただきました。
このコンテストには、テーマを「毛むくじゃらのお化け」とし、手織り、ジャガード(機械織り)、プリントという手法で3つの作品を作り応募しました。

この3部作は学校の授業で「袖」のテキスタイルを考えた時、沢山の毛糸をまっすぐ横に並べてみた時から始まりました。とても単純なアイデアですが経糸のラインの美しさに感動し、それをそのまま残した生地を作りたいという提案を先生にも認めてもらい、自信を持って制作に取り組む事ができました。また、毛糸が並んでいる様はまるで何かの動物の様だったので、従来の毛皮やフェイクファーとは違う「毛むくじゃらのお化け」というテーマをしたら面白いなと思いテーマを設定しました。

最初は毛糸を縮絨で固めて生地にしようとしましたが何度サンプルを作っても納得のいくものができず、日数ばかり過ぎていきました。一からアイデアを練り直し、手織りで布を作ってみましたが、これも経糸が毛羽だって上手く織れませんでした。行き詰まっていた時に、夏の研修旅行で行ったジャガード織りの工場を訪ね、機械織りで表現できないか相談をしてみたところ、同じ物は出来ないけれど、同じ様な表現は出来そうだという事でそこにある糸から出来る作品を作ってみる事になりました。

その時出来た布が「YAK」という布です。細いモヘアと黒い接着糸という特殊な糸を緯糸に用いた布で、その黒い糸を細い針で裂くと人間の黒髪の様な表情になり、ちょっと気持ち悪い感じになりました。なるべく糸をとばして織って毛の畝りや光沢を多く出して目立たせ、地を埋め尽くすようにモヘアを織り込みました。チベットの高地にいるヤクの様な色をしていたのでその名前をとり、この布がスプラウト賞をいただきました。

3部作の内2つが賞をいただき、結果にはとても満足していますが、一枚の布として見ればやぱりまだまだ改良の余地はあると思っています。今回最後の最後まで諦めず挑戦した様に、この「毛むくじゃらのお化け」シリーズを納得のいくまで改良をして、修了展で発表できればいいと思っています。