ワークショップ

ほぐし絣で織る布を受講して

10月開講のワークショップ「ほぐし絣で織る布」に参加しての声を京都府・蔵田さんからいただきました。

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3年前から受講を考えていましたがなかなか予定が合わず、念願叶ってようやく参加することが出来ました。
大正~明治期にかけての銘仙の革新的な柄と色彩の組み合わせが好きで興味を持ったのがきっかけでしたが、
仮織りはどのくらい織るのか、経糸捺染後、再度機にかける時の綾の扱いや注意点、絣はどれくらいずれるのか等々、技法書を読んでもシュミレーションしきれないことが多く、一度基礎をしっかり学びたいとの思いで受講しました。

今回私は、露草をイメージしたデザインの作品を制作しました。
仮織り、経糸捺染や2度にわたる筬通し・綜絖通しなど数多の工程を経ていよいよ本織りに。
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○仮織り・捺染後、織機に掛かる経糸

程よくかすれた柄が淡く浮かび上がってきた時は、その繊細な美しさに感動を覚えました。
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○織り風景

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○織り上がった布

山本先生は各受講生からのたくさんの質問にも丁寧に答えて下さるだけでなく、
作業をスムーズに進ませるための注意点・失敗した原因をピンポイントで指摘していただいたので毎日新しい発見があり、
学びには限りがないと改めて感じられた充実の日々でした。
5日間という短期間でしたが、時間を延長しての作業も苦にならないくらいに楽しく制作することが出来ました。
今後の制作表現に生かしていきたいと思います。本当にありがとうございました。

織物がわかる5日間を受講して

9月開講のワークショップ「織物がわかる5日間」に参加しての声を東京都・馬橋さんからいただきました。

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まだ夏の暑さが残る9月12日から16日にかけて、この講座を他の5人のメンバーと受けて来ました
「織ること」についての色々な想いを持った6人が奈良県、神奈川県、東京都などから参加していました。

着物、特に紬の着物が好きな私は「織り」にとても興味があり、旅行先などで手織り体験(織機に用意された経糸に指導を受けながら緯糸を織り込んでいくもの)を何回かするうちに、経糸はどういう風にして織機に掛けられるのか、織機はどういう風に動いて糸が織物になっていくのか、どうしても知りたいと思うようになりました。
インターネットでこの講座を見つけて、これだ!!とばかりに京都行きを決めました。

ワクワクドキドキで参加した講座では、「綜絖(そうこう)」や「筬通し(おさとおし)」「框(かまち)」などという耳慣れない日本語がいろいろ出てきて不安もありました。また、180本もの綿糸を綜絖や筬に通すのはなかなか大変な作業でした。

実際に機の前に座って織り出すまでに大変な手間と時間がかかることがよくわかりました。
織り出してみると、両端をきれいに織っていくのがどんなに難しいことか。
それでも踏木を踏んで織り進めていくと、不思議な気持ちと嬉しい気持ちが半分ずつ湧いてきました。
先生の親切で丁寧なご指導のおかげで、サンプル織りが終わりいよいよ自分の織りたい柄でのテーブルマット織りへと進みましたが、理解できていたはずの綜絖と踏木のタイアップがかなり怪しい状態に。
これも先生のおかげで何とか乗り切って織り上げることが出来ました。
今回同じ時にこの講座を受けた6人が好きな色の糸を使い、好きな柄を選んで織り上げたテーブルマットは各々個性的で素敵なものに仕上がり、楽しい講評会となりました。
大変な事もたくさんあったけれど、全てが楽しい経験になりました。

1日約7時間、5日間の講座に参加したことで、ようやく「織り」の入口に立つことが出来ました。
それだけの経験で偉そうな事は言えませんが、織機というものがとても機能的であり合理的なものだということがわかりました。そして織るのも大変だけれども、そも前にとても多くの時間と手間が掛かっているという事も。
だからこそ今持っている着物や帯を今以上に大切に着ていこうという気持ちを強くしました。
それと同時にまた機会を見つけて講座へ参加したいと思いました。

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整経作業風景

組織がわかる5日間を受講して

6月開講のワークショップ「組織がわかる5日間」に参加しての声をA・Tさんからいただきました。

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「高機で織りをしてみたい!」興味とタイミングでワークショップに申し込みをしました。
期間中は、日々教室と寮の往復をしながら、講師の方、豊富な道具、全国から集まった参加者という
恵まれた環境でどっぷり糸と織りに向き合え、楽しく幸せな時間を過ごすことができました。
講座の時間外も道具を使わせてもらえたり、糸や道具の購入の相談や注文ができたりといった環境も魅力的でした。

組織の基礎では、組織図に頭が混乱し、手足もぎこちなく、踏み間違いもあり、行きつ戻りつでしたが、
織り進めていくうちに浮かびあがる模様にワクワクしました。先人の知恵と工夫はすごいと改めて実感!

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今回ワークショップに参加したことで、人や情報からも刺激を受け、
織りの前後の糸作りや染色、布を作品にすることにも興味が広がったように思います。
これから何をしていくか、何が残っていくか、まだ手探りですが、
ここでの経験や出会いが次にどう広がっていくか、自分にもワクワクしています。

次回の「組織がわかる5日間」は11月7日(月)からです。
ぜひご参加ください!

スピニング講座を終えて

5月開講のワークショップ「スピニング」に参加しての声を福山さん(大津市)からいただきました。

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2001年に長期研修科を修了しました。当時は主婦になってから思い切っての通学でしたので、
それはそれは全てが刺激的でした。学校に通うこと、たくさんの糸や色に触れること、デザインに
悩むこと、仲間と語らうこと。楽しくて仕方ない毎日でした。あっという間に半年が過ぎていき、
しかし修了してからは試行錯誤の毎日でした。糸を染めて布を織っていく・・・そのことは出来ても
出来上がったものが溜まっていくばかりでは趣味として終わってしまう。この作品を通じて
人と繋がる術を持たなくては・・・悩んで悔しんで長いトンネル生活の時間を過ぎ現在に至ります。
今はフェルトで小さな作品展をしたりご注文をいただいて製作したりしています。
フェルトはジョリー・ジョンソンのフェルト講座を受講していました。

そして、駆け足で過ぎた8年。
ある時ふと思いました。羊毛を毎日触っているのに羊のことをちゃんと知らないのかも・・・。
と不安になりました。そしてフェルト以外の羊毛の技術を(紡ぐこと)勉強しなおそうと思い受講するに
至りました。

フェルトでは染色されたトップを使うことが多いですが、スピニングでは刈られた羊毛を洗うことから
始まりました。それでこそ生きた布ができるということもよく分かりました。
洗ってほぐしてカードをかけて、紡いで撚り止めして・・・そしてやっと機にかけられる。
やはりテキスタイルの仕事は工程が多い。
そして羊の仕事は奥が深くて、私がおばあちゃんになってもやり切ったということはきっとないだろうな・・・
と実感しました。フェルトと紡ぎでは工程に逆の仕事があり、羊に対する意識も少し違うような気がしました。
どちらも昔から伝わる伝統的な技術です。どちらもいい仕事です。そしてどちらも羊を愛しています。
学べる機会に恵まれたことは本当にありがたいことです。

何事も「ファスト」が流行になる昨今ですが、テキスタイルのことに触れると、ゆっくりと手間を
かけることの大切さ、日本人ならではの感性、そんなものこそ大事にして暮らしていきたいと感じます。

そして最後になりますが、市原の山々とともに、15年前から変わらずにいてくださった先生方に
再会できたことは本当に嬉しいことでした。ありがとうございました。

次回のスピニングは9月17日(土)からです。
ぜひご参加ください!

組織がわかる5日間を受講して

8月開講のワークショップ「組織がわかる5日間」に参加しての声を西田さん(倉敷市)からいただきました。

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私の住む倉敷は瀬戸内に面して干拓地が広がり、かつては稲作には不向きな土壌であったことから、
綿やイ草を植える農家が多くありました。

懐かしさ半分興味半分で8年前から自宅の畑で綿の栽培をしていますが、糸紡ぎから機織りまで一通りの工程は、
ネットや文献から得た知識に頼った「自己流」のため、試行錯誤を繰り返してばかりでした。

昨年両親を看取った後、この先自分はいったい何をしたいのかと度々自問するようになりました。
介護の最中も両親を送った後の空虚感の中でも私を慰めてくれていたのは常に「糸」に触れること、
機の前に座ることでした。そうだ!織りを基礎から勉強しよう!勉強したい!と思うようになりました。
60歳を過ぎてから寮生活をするなんて、子育て中には考えられないことでしたが、
年々歳々体力も集中力も衰えてきているこの歳だからこそ思いは日を増すごとに強くなっていきました。
5月に「はじめての織り10日間」を受講したのち、さらに多くを学びたいとの思いからこの講座を申し込みました。

ところが、初日から整経を経て第一のサンプルの綜絖通しを終えて寮に帰るとぐったりと疲れる始末、
残りの4日間に不安を抱いてしまいました。それでも初めて触れる天秤機と、杉綾からスエディッシュレース、
サマー&ウィンター、数種のオーバーショッへと綜絖とタイアップを換えるだけで次々と生まれてくる
組織の織りに疲れより好奇心の方が勝り、気が付けばあっという間に迎えた最終日には、不思議なほどの
充実感に満たされていました。

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何もかも整えられて「学び」だけに費やされた5日間。
的確なご指導を下さった先生、夜遅くまでアトリエで織り続け励まし合えた仲間たち、
かけがえのない時間を一緒に過ごせたことに喜びと感謝の気持ちでいっぱいです。
今私は、以前にも増して「布を生み出す」ことに夢中になっています。

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「組織がわかる5日間」は来年度も予定しております。

美山町・北村を訪ねて 本科 龍山千里

5月27日、藍染めによる創作を行なう新道弘之さんの工房を見学するため、私達は美山町・北村をおとずれた。
立派な北山杉をバスから眺めながら、京都の山奥深いほうへ向かっているのを感じつつ、
着いたらそこは、時間の流れがまったくちがうように思えるほどに、しずかで緑ゆたかなところだった。
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美山・北村町

今回見学でお世話になった新道弘之さんは、学生の頃より藍染めに魅せられて、
長い間制作活動や研究を続けてこられた。そのなかで彼が、こつこつと収集してきたものを
展示した「ちいさな藍美術館」も工房に併設されており、わたしたちが伺ったときは、
日本の藍染め絞り、また全世界各地でつくられてきた藍染めのコレクションを見ることができた。
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日本の藍染め絞り
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中国の藍板締め絞り

まず、藍染めをするには藍の植物を染料化する必要があり、藍を染料として使用するには、
水と酸素を使って藍の色素そのものを抽出する方法、または葉から堆肥をつくる方法の
大きくわけて二種類がある。日本では古くから、蓼藍の葉を発酵させて堆肥をつくる方法で
藍染めが行なわれており、堆肥は「蒅(すくも)」と呼ばれる。石灰と木灰の灰汁を使い、
蒅を発酵させ、7〜10日かけて染液を作るとのこと。事前に観賞した「BLUE ALCHEMY」*でも
出てくるように、新道さんはこの工程のなかで、日本酒も藍甕のなかに入れて発酵させる。
職人一人ひとり、独自のレシピがあり、今ではようやく勘で染めることができるようになった
新道さんも、そこに辿り着くまでには長い時間が必要だったと話していた。

新道さんが考案した新しい絞り技法による藍染めの工程の一部もみせていただいた。
どのように手を動かせば、よりうつくしい模様ができるか研究を重ねて生まれた絞り模様には、
削ぎ落とされた美を感じた。
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工房のなかに並ぶ藍甕
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絞り染めが施された布を水洗する様子

今回、一番わたしが心を動かされたのは、新道さんの制作してきた布の切れ端を、
お母様が繋ぎ合わせて制作したという藍染めのパッチワークだった。
それはお母様がご自分の棺にかけるために制作された布で、最期を見送る際に使われたそうです。
染めた布地を隅々までいつくしむ、新道さんご夫妻・お母様のつくる姿勢に学ぶべきところがあった。
また、純粋にある人のことを想って、それだけの為につくられたものというのは深い愛情を感じられ、
ことばにしきれない感動があった。
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藍染め布のパッチワーク
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藍染め布のパッチワーク拡大図

新道さんはこれをわたしたちに見せながら、「きれいだろう。俺が作ったんじゃないもの。
自然が作り出した模様だから、きれいなんだ」ということをおっしゃっていた。
藍染めによって生まれる色にしろ、または絞りでできる模様にしろ、
人が作り出すものはどんなに完璧で整ったものを目指しても、
どうにもコントロールしきれない「ずれ」のようなものが自然と生まれる。
それはテキスタイルに関わらず、つくること全てにおいて言えることだと思うが、
実は、人はそこに美を見出しているんだということに気づいた。

長年藍を研究されてきた新道さんのお話を通して、それは簡単な事でないことも同時にわかり、
美しさを目指して人が何かを作り出すとき、自然のちからが関与できる隙のようなものをつくることが、
ひとつの「技術」なのかもしれないと思った。

*『Blue Alchemy -Stories of Indigo-/ブルーアルケミィ ―藍の物語―』 アメリカのドキュメンタリー監督、Mary Lanceさんが世界各地の藍の現場を訪ね、7年の歳月をかけて制作したドキュメンタリーです。新道さんのインタビューや工房の様子をはじめ、世界の藍製造の貴重な映像をみることができます。

綴織基礎を受講して

8月開講のワークショップに参加しての声をHARDY辻さん(フランス在住)からいただきました。

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年齢的なこともあるのか、このままでいいのかと迷う日々が続いていた時にこの夏期講習を見つけました。
アパレルに長く従事していても分野が異なるとなかなか原料の専門的知識を得る所まで入り込むことが出来ず、
生地のことを学んでみたいという気持ちをずいぶん長い間胸中に抱えたままにしてきた気がします。
川島テキスタイルスクールは、実はずっと前から行きたかった学校でしたが、さまざまな理由から
海外に暮らすことになり実現させることが難しく、やっとその機会を得ることができました。

生地を自分で作ることができるのなら、そして何かのきっかけになるのであればと、
前知識なく参加した講習でしたが、何もかもが新鮮で、すばらしい先生方とグループのメンバー、
勉強にどっぷりはまれる美しい自然環境に恵まれ、大変に充実した5日間を過ごすことができました。

アトリエの機材の充実さ、本科の学生さん達の真剣な学習態度に影響され、私達講習生も毎晩課題を続けました。
一本一本の横糸を自分の爪でひっかきながら一歩一歩柄を作っていくという、とてつもなく時間も手間もかかるのが
この綴れという技術だと分かり、講習後、生地を見る目が変わりました。あまりの奥の深さに眩暈がしそうですが、
生地というもの、生地を作るということに対する興味がますます沸いてきました。
何度も間違え、何度もやり直しする私を、暖かくサポートくださった先生とグループのメンバーに感謝しています。
またぜひ時間を作り、講習を受けたいと思っています。

>>>他のワークショップ参加者の声はこちら