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綴織基礎を受講して

8月開講のワークショップに参加しての声をHARDY辻さん(フランス在住)からいただきました。

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年齢的なこともあるのか、このままでいいのかと迷う日々が続いていた時にこの夏期講習を見つけました。
アパレルに長く従事していても分野が異なるとなかなか原料の専門的知識を得る所まで入り込むことが出来ず、
生地のことを学んでみたいという気持ちをずいぶん長い間胸中に抱えたままにしてきた気がします。
川島テキスタイルスクールは、実はずっと前から行きたかった学校でしたが、さまざまな理由から
海外に暮らすことになり実現させることが難しく、やっとその機会を得ることができました。

生地を自分で作ることができるのなら、そして何かのきっかけになるのであればと、
前知識なく参加した講習でしたが、何もかもが新鮮で、すばらしい先生方とグループのメンバー、
勉強にどっぷりはまれる美しい自然環境に恵まれ、大変に充実した5日間を過ごすことができました。

アトリエの機材の充実さ、本科の学生さん達の真剣な学習態度に影響され、私達講習生も毎晩課題を続けました。
一本一本の横糸を自分の爪でひっかきながら一歩一歩柄を作っていくという、とてつもなく時間も手間もかかるのが
この綴れという技術だと分かり、講習後、生地を見る目が変わりました。あまりの奥の深さに眩暈がしそうですが、
生地というもの、生地を作るということに対する興味がますます沸いてきました。
何度も間違え、何度もやり直しする私を、暖かくサポートくださった先生とグループのメンバーに感謝しています。
またぜひ時間を作り、講習を受けたいと思っています。

>>>他のワークショップ参加者の声はこちら

天秤機実習 本科 渡瀬あゆみ

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9月に入り、天秤機を使った授業があり、マフラーと8種類の組織のサンプルを織りました。
天秤機はいろいろな模様を織ることができますが、
タイアップが複雑で織り出す前の準備が大変でした。
一番驚いたのは、踏み木の高さの調整の細かさです。
機の下に潜り込んでの作業も想像以上につらく、肩や腰が痛くなりました。
早く終わらせたい一心で、いつもより集中できた気がします。

織り出してからの苦労は、緯糸の密度でした。
かなりゆるく織らないと柔らかく仕上がらないと先生から言われていたのですが、
かまちを途中で止める動きは神経を使い、慣れるまで大変でした。
しかしその分どんどん織り進められるので、織り上がりは思ったよりも早かったです。

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○織途中

飛んだ目の修正と、房の始末が終わったら、次は縮絨です。
今回は洗濯機で縮絨を行いました。2〜3分ごとに洗濯機を止め、
様子を見るたびに縮んでいくマフラーを見るのはとても不思議でおもしろかったです。
タオルドライし、乾かすと完成です。ふわりと仕上がったと思います。
寒くなり、このマフラーを巻いて出かけるのが待ち遠しいです。

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○縮絨後

バックストラップ基礎・応用編を受講して

8月開講のワークショップを受講しての声を藤長さん(神奈川県)からいただきました。

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受講動機は原始機を現在においても使用し「マヤ文明」の宇宙観や自然との調和が、
織られる布の色や紋様に込められていると感じ、私も織ってみたいと思ったからです。

まず機になる道具の二股ロープ作り、丸棒の両端をカッターナイフで削り出すところから始まりました。
基礎編の「バックストラップウィーブ」の整経は木綿糸を8の字に、綾を作りながら糸をかけます。
次に綜絖糸を作っていきます。これが大変重要な役割をしている事を知りました。
綜絖開口、中筒開口を繰り返し緯糸を入れて織っていきます。
木と人間の身体だけでテンションを掛けながら織っていくという
原始機の原理を発見した人類の知恵にとても感動しました。
更にのバックストラップウィーブの道具一式は、風呂敷に包んでどこにでも持ち運びが出来ます。
何と合理的なのでしょうか。

応用編の「イスミキュリパンの二重織」は2色以上の上経糸と下経糸でそれぞれ平織組織をつくります。
格子や花、動物などの紋様を織出す事が出来、表と裏の色は反転します。
皆で先生の実演を拝見させていただいた後個々にテキストを見ながら織り進めます。
修正したりして私は時間が掛かりましたが、京田先生の書かれたテキストは、
1つ1つの工程をわかりやすく解説されているので理解し織る事が出来ました。

また先生はグァテマラの貫頭衣等、沢山のサンプルを持って来てくださり、
手に取って見る事が出来ました。村々で織られた個性豊かな布に驚きました。
改めて日本産地の着物の文化と共に発展してきた染織の事も思い出さずにいられませんでした。

講座の期間中は気付きと発見の連続で、先生はもちろん出会った受講生の皆さんから多くの事を教えていただきとても感謝しております。

テレビ放送のおしらせ

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右から、美弥(みや)るりかさん、進行役のアナウンサー・添田尚子さん、テキスタイルスクールの講師・表

宝塚歌劇は今年100周年を迎えられました。
100周年を記念して制作されている番組「100年のスピリット」は、日本国内に存在する、
100年以上の時を経てもなお、多くの人々に愛され続けるさまざまなモノをクローズアップし、
その魅力を紹介しています。
その番組の収録で、先日、月組の男役スター・美弥(みや)るりかさんが
川島織物セルコンの本社・市原事業所に来られ、スクールも見学されました。
織り体験もされ、短い時間でしたが、大変丁寧に織られていました。

9月3日より放送予定です。ぜひご覧ください。

チャンネル名:宝塚歌劇専門チャンネル「タカラヅカ・スカイ・ステージ」
番組名:『100年のスピリット』#11 ~川島織物セルコンのインテリアファブリック~「美弥るりか」
※番組詳細はこちら↓
http://www.skystage.net/Prgm/Detail/7237.html
初回放送日:2014年9月3日(水)19:30~20:00(※以降、10月にかけて複数回再放送を予定)
視聴方法:「スカパー!」、「ケーブルテレビ」、「光テレビ」のいずれかに加入する必要があります。

織実習「綴織」 本科 深町彩子

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6月の21日から約1ヶ月間、綴織の授業を受けました。
私は、「綴織」と言う名前自体を入学してから初めて知り、
はじめはどんな織り技法を使うのか見当もつきませんでした。
綴織は主にタペストリー等を織る織り方で、古くから世界各地にその織り技法が残っています。
日本には10世紀前後に大陸から伝わってきたそうです。
平組織で織られ、爪で掻き寄せながら緯糸を入れていきます。
糸を入れ、櫛で緯糸を詰めることも他の織物にはない技法だと思います。

始めの2週間は基礎を学ぶ為に裏織り、表織りのサンプルを作りました。
裏織りは、糸の始末が容易なこと、織物が汚れないことが強みですが糸が飛んでないか、
きちんと織れているか、経糸の下から毎回確認をしながら織るのが大変でした。
反対に表織りは、織られている面を見ながら織ることが出来ますが、
裏で始末した糸がどのようになっているかを確認することができません。
慣れるまでは何度か糸を解き、やり直しながら2枚のサンプルを完成させました。

そして、残りの2週間でそれらの技法を駆使しながら、
それぞれ「花」を題材に自由制作で縦45cm×横45cmのタペストリーを作りました。
私は7月の制作だったこともあり、早朝の涼しい時間を思い朝顔の花に決めました。
初めにデザインを決め、起こした原画から色の配色や配分を細かく描き込んだ下絵を作ります。
この正確に描き移した下絵を経糸の下に敷き、綴れを織っていきます。

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原画                   織下絵

私は朝顔の涼しげなイメージを織りで表現したいと思い、あえて色見を少なく背景も無地にしました。
試織をして色自体はすぐ決まりましたが、実際に織り始めると、花部分の箇所が細かく、
また織り易さを考えデザインを90度横にし、格子側から織り出したので、いざ花の部分に当たると
同時進行で様々な箇所を織らなければならず、1日かけてもなかなか前に進まない日が多かったです。
綴織はいままで学んだ他の織物と違い、下絵を元に徐々に絵が織り造られていく、
出来上がっていくのが目に見えてわかるのが醍醐味の一つだと思いました。
自分の作品が一つの形として完成した時は、とても嬉しかったです。

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これから、この綴織の織り実習で学んだことを活かし、
縦2m×横3mの大きな綴織の作品を、グループで制作していきます。
今まで学んだことを活かし、皆で一つのものを作り上げて行くのが今からとても楽しみです。

スピニング -羊毛を紡いで- 本科 鍋田晃子

スピニングの授業では、羊の毛を洗い、糸を紡ぐことを学びました。

汚毛2

写真は、羊から刈り取られたままの状態の毛です。
汚毛と言います。とっても動物の感じが伝わってくるもので、
この大量の汚毛を初めて見たときはびっくりしたのと同時に
これで作るのだと思うとワクワクしました。
まず、汚毛を洗うことからはじめました。
洗毛は毛質や汚れの程度で洗う方法を調整して少しずつ丁寧に
フェルトの様に固まらないように気をつけて洗っていきました。

原毛2

出来上がった羊毛(原毛)を見て感動!真っ白でふわふわの原毛が出来上がりました。
さらに、ここから糸を紡ぎやすい様にいくつかの行程を経て原毛を整えていきます。

そして初めての糸紡ぎ、ウキウキしながらはじめたものの見るのとするのじゃ大違い。
細く均一に作ろうと思うほどに難しく、なんだかいびつなものがどんどん紡がれていきました。
しかし、先生の手や足の使い方をじっと見て、何度も回数を重ねていくうちにだんだんと
なんとか出来るようになりました。紡毛機で糸を紡いでいるときの
カタカタコトコトという音が心地よく教室中に広がっていました。

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次はこの原毛を使い、冬にマフラーを織る予定です。どんなものが出来上がるのか次回の授業も楽しみです!!

美山のちいさな藍美術館を訪ねて 本科 金子かおる

6月12日、藍染め作家の新道弘之さんの工房を訪ね、京都府南丹市美山町に行きました。

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美山に向かうバスの中で見た映画『ブルーアルケミィ ―藍の物語―』*はとても興味深く、
特にインドでのプールの中で藍の染料を出す作業が印象に残りました。
緑色の液体が徐々に藍色になっていく様子には驚きました。

初めての美山。だんだん山奥に向かうにつれて期待感が高まります。
バスを降りると日本昔話の世界が広がっていました。
茅葺き屋根の景色もさることながら、空気がとても澄んでいてとても清々しい気分になりました。
小さな藍美術館まで景色を楽しみながら向かいました。
新道さんの工房は茅葺きの家の中でも大きいそうで、独特のゆったりとした空気が流れていました。

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2階の美術館は新聞の記事で見たよりも広く、全面に大きな布が広がっていて圧巻でした。
今回は日本の藍染めの展示は無く、ヨーロッパの藍染めの展示でした。
ヨーロッパの染色に藍染めがあった事にとても驚きました。
ヨーロッパでは藍染めを「インディゴ」ではなく「ブループリント」と呼んでいて、その響きが可愛く感じました。

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インドから伝わった木版染めも模様はアジア風のものは少なく、
ヨーロッパらしい麦の穂のモチーフがデザインされているものや花柄など、
現代のプリントデザインとしてスカート等に使えそうなものが多く、見ていて楽しかったです。
布に添えられていた写真が当時使われていた様子をイメージし易くとても参考になりました。

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午後からは工房で絞り染めのお話や、藍染めの実演をしていただきました。
実際に絞った布を藍甕に浸け、取り出した布が酸化し深緑から藍色に変わっていく様子を初めて見て感動しました。
その後に拝見したドキュメンタリービデオは他の作家の方の作品も見る事が出来、
いろんなアプローチの仕方を学ぶ事が出来ました。

*『Blue Alchemy -Stories of Indigo-/ブルーアルケミィ ―藍の物語―』 アメリカのドキュメンタリー監督、Mary Lanceさんが世界各地の藍の現場を訪ね、7年の歳月をかけて制作したドキュメンタリーです。新道さんのインタビューや工房の様子をはじめ、世界の藍製造の貴重な映像をみることができます。

ちいさな藍美術館10周年記念企画展「西方の藍染」の会期が7月30日(水)まで延長されることになりました。