布を織る 本科 柴田彩貴

春が過ぎ、じめじめとした梅雨に入りました。季節の変わりゆくこの約1ヶ月半にかけて、
私達本科生は長さ8メートル、幅40センチの縞の布を織りました。
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入学してまだウールのサンプル織りを習得したばかりの私は、
糸の太さを見た瞬間にゾッとした記憶が鮮明に覚えています。
しかし私はこのスクールのカリキュラムを見た時に1番楽しみにしていたという事実もありました。
私達が普段着ている洋服達は最初の形は四角形です。ただの布です。
何に仕立てるのかはまた別として、布を織るということが楽しみでしかたなかったです。

実際にデザインからはじめて、綛を染め、整経をし、機に経糸をセットする事からで
織りに辿り着くまでに何度くじけそうになったか・・・・。本当に己に向き合い、己との戦いでした。
しかし、一つ一つの準備工程が大切で、全部自分に返ってくるのです。

織りはじめの初日はやっと織れる喜びでいっぱいでしたが、疲れが溜まり、
気が緩むと糸に影響してしまいミスを連発したりと、なかなかうまくいかない日もありました。
織る感覚を自分に染みつけるために、日を空ける事なく1日短時間でも手を動かして探りながら織っていきました。
そうすると下手は下手なりに感覚を覚えてくるもので、少しずつですが、手応えを感じてきました。
繰り返しの毎日を終え、8メートルを織りあげた時の達成感と言ったら言葉になりません。

最終日スクールの玄関前に完成した布をみんなで展示をし、改めて布の迫力さに感動し、
喜びと自信がつきました。この日に感じた思いを大切にまた自分の織りを織っていきたいと思いました。
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本科織実習「布を織る」 担当講師:山本梢恵