3月13日、2025年度川島テキスタイルスクール修了式が行われました。修了生の一人で、技術研修コースを修了した王今さんの答辞を紹介します。

皆さん、このたび、修了おめでとうございます。
私は2023年10月に川島テキスタイルスクールに来ました。
気がつけば今は2026年で、時間が過ぎるのは本当に早いと感じます。
私が最初に川島テキスタイルスクールを知ったのは、とても偶然のことでした。
2022年の春、私は京都に旅行に来ていました。街を歩いているときに、たまたま修了展のポスターを見つけました。それがきっかけで、美術館に行ってみることにしました。
その頃、私はちょうど通っていた美術大学の卒業展を終えたばかりでした。川島の修了展を見たとき、大学の卒業展とは全く違う雰囲気だと思いました。
大学の卒業作品は学校の異なる場所に置かれていて、織物以外の作品も多く、作品の第一印象のインパクトを大切にしているような感じ。川島の修了作品は、美術館の空間の中に綺麗に並び、とても繊細で、生活の中にある織物の存在に近いものだと感じました。そして、立ち止まって長い時間見ていたくなる作品が多いと思いました。
最初はポスターをきっかけにこの学校を知りましたが、今年度は自分の作品がポスターとして使われることになりました。思い返すと、いいサイクルのようにも感じます。
修了展を見たとき、私は心の中で「ここで勉強したい」と強く思いました。
しかしその時はすでに中国に帰る予定が決まっていて、良い仕事の機会もありました。
帰国して仕事を経験しましたが、やはり自分の作品を作り続けたいという気持ちが強くなりました。そして、一度も見学をしないまま、川島の技術研修の半年コースに申し込みました。
学校にいる間、私はあまり多くを話すタイプではありませんでした。でも先生方や周りの人たちはとても優しく、温かい人たちでした。
子どものころから、家族が私の人生の道を決めていました。自分の考えを持つことや、自分の好きなことをすることは、私にとって簡単なことではありませんでした。
それでも、アートやテキスタイルは私が本当に好きなものです。そしてこれからも、続けていきたいと思っています。
川島テキスタイルスクールには本当に感謝しています。
織っている時間は、世界が静かになり、自分の心も落ち着きます。ここで私は、織物の技術だけでなく、多くの大切なことを学びました。
最後に、皆さん、これからもお元気で、毎日楽しくお過ごしください。
王さんは東京の美術大学を卒業後、中国に帰国。2023年、「綴織を学びたい」「大きな作品をつくりたい」という志をもって技術研修コースに入学しました。綴織専門の講師のアドバイスを受けながら、一年半の期間で綴織タペストリー、綴織とノッティングの3部作、綴織パネル作品を制作。タペストリーは「第8回学生選抜展」で田中直染料展賞を受賞しました。

その後、一旦中国に戻って働いてから再来日。「学んだ技術を体系的に整理し、自立して制作できるようになりたい。この学校で大型タペストリー作品を完成させたい」と、2025年に技術研修コースを再受講。12星座をモチーフにした大型タペストリー制作を成し遂げ、作品は修了展のポスターにも採用されました。
星々のめぐりが色とりどりに織り込まれた、リズム感のあるエネルギッシュな作品には、会場を訪れた人々に元気を与えてくれるような力がありました。

志を貫き、修了展会場で「大満足」と満面の笑みを浮かべていた王さん。その後の修了式の答辞では、これまで内に秘めていた思いを語り、時に涙で言葉を詰まらせながらも堂々と話しきった王さんの姿に、会場の学生や教職員も胸を打たれました。
これから王さんはアーティスト名「Jin」として、本格的に作家活動を始めます。展覧会など精力的に行う予定ですので、今後の活動にぜひご注目ください!
Instagram:jinjimoon_art
