織実習「布を織る」 本科 諸岡 珠永

今回の織の課題は絵画を一つ決め、縞をデザインし、8mの布を織るというものでした。
私はゴッホの〈夜のカフェテラス〉を選んで、縞のデザインを考えました。

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絵画の中から選んだ4色でも隣り合う色や縞の幅によって雰囲気、印象が変わり絵画の雰囲気を落とし込むというのが難しいと感じましたが沢山の組み合わせ、見せ方があるのだと実感しとても面白かったです。

経糸の整経では二本ずつ確認しながら集中してするためとても時間がかかりましたがとても楽しい気持ちでできました。
ただこの時にテンションが均一になっていなかったので後の後ろ付けと前付けの時にテンションを全体で合わせるのが少し大変になってしまいました。
また、糸が細く伸びやすいため、経糸を機にかけるときが大変でした。
特に綾返しの時に糸が絡まないように経糸をさばいていくときにはその時までに糸にかかった負担が糸の伸びという形で出てきました。
糸が伸びてしまうと千切に巻き取るときに絡まってしまったり糸が切れたりしてしまいます。そのため伸びた糸を後ろに引っ張ってテンションを合わせていきました。
一つ一つの作業はつながっていてそれぞれ丁寧にしないとどこかでしわ寄せがくるのだと知りました。

試織をして緯糸の色を決めるのは思った以上に大変でした。緯糸の色で雰囲気が変わり理想の雰囲気の色がなかなか見つかりませんでした。
最初はネイビーや青で考えていましたが試織をしてみると横糸が暗すぎると経糸の白や黄色が潰れてしまうことがわかりました。青、灰色系統で色々と試してみて暗い灰色に決めました。

織り始めてからはとても速かったように思います。最初練習で30㎝程織りましたが左右の端がきれいにならずそろえるのに苦労しました。はじめは織ること自体が難しく1時間で10㎝程度しか進みませんでした。だんだんと慣れてくると時間も気にすることなく楽しく織ることができるようになりました。

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最後に織りあがった布と風呂敷を一緒に飾りました。織るときは真上から40㎝ほどしか見えていなかったので7mほどの縞と風呂敷を一気に見たときにはこれを織りあげたのだと強い達成感を感じました。
緯糸を染めるときに思っていたよりも濃度が薄くなってしまい淡くなってしまったと思っていましたが、離れてみてみると暗すぎずこの暗さでよかったのだと思いました。
近い距離で見ている時よりも少し離れた方が冷静に見れてもっと自分の縞が好きになれました。

縞のデザインは自分が意図しないところでうまくいっていたり面白い縞になっている部分が多かったのでどうして面白くなったのかを理解してこれからの制作にいかしていきたいと思います。

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織物がわかる5日間を受講して

8月開講のワークショップ「組織がわかる5日間」に参加しての声を広島県・笹村さんからいただきました。

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1年ほど織と染めを学んだ私ですが、織る楽しみは知っているものの、織り始めるまでの準備は骨が折れると実感。
今回、縁あって知り合いよりルクルークの機を譲ってもらいました。
しかしながら今まで使った高機とは全く異なるので、まずは機の使い方を知りたいと思い、この講座を申し込みました。

初心者向けの講座ということもあって、機道具の説明からタイアップ、経糸の準備までの工程を1つ1つ丁寧に教えていただき、今まで織りに持っていた苦手意識や疑問も解けました。
使う糸もやや太めなので、50代の私でも綜絖通しがスムーズに。
そしてこの機なら、自宅で1人でも準備からできるという自信がつきました。
先生に気軽に質問でき、他の生徒さんとも教え合ったりと、講座は和気藹々とした雰囲気。
テキストをもとに基本的な講義もあり、ついにはドラフト図(組織図)もわかるようになりました。
最後の自由作品制作ではランチョンマット2枚を作りました。

自宅が広島なので寮を利用しましたが、浴室もゆったり、食堂の食事もおいしく快適に過ごせました。
ランドリーにはアイロンもあり、おかげで少ない着替えでもやり過ごせました。
家に戻ったらもう一度同じ糸で織りたいと、講座で使った糸やシャトル、筬立てを校内で購入できたのもよかったです。
できれば今後も、毎年1回は何らかの講座でまたここを訪れたいと考えています。

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こちらの講座は、手織りを始めたい方、機の使い方を学びたい方、ブランクがある方などにおすすめの講座です。
次回は2月4日(火)から開講しますので、ご興味のある方は是非ご参加ください。

スクール見学受け付けています

スクールでは見学を随時受け付けています。
入学案内コース説明、学内施設見学、個人相談などを行っていますので、どうぞお気軽にお越し下さい。 個別対応形式で行いますので、見学をご希望の方はご希望日時を事前にご連絡下さい。

オープンスクールと織物体験開催します。
9月22日(土) 10:00-16:00
スクール入学案内見学、そしてコースターを1枚織ってお持ち帰りいただけます。この機会にぜひお越しいただき、織物の魅力を体感してください。
*体験できる枠には限りがございますので、申込み先着順とさせていただきます。コンタクトフォームまたは、お電話よりお問い合せください。
http://www.kawashima-textile-school.jp/info/contact

TEL : 075-741-3151

校舎正面

紗と絽 専攻科 小郷晴子

小田芽羅先生による「竹糸で織る紗のストールと絽のランチョンマット」4日間のワークショップに参加しました。
口頭だけでは、どの様に織られているのか、理解する事が難しい仕組みでした。
ワークショップでは、機掛けから織りまで丁寧に教えて頂き、基本的な紗と絽の織りを理解する事が出来ました。
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出来上がった紗のストール

紗と絽を織る際にポイントとなるのが、綜絖と筬の間に仕掛ける、経糸を捩(もじ)る仕組みの半綜絖です。
半綜絖用のふるえは、経糸総本数の半本数、糸を輪っか状にはた結びし作りました。結ぶ際に、輪の大きさを揃えなければ、開口の揃い方にも影響するのですが、はた結びが苦手なので難しく、器用さが必要だと思いました。
今回、ふるえ用に使用したのは、綿100%のカタン糸で丈夫な糸だそうです。

紗のストールに使用した竹糸は、シルクの様なコットンの様な・・・、不思議な肌触りです。
竹の繊維を撚った単糸を6〜8本撚り合わせてある竹糸を使用したので、カタン糸に負けない強度があり、切れる心配が無く、整経も織りも進めやすい糸でした。

半綜絖は、開口があまり良くない為、開口のより良い天秤機を使用しました。けれども、半綜絖の開口は良くは無いので、注意してシャトルを通さなければならず、織り上がってから見直してみると、経糸の浮いてしまった箇所が有り残念に思います。捩り部分には隙間が出来、進められるスピードが速いので、気持ち良く織ることができます。
隙間が多く、紗や絽にしか無い、独特な風合いと、軽やかな仕上がりになりました。
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左:紗 右:絽

今回のワークショップは、5人の織り経験のある方々と一緒に教えて頂きました。
織りの基本は同じだけれど、少しずつ違った方法を、お互いに見聞きしました。
ワークショップに参加する度に、より良い方法を見出す事が出来、学べる事が多いです。

織実習「綴織」 本科 浅井広美

綴織(つづれおり)は、つよく張った経糸に、緯糸を(筬で打ち込む代りに)爪で搔きよせ、下絵を写すように模様を織り上げる織り技法です。今回の綴織の授業では、2枚の見本織りをした後、花をテーマに45x45cmのタペストリーを織る課題が出されました。

まず、花の下絵を描くにあたり、植物園まで足を運び、多くの花の中から一番心動かされたバラの原種を題材にすることにしました。
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その後、原画を描き、それをどのように織っていくか決める上で、綴織作家の作品集などを参考に、今まで習った技法をどのように使えば絵具で塗った質感が出せるか、どうすれば奥行きのある絵に見せることができるのか考えていきました。
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織りに入る前の最後の作業は、試し織りをすることです。杢糸(2本の違う色の糸を絡ませて違う色を作る)が織物になった時にどんな色になるか、候補の色を並べて見比べ、最終的に使用する糸を決めていきます。
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織り始めてみると、思ったように形にするのが難しいところや、背景と花の色が似ていて同化してしまうなどの問題に突き当たり、何度もやり直しながら試行錯誤を繰り返しました。
特に花びらは、徐々に色を変えていく部分や、立体的に見せるために描いた影がうまく表現できず、悩みながら多くの時間を費やしました。
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それでも、下絵がだんだんと織物になってき、手が慣れてくる頃には、形作るのが大変だった葉の部分も、楽しい作業に変わっていきました。
最後に、完成後の講評会では、花よりも葉の方がイキイキして見えると先生がおっしゃっていたのを聞いて、織っている時々の心境は作品に表れてしまうものだと、この課題を通して実感しました。

今回の課題は、織りが順調に進むところ、織っても、織っても終わりがないように思えるところの繰り返しで、一枚完成させるまでの工程は、まるで起伏が激しい道のりを旅しているようでした。完成した作品を見るたびに、構図や描き方(織り方)、色の選択など、改善点ばかりに目がいってしまいますが、同時に、花びらや葉っぱの1枚1枚を見れば、その時自分がどんな気分で織っていたかが蘇り、一つ一つの工程が旅の記録のように、この1枚に刻まれているようです。
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美山ちいさな藍美術館を訪れて 本科 加納有芙子

5月24日、美山にある新道弘之さんの工房にお伺いしました。
今回は、本科生のレポートを掲載します。

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京都府南丹市美山町にある藍染工房”ちいさな藍美術館”を訪ねた。普段学校では、先染めである織を勉強をしているわたしにとって”染め”という分野はすこし新鮮に感じられ、またいまひとつイメージできない世界であった。濃い青色で古来から存在する色。自然からとれる染料。ジャパンブルー。・・・・といったくらいのぼやけたイメージとあとは、授業で見た”ブルーアルケミー”というドキュメンタリー映像で得た知識くらいであった。

スクールがある京都市左京区静市から美山まではバスで2時間半程度だった。窓からみえる景色は徐々に変わってゆき緑が深めき透明な空気さえも覚えるほどの風景の中美山に到着した。美山の村は丘のように膨らみをつくっている山と山の間にすっぽりと入りこんでいてなんとも可愛らしい印象がした。南には風景を彩るように川が流れていて、入母屋造りの家々が秩序なくぽこぽこと点在し、その間を縫うように小道がなだらかに続いていた。工房はさらに小道を進んだところあり草の香りが強いところだった。美山へ来るのは今回が初めてだったが、ここに藍染の工房を持つことはとても恵まれているように感じた。他の家々と同じように造られた茅葺屋根のある工房は、計算されてそこに在るというよりも、自然発生的にそこに存在しているように感じられて、風景と同じようにそこに佇んでいた。

新道さんがここに工房を構えたのはいまから40年近く前のことだ。当時はここに移住してくる人は珍しく、かつ社会的にも都市から地方へ出ていくのも稀なことだったようだ。そんな中ここに工房を構えた理由はより自然に近い場所・状態で藍染めをするためであった。藍染めには『天然の水・発酵菌・灰汁作りの灰』が欠かせないため町の中心地では難しいのだと語ってくれた。玄関から右手にすすんだ建物の北側が工房になっていて、そこには藍の甕が土間に埋められている。ここで藍の発酵から染めまでを行っている。工房内で藍がぷくぷくと発酵しているのを見るとなんとなく新道さんが言う自然に近い状態というのがわかるような気がした。藍の染料を見るのは今回が初めてだったが、まずは甕に建っている藍の濃厚さに驚いた。それは生命感があり、その瞬間もゆっくりと発酵を続けているとわかるようだった。

わたしにとっての新しい発見は、藍染めで染められる色のバリエーションがいかに多いかというこだった。実際に新道さんは近日に仕込んだ甕(①)と冬に仕込んだ甕(②)を染め、その色の違いを実演してくれた。①と②の甕では、表層の藍華の出方や見た目の雰囲気も異なっていて、実際に①の甕により染められたものは、濃紺ともいうべき藍色であり、他方はやさしくて弱った水色で染められた。還元の過程で染料が空気にふれて色が変化してゆくのもとても幻想的だった。同じ藍を同じ工房で同じ人が仕込んだものであるのに、仕込みの時間だけでこんなにも色に違いが出るのだと知り驚いた。また仕込みの年月だけでなく、その年の気候や藍の状態によっても色が変化するのだという。昔の染めの職人は、その日の甕の状態からどのような色ができるのかを予想ができたのだろうか。それはもともと色のイメージが明確にあり、それをコントロールしてゆく化学染色とは全く違い、藍染めで色をコントロールすることは神業のように思えた。しかし、その偶然であっても生まれた色が、きっと愛されるべき色だったのかと思うとそんな文化や感覚もすばらしいと思った。
藍染の色について調べていると日本には”藍48色”という言葉があることを知った。藍から抽出される色がいかに多いかということを表現していて江戸時代に生まれた言葉のようだ。そこには薄い藍色から濃い藍色までさまざまな藍の色が存在していて、一般的に浅黄、縹、納戸、紺、褐・・・などの名称が使われている。色は無限にあるものだが、色の名前は数えられるほどしかない。藍についての色名がこれほどにまで存在するということは、日本人にとって藍やその色彩というものがいかに身近なものだったということを表しているのだろう。

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第1回日本新工芸学生選抜展のお知らせ

今年から開催される第1回日本新工芸学生選抜展に
2017年度修了生の谷 歩美果さんと神宮 晶子さんの作品が展示されます。

日本新工芸展と同時開催ですので、お近くの方はぜひご高覧下さい。

会期:2018年5月16日(水)〜27日(日)
会場:国立新美術館(六本木)3階展示室3A-3B

詳しくは日本新工芸家連盟のHPをご確認下さい。