作成者別アーカイブ: staff

スウェーデン交換留学レポート2 創作科 渡井あかり

交換留学先のHV Skolaがあるのはストックホルムの中でもユールゴーデンという少し特別な場所で、
河に囲まれた島のようになっていました。
多くの美術館と公園、そして遊園地があり、年中通して賑やかな場所です。
移動手段はトラムと呼ばれる路面電車かバス、電車やフェリーがあります。
どれでも共通して使うことの出来るチャージ式のICカードがあり、
学割で1ヶ月、3ヶ月、1年のチケットを買うことが出来ました。
また、地図で見るよりもストックホルムは小さいようで、徒歩で学校から中心部へ行くことも可能でした。
私はよくフェリーとトラム、バスを利用しました。
特にフェリーは見える景色が好きだったので冬場になってもよく利用しました。

ストックホルム

約3ヶ月にわたる留学中、私はHVが持つアパートに住んでいました。
学校の敷地内にあるアパートは1階が学校、2階がアパートという不思議な造りで一般の方も住んでいました。
洗濯機は共同、部屋は最大3人が滞在出来るシェアルームで、生活に必要なものはひと通り揃っていました。
学校の隣には少し物価が高くはなりますが小さなお店があり、食品や日用品を買うことが出来ました。

アパート

HVにはキッチン付きの食堂があり、昼時になると皆食堂で昼食を摂ります。
主にパスタやスープが多かったように思いますが、時折冷凍の餃子や
インスタントのラーメンを食べている人がいて面白かったです。
スウェーデンでも日本食は話題になっているらしく、
あちらこちらに寿司バーやラーメン屋さん、スーパーで普通に醤油や酢が購入出来ました。
日本食材店もありカレールーも日本メーカーのものを購入することが出来ます。

寿司バー

お互いに違う食文化を持つためか、わたしも皆もそれぞれのお弁当に興味津々でした。
皮をむいた林檎を塩水につけて持って行ったところ、「そのソースはなに!?」と驚かれたりしました。
また、スウェーデンにはFika(フィーカ)と呼ばれるコーヒー休憩があり、
毎日決まった時間にきちんと休憩をとります。
私のクラスは10時と決まっていたので、その時間になると
シナモンケーキやキャンディを持ち寄ってお喋りを楽しんでいました。

そして日本との違いに驚いたことのひとつに、
クラスメイトが快く日本人である私を受け入れてくれたことがあります。
あらかじめ勉強していったとはいえ、私の英語は拙くまたスウェーデン語を話すことも出来ませんでした。
スウェーデンの人は英語が上手いと聞いていましたが、
やはり全員が話せるわけでもなく、片言で話す機会も多くありました。
それでも昼休みに美術館へ誘ってくれたり、放課後にアイスを食べに行ってくれたりと
本当にあたたかく迎え入れてくれました。
はじめての海外であったにも関わらず、3ヶ月の間1度もホームシックにならずに
過ごせたのはクラスメイトと先生方、事務の方々のおかげだったと思います。

11月の最後に私が帰ることを知って、クラスメイトが少し早いクリスマスパーティを
開いてくれたときには本当に感動で言葉が詰まってしまいました。
私が以前ぽろりと零した「スウェーデンの伝統を知りたい」という言葉を覚えていてくれて、
クリスマスに食べるサフランパンやペッパカーカというクッキーを一緒に作ってくれました。
手作りのお菓子を持ち寄って、クリスマスに飲む甘いホットワインを飲みながら過ごした1日は
忘れられない大切な思い出です。

サフランパン

スウェーデン交換留学レポート 創作科 渡井あかり

創作科(3年目)の渡井さんは、提携校であるHV Skolaに交換留学に行きました。

私は2016年9月より約3ヶ月の間、スウェーデンにあるHandarbetets Vänner Skola(HV Skola)
というテキスタイルの学校へ交換留学に行きました。
HVはスウェーデンの首都ストックホルムにあり、織物のほかに刺繍や染色、
化学繊維の熱加工など幅広くテキスタイルについて学ぶことが出来ます。
学校のある建物の最上階には王室へ献上するような織物を制作するアトリエがあり、
そこで働く職人さんたちが時折学校へ下りてきては生徒の相談に乗ったりしていました。
学校は3年制で1学年の生徒数は多くありませんが、土日のワークショップや夜間コース、
月1コースなどが頻繁に開かれており、常に賑やかな印象の学校でした。

Exif_JPEG_PICTURE

私は短期留学生として3年生のクラスに参加しました。
最終学年ということもあり、私を含めて10人と学校の中で最も人数の少ないクラスでしたが、
おかげですぐにクラスメイトの顔と名前を覚えることが出来ました。

9月は刺繍(パッチワーク)のプロジェクトを進めました。
スウェーデンの伝統的な技法を含めた3種類の刺繍を学び、
サンプルを制作し、最終的に1m×1mの刺繍作品を完成させるというものです。

スウェーデンの公用語はスウェーデン語で、当然ながら授業もスウェーデン語で進みます。
事前に勉強はしましたがやはり理解までは至らず、拙いながらも英語でなんとかやりとりをしました。
制作のテーマやコンセプト、使いたい技法の面白いと思った部分、制作の過程における質問など、
思ったままの事柄を相手に伝えることの難しさを痛感しました。
それでも先生方が辛抱強く私の言葉を理解しようとしてくれたこともあり、無事に制作を進めることができました。
川島で2年間織物を学んでいたわたしは刺繍という技法をとても新鮮に感じていました。
布同士の折り重なりや、縫い合わせることによって生まれる生地の凹凸。
テキスタイルの持つ美しさを改めて感じることが出来ました。

HVで制作した最初の作品「さかなの街」は、スウェーデンに来る際飛行機から見た街並みをイメージしています。
規則正しく並んだ同じ色で統一された家々の屋根が魚の鱗のように光り、
街ひとつが河と緑の間を泳ぐ大きな魚のように見えたことから「魚」をテーマにしました。
スウェーデンに来る前に川島でテーマにしていた「日本の伝統柄と技法」から、
板締めの模様を参考にしてパターンを組んでいます。

9月課題

この授業でことさらに面白く感じたのは、クラスメイト同士で積極的にアドバイスの交換が行われることでした。
先生に質問するのはもちろんのこと、「このデザインどう思う?」「その表現面白い!」など、
毎日のように生徒間で意見が交わされ、自分ひとりでは気付かない表現の面白さを発見しデザインを変更したりしました。
それまで人の作品にあまり口を出すべきではないのでは、と思っていましたが、
アドバイスをし合うことによって作品がより良い方向へ変わっていく様を身をもって体験することが出来ました。

だんだんと冷え込むようになる10月には、ストックホルムにあるノーベル美術館と
コラボレーションした企画「Nobel Creations」に参加しました。
毎年スウェーデンにある美術系の学校が数校選ばれ、
生徒がその年のノーベル賞をテーマに制作をするというものです。
HVもはじめて参加する企画とのことで、わたしがいていいものかと大変緊張しましたが、
クラスメイトとの距離もぐっと縮まる充実したひと月になりました。

この課題はグループワークとなり、技法・素材が自由ということもあって、
まずは様々なワークショップに参加することから始めました。
染色から布の熱加工、造形の授業、グループワークをどう進めるべきかという講義まで、
1週間でみっちりと勉強しました。
その傍ら、順番に発表されていくノーベル賞について調べ1人につき3案持ってくるという
課題もあったので最も忙しかった時期だと思います。
私はクラスメイトのSarah と共にノーベル化学賞、分子機械について制作しました。
ほかのグループとは少し勝手が違い、お互いに今までの制作を知らないので
まずは自分の制作や家族構成など、お互いのことをよく知るところからはじめました。
分子機械について思ったこと、面白い点をノートにまとめスケッチを交えて話し合い、
刺繍を交えた造形を用いて制作することにしました。

分子機械の動きと形から「connection」と「movement」というキーワードを決め、
そこからイメージした色と造形で作品を仕上げました。
作品は「Tom Tits Experiment」という美術館に展示され、
12月のはじめには実際にノーベル賞受賞者を招いたパーティーが開かれました。

10月課題

このプロジェクトの合間に、先生に頼み込んで週末と夜の刺繍コースに参加させてもらいました。
「これがもっと勉強したい」ということを伝えると快く承諾してくださり、
サンプルを持ち出してくれたりと本当に感謝の連続となった月でした。

週末刺繍

11月にはスウェーデンに早めの雪が降りました。
街はクリスマスへ向けて装いを変え、あちらこちらでマーケットやイベントが開かれ楽しげな雰囲気が漂います。
そんな中、HVで最後のプロジェクトとなるダマスク織の授業がはじまりました。
ダマスク織は日本でいうところのジャカード織や空引機と仕組みが似ており、
手元にあるハンドルと経糸を繋げて模様通りに経糸を上げていく織物です。
PCソフトを使って模様を図面におこします。
10月のプロジェクトが少し押したためにあまり時間がない中での制作になりましたが、
スウェーデンの短くも美しい秋をモチーフにマフラーを織ることが出来ました。
緯糸を思う色に染めたくて、土日にこっそりアパートで染色したのも良い思い出になりました。

11月課題

3ヶ月の間に、私は多くのことを学びました。
スウェーデンではテキスタイルというものが人々の生活に深く根付いており、
台ふきひとつ取っても組織織りが組み込まれていたりして大変興味深いと思いました。
目に映るもの、ものを作るということに対するクラスメイトや先生方の姿勢、考え方、
すべてが私にとって刺激的で新鮮なものでした。
何故手仕事を学ぶのか、何故ものを作るのかという自分の根底にあるものを見つめ直すことが出来ました。
なによりも、尊敬出来るアーティストたちに出会えたことを心から嬉しく思います。

織物がわかる5日間を受講して

9月開講のワークショップ「織物がわかる5日間」に参加しての声を東京都・馬橋さんからいただきました。

——————————————————

まだ夏の暑さが残る9月12日から16日にかけて、この講座を他の5人のメンバーと受けて来ました
「織ること」についての色々な想いを持った6人が奈良県、神奈川県、東京都などから参加していました。

着物、特に紬の着物が好きな私は「織り」にとても興味があり、旅行先などで手織り体験(織機に用意された経糸に指導を受けながら緯糸を織り込んでいくもの)を何回かするうちに、経糸はどういう風にして織機に掛けられるのか、織機はどういう風に動いて糸が織物になっていくのか、どうしても知りたいと思うようになりました。
インターネットでこの講座を見つけて、これだ!!とばかりに京都行きを決めました。

ワクワクドキドキで参加した講座では、「綜絖(そうこう)」や「筬通し(おさとおし)」「框(かまち)」などという耳慣れない日本語がいろいろ出てきて不安もありました。また、180本もの綿糸を綜絖や筬に通すのはなかなか大変な作業でした。

実際に機の前に座って織り出すまでに大変な手間と時間がかかることがよくわかりました。
織り出してみると、両端をきれいに織っていくのがどんなに難しいことか。
それでも踏木を踏んで織り進めていくと、不思議な気持ちと嬉しい気持ちが半分ずつ湧いてきました。
先生の親切で丁寧なご指導のおかげで、サンプル織りが終わりいよいよ自分の織りたい柄でのテーブルマット織りへと進みましたが、理解できていたはずの綜絖と踏木のタイアップがかなり怪しい状態に。
これも先生のおかげで何とか乗り切って織り上げることが出来ました。
今回同じ時にこの講座を受けた6人が好きな色の糸を使い、好きな柄を選んで織り上げたテーブルマットは各々個性的で素敵なものに仕上がり、楽しい講評会となりました。
大変な事もたくさんあったけれど、全てが楽しい経験になりました。

1日約7時間、5日間の講座に参加したことで、ようやく「織り」の入口に立つことが出来ました。
それだけの経験で偉そうな事は言えませんが、織機というものがとても機能的であり合理的なものだということがわかりました。そして織るのも大変だけれども、そも前にとても多くの時間と手間が掛かっているという事も。
だからこそ今持っている着物や帯を今以上に大切に着ていこうという気持ちを強くしました。
それと同時にまた機会を見つけて講座へ参加したいと思いました。

img_1958
整経作業風景

組織がわかる5日間を受講して

6月開講のワークショップ「組織がわかる5日間」に参加しての声をA・Tさんからいただきました。

——————————————————

IMG_1641_01

「高機で織りをしてみたい!」興味とタイミングでワークショップに申し込みをしました。
期間中は、日々教室と寮の往復をしながら、講師の方、豊富な道具、全国から集まった参加者という
恵まれた環境でどっぷり糸と織りに向き合え、楽しく幸せな時間を過ごすことができました。
講座の時間外も道具を使わせてもらえたり、糸や道具の購入の相談や注文ができたりといった環境も魅力的でした。

組織の基礎では、組織図に頭が混乱し、手足もぎこちなく、踏み間違いもあり、行きつ戻りつでしたが、
織り進めていくうちに浮かびあがる模様にワクワクしました。先人の知恵と工夫はすごいと改めて実感!

IMG_1645_01

今回ワークショップに参加したことで、人や情報からも刺激を受け、
織りの前後の糸作りや染色、布を作品にすることにも興味が広がったように思います。
これから何をしていくか、何が残っていくか、まだ手探りですが、
ここでの経験や出会いが次にどう広がっていくか、自分にもワクワクしています。

次回の「組織がわかる5日間」は11月7日(月)からです。
ぜひご参加ください!

織実習「綴織」 本科 山本理恵

綴織の織実習では技法を学ぶサンプルを2枚織り、
3枚目にテーマ「花」で自由制作を制作しました。

綴織は絵を描くことに近いと思いました。
IMG_1652blogIMG_1654blog
原画

単純に、作業で下絵を画面に写すというよりは、
また新たに描いていくような感覚で糸の色を変えたりしながら、
緯糸を一越、一越、織り込み形を作っていきます。
しかしどんな方向にも滑らかに描ける絵とは違って、織物は経糸と緯糸の世界。
丸やカーブがとても難しくてなかなか自然な形になってくれません。
何度もやり直すのですが、一段だけでは答えがでずに、
間違いに気がつくのは沢山織った後だったりします。そうなるともう大変です。
でも、そうやって試行錯誤していって、気に入った形が出来た時の喜びはひとしおです。
imageblog
image6blog
制作過程

画面の中で糸の太さを変えたり、飛び出すように糸を立体的に織り入れたり、
二つの違った色の糸を交互に織る事で、だんだんと色をぼかしていく事が出来たりします。
様々な技法を使い、細かく繊維にも。大胆に立体的にも。
表現が無限に広がっていくようでした。
IMG_1666blog
完成作品

——————————————————————————————————————
本科織実習「綴織」 担当講師:近藤裕八

織実習「布を織る」 本科 関杏里

入学して最初に行った基礎織の糸とは違い、いきなり細くなった糸と1200本という経糸本数に織れるのだろうかという気持ちでいっぱいでした。長さは8m!

好きな絵画を選択し、白+4色の経糸を自分で染め、考えた縞通りに整経(せいけい)し、共同作業で経(たて)巻きをし、機にかけ、緯糸の色を縞が生きる色で染めてという、織る前の準備期間が織る日数に比べて長かったです。
gp01a201307210700
グスタフ・クリムト「ひまわりの咲く農家の庭」より

その中の整経という作業で一定のリズムと力加減で必要な長さにはかり縞の順番に色糸を配していく作業がとても難しく、始める前に先生にしっかりやってくださいと言われた意味や作業の丁寧さを要求された理由を織っている最中にしみじみと体感しました。丁寧に、同じ力加減でしないと糸がたるんで機にかける作業がとても時間がかかる上に、織っている最中や織り上がりに影響が出てきます。

4月の中ごろから6月の頭までほぼ毎日放課後も使って暇を見つけては、
織りあげるのは正直に言ってしんどいこともたくさんで、次々にわいてくる問題になぜ?どうしたらいいの?
と頭を悩ませ、ああだこうだとやってみてもわからないことは先生に質問し織り進めました。
初めは、1日に30cm織れるか織れないか、調子のいい時は50cm織れたという繰り返しが、
ある日突然70cm織れた瞬間に同じような体験をしたクラスメートと喜びました。

耳がうまくいかない、糸の張り具合が合わない、織りむらに糸の目が飛んだり、経糸が切れたり、
緯密度が計画通りに行ってない、織り幅があってない。何度もやり直しては進めてを繰り返しました。
すべてがうまくいくというのはなかなか大変で、自分自身の気持ちやコンディションも重要でした。
まさに機と一体になるというのでしょうか。それを味わえたのは限られた瞬間でしたが、糸から布になる様が楽しかったです。そして、織れるぎりぎりまで織って機から外すために経糸を切って布を持ち上げた瞬間の感動はきっと忘れないと思います。
IMG_1357
作業風景

元々私は、色を選び、縞をデザインする最初の段階で躓きました。
本来は絵の全体の印象でとらえなければいけないところを、パーツでとらえてしまい、
縞で細かい柄や混色などで表現の幅がだせず、縞で何ができるのかがわかっていませんでした。
また、経糸の張りを強くして織っていたので機から外した瞬間の糸の縮みや湯通しで糸の緊張をとった後にもさらに縮み、手触りが固いままでした。仕上げの部分でも課題がたくさん出てきました。

最後の講評で、グループのみんなの絵と縞を見ての発表や先生からのコメントを次に生かしたいと思います。
そして出来上がったことの喜びと、また織りたいという思いでいっぱいです。
織り上げた布は、一部を風呂敷に仕立て縞を生きるように物を包んで、残りの布を2階から垂らして展示しました。
IMG_1634blog2IMG_1631blog

——————————————————————————————————————
本科織実習「布を織る」 担当講師:山本梢恵

スピニング講座を終えて

5月開講のワークショップ「スピニング」に参加しての声を福山さん(大津市)からいただきました。

——————————————————

IMG_1613ブログ

2001年に長期研修科を修了しました。当時は主婦になってから思い切っての通学でしたので、
それはそれは全てが刺激的でした。学校に通うこと、たくさんの糸や色に触れること、デザインに
悩むこと、仲間と語らうこと。楽しくて仕方ない毎日でした。あっという間に半年が過ぎていき、
しかし修了してからは試行錯誤の毎日でした。糸を染めて布を織っていく・・・そのことは出来ても
出来上がったものが溜まっていくばかりでは趣味として終わってしまう。この作品を通じて
人と繋がる術を持たなくては・・・悩んで悔しんで長いトンネル生活の時間を過ぎ現在に至ります。
今はフェルトで小さな作品展をしたりご注文をいただいて製作したりしています。
フェルトはジョリー・ジョンソンのフェルト講座を受講していました。

そして、駆け足で過ぎた8年。
ある時ふと思いました。羊毛を毎日触っているのに羊のことをちゃんと知らないのかも・・・。
と不安になりました。そしてフェルト以外の羊毛の技術を(紡ぐこと)勉強しなおそうと思い受講するに
至りました。

フェルトでは染色されたトップを使うことが多いですが、スピニングでは刈られた羊毛を洗うことから
始まりました。それでこそ生きた布ができるということもよく分かりました。
洗ってほぐしてカードをかけて、紡いで撚り止めして・・・そしてやっと機にかけられる。
やはりテキスタイルの仕事は工程が多い。
そして羊の仕事は奥が深くて、私がおばあちゃんになってもやり切ったということはきっとないだろうな・・・
と実感しました。フェルトと紡ぎでは工程に逆の仕事があり、羊に対する意識も少し違うような気がしました。
どちらも昔から伝わる伝統的な技術です。どちらもいい仕事です。そしてどちらも羊を愛しています。
学べる機会に恵まれたことは本当にありがたいことです。

何事も「ファスト」が流行になる昨今ですが、テキスタイルのことに触れると、ゆっくりと手間を
かけることの大切さ、日本人ならではの感性、そんなものこそ大事にして暮らしていきたいと感じます。

そして最後になりますが、市原の山々とともに、15年前から変わらずにいてくださった先生方に
再会できたことは本当に嬉しいことでした。ありがとうございました。

次回のスピニングは9月17日(土)からです。
ぜひご参加ください!