スクールの窓から:「羊毛から糸を紡ぎ、マフラーをつくる達成感」ホームスパン1

専門コース本科では、10月に「ホームスパン」の授業が行われました。学生たちは4月に「スピニング」で羊毛の糸づくりを学び、その後、デザインや織りのスキルを身につけてきました。今回のホームスパンでは、格子柄のマフラーをつくるのに自分でデザインを考え、羊毛を染め、糸を紡ぎ、織り、縮絨して使える状態に仕上げるまでを12日間で行いました。糸紡ぎからのものづくりは長い道のりになりますが、スクールで40年以上、ホームスパン一筋で教えてきた中嶋講師の指導のもとで一つひとつ工程を踏み、全員がマフラーを完成することができました。「すごく達成感があった」「これまでの織りとはまた違った世界を感じた」と学びの幅が広がった授業のリポートを2回に分けて紹介します。

◆ 服は使って育ててあげるのが大事
「ホームスパンの生地を見たことがありますか?」
そんな問いかけから始まった授業。首を横に振る学生たち。そもそもホームスパンの生地自体を見る機会が少ないのが今の時代。それはなぜなのかを踏まえて担当の中嶋講師は、まず世界のホームスパン発祥から、生活文化としての浸透、明治期に日本に来てからの需要の高まりや、民芸運動による広がり、戦争の影響、安くて手軽な既製服の普及で衰退していった流れを説明し、一大産地である岩手県の現在の取り組みを紹介。

そして、先生自身が紡いだ糸で織った服地や、それをジャケットやスカートに仕立てて愛用している実物を学生に見せます。学生たちは手触りを確かめ、見た目はしっかりしているのに「軽い」「柔らかい」「暖かい」と顔をほころばせ、先生は「ブラシで手入れしながら、生地の顔が変わっていく。服は使って育ててあげるのが大事」と話します。そんなふうにホームスパンを身近に手繰り寄せ、イメージをつかんでから実習へと進みます。

◆フエルト化させないように染める
ホームスパンは原毛を洗うところから縮絨して仕上げるまで、多くの工程があり、一つひとつが後に影響を及ぼします。染色も糸染めではなく、今回は毛を染めるので要領が違ってきます。とくに羊毛の染色では「フエルト化させない」のが大事。繊維同士が絡んで、毛が縮んだり硬くなったりすると、糸をつくるのが大変になるからです。そのため染色中は原毛にできるだけ触れないようにし、また急に冷まさないように注意が必要。毛をほぐすのも「丁寧に」「繊維の流れ方やくっつき方を見て」「一本一本の繊維が離れるように」と中嶋先生は声をかけ、学生たちは黙々と羊毛と向き合います。

2へつづく