修了生

「一衣舎秋展・京都」 修了生 川俣貴美子

2006年に専攻科を修了してから5年半が経ちました。
2009年までKTSのスタッフとして経験を積ませて頂きましたが、スクールを離れてから早いものでもう2年になります。

在学中は着物を制作していましたが、最近は制作の中心が帯に移ってきました。そしてこの度作品を販売して頂ける機会を得ました。

皆さんは「一衣舎(いちえや)」をご存知でしょうか。着物がお好きな方ならご存知かも知れませんね。雑誌「七緒」などにも紹介されている方です。ご専門は着物や帯、長襦袢などのお仕立てですが、
20年以上前から織り手と直接会って、ご自身の考えに合った作品を着る方に直接紹介する会を催されています。最近では少し動きもありますが、着物の世界では織り手と着る方が直にお会いできる機会が少ないのが現状です。そのような中で一衣舎さんの活動を、織る側としても、また着る側としてもとても興味深く思っていました。

何度かお邪魔して作品を拝見する中で、自分の目指す方向と非常に近いものを感じたので、昨年思い切ってアドバイスを頂きに伺いました。そのお話をもとに制作し再度持参したところ、この度取り扱って頂けることになり、早速9月21日から25日まで京都の「ちおん舎」さんで行われた「一衣舎秋展・京都」で初披露となりました。

自分の作品に値段をつけてお客様に提示するというのは、とても独特な今までに味わったことのない感覚でした。自分にとっては愛着のある作品ですが、お客様にとっては沢山ご覧になられる中の一つです。そしてその場には私自身も素敵だと思う作品が数多く並んでいます。その中で自分の作品がお客様の目にどのように映るのか不安に感じました。

会場でお客様方は、作品に囲まれた空間そのものを楽しむかのように長い時間をかけて一つ一つご覧になっていきます。中にはこの会の為に遠くから来て何時間もいらっしゃる方もいます。その中でピンと響く出会いがあると作品が売れていきます。その時のお客様の表情はとても良いものですね。勝手な想像ですが、恐らく皆さん良い日もイマイチの日も頑張って生きて働いて、そのお金で購入されているのでしょう。そしてそれを着るのが楽しみで明日からの力が湧いてくる。自分の作品がそんな元気の源になるのであれば嬉しい限りです。

私の作品にもピンときた出会いがありました。これから制作を続けて行く中で、今回選んで下さった方の表情を忘れることはないでしょう。このような機会を与えて下さった皆様に感謝して、伺ったご意見も参考に、でも影響され過ぎないよう一度頭をリセットしてから次の制作を始めたいと思います。

一衣舎さんは全国各地でこのような会を開催されていますが、来年も秋頃に京都でこのような機会があるはずです。気になられた方は是非お越し下さい。(詳細は「一衣舎」HPへ)

修了生近況7 修了生 松本りん

8/24〜8/29の間、代官山の素敵な布のお店coccaのイベント、「Print Textile Festival of cocca 2010」に作品を出品・販売していました。

coccaは、print textileを扱うお店で、coccaのoriginal textileをはじめ、個性的で素敵なクリエイターの方々とコラボレーションして作った生地など、とっても魅力的な生地やそれらの生地を使った雑貨や衣服を販売しているお店です。
cocca http://www.cocca.ne.jp/

coccaは定期的にtextileに絡めた様々なイベントを開催していて、今回はコンテスト形式でtextile designを公募し、選出された人の作品を展示(一部販売)するという内容のイベントでした。テーマは「ジャパニーズスタンダード」。公募は3つの部門に分かれていて、私が選出いただいたSELL部門の他に、生地の状態じゃなくても、イラストやパソコンデータ出力でも応募できるテキスタイルデザイン部門、オリジナルテキスタイルとそのテキスタイルを使った製品までを企画するプロダクト部門があります。最終的に、350名の応募があったようです。

SELL部門は、選ばれた人自身でオリジナルテキスタイルを10M自作して、それをcoccaで展示販売できるという部門です。私は3柄選出いただきました。選出された3柄は、与えられたテーマ「ジャパニーズスタンダード」に添って考えて、日本・アジアの伝統的な手法である「絣」をテーマに作成したシリーズです。

展示期間中、他の入選者の方々の作品も見ることができ、とても良い刺激を受けました。同じテーマに基づいてデザインしても、それぞれの人で出てくるアイデアや形が様々で、とても興味深かったです。最終日には、入選者・審査員の方々・coccaのスタッフさんで交流が持てる機会を・・・と、レセプションパーティーが催され、様々な分野の第一線でご活躍されている審査員の方々や、意欲的に制作をしている他の入選者の方々と交流が持て、今後に繋がっていきそうな話もできて、有意義な時間が持てました。

これを良いきっかけに、自身のテキスタイルブランドを少しずつ育てていけたらと思っています。このイベントは29日が最終日の予定でしたが、期間を延長して展示販売を続けるそうなので、機会があればぜひ見にいらして下さい。