制作の先に

制作の先に:建築と織物が響き合う 綴織タペストリー「おかえり」が寮の玄関に登場

学生が制作した綴織タペストリーが、このほどスクールの寮の玄関に飾られました。これは昨年(2021)度の専門コース本科(1年)のグループ制作のうちの一作で、玄関を利用する人からは「空間が明るくなった」と好評です。

グループ制作では、場所に合わせてテーマを決め、デザインを考えて原画を描き、約7カ月かけてタペストリーに仕上げます。本作「おかえり」は寮の玄関に展示するのに、学生自身が普段建物を使っている実感をもとに「そこに窓があったらいいな」と思いついたところから始まりました。そこで校舎内の窓を見て回り、アトリエにあるアーチ型の窓枠の仕切り方のユニークさから、変形を散りばめたデザインを着想。光のニュアンスに力を入れたのは、普段スクールで仲間と話すことで心が晴れたから。互いの明るさや癒しの色の感覚を共有し、杢糸で色のバリエーションを広げ、綴の技法を駆使して光の屈折や反射なども繊細に表現しています。

じつはスクールの建物は、建築物としても貴重なものです。設計は校舎も寮も内井昭蔵氏。内井氏は創立の趣旨を汲み、土地の状況を考慮しながら、この学校にふさわしい建物を設計するべく工夫を凝らし、校舎と寮が一体につながるこの建築物で第16回BCS賞(1975年、建築業協会による)を受賞。アトリエは、一枚の布を織ることを通して、人とものとの関わり合いの原点を探るという視点で考案された背景があります。

このタペストリーは「どんな時も私たちをあたたかい光で迎えてくれる。自然と元気が出て、あなたと話したくなる」がコンセプトの、学生の等身大の思いが込められた作品。

この作品が寮の玄関に登場したことは、スクール創立から約50年の年月を超えてなお、建物と織物が響き合っている証とも言えるでしょう。スクールに来られたら、建築空間ごとタペストリーをご鑑賞ください。

*本作品は、日本新工芸家連盟主催特別企画「第5回学生選抜展」に出品されました。

制作の先に:「和菓子の美しさに見惚れてタペストリーに」鶴屋吉信に学生の作品を展示

京都・西陣にある京菓匠「鶴屋吉信」本店に、今年も学生が制作したタペストリーが納められました。

専門コースでは、2年目の専攻科になると希望者は「店舗空間のためのテキスタイル制作」に取り組みます。新たに展示されたのは陳湘璇さん(2019年度専攻科)の作品「too adorable to eat」で、こんなキャプションが添えられています。

彩りを見ているだけで心が癒される
並べられた和菓子は いつまでも見つめていたいと思う程美しい

陳さんは制作にあたってお店に行き、手作りの和菓子の見た目の美しさに見惚れます。そこで箱詰めされた和菓子のイメージでデザインし、二重織や捺染の技法を用いて、タペストリーに仕立てました。

展示場所は、店内2階の茶寮への階段の踊り場。和の雰囲気にタペストリーがしっくりと馴染んでいます。
「鶴屋吉信」本店に行かれる際には、ぜひご覧ください。

*陳湘璇さんは、スクール修了後も織りの仕事をしながら制作を続けています。陳さんの作品が、このほどイタリアのMiniartextil Comoに入選しました。

instagram: @shung_shoko

旅するタペストリー

修了展で好評だった綴織タペストリー2作品が、日本新工芸家連盟主催特別企画「第5回学生選抜展」に出品され、5月に東京、6月に京都をめぐります。

この綴織タペストリー制作は、例年専門コース1年目の学生がグループで取り組むプロジェクトです。飾る場所に合わせてテーマを決めてデザインし、大きなサイズで織り上げます。制作にあたっては(株)川島織物セルコンの各現場の専門家による講義を受けて技術を学び、スクール講師のアドバイスのもとで学生ならではの発想力を生かして織り表現を追求しています。

「こえ」2022
「おかえり」2022

今回の出品作品は「こえ」と「おかえり」というタイトルの2作で、(株)川島織物セルコン本社内と、スクールの寮の玄関への展示を想定して制作しています。「こえ」は、併設の川島織物文化館から本社本館に入るスペースを、静けさから賑わいへ切り替わる場所として捉え、声と時間の抽象的なデザインに落とし込んだ一作。「おかえり」は、窓のユニークさや光のニュアンスに注力し、学生自身が普段校舎を使っている実感をもとに温もりを大切にした作品です。

この2作品は秋になると、それぞれの場所に納品される予定です。3月の修了展を経て初夏の選抜展へ、いわば旅をしているタペストリー。旅路は続きます。お近くの方、どうぞお運びください。

第5回「学生選抜展」は第44回「日本新工芸展」の巡回展に伴って全国三都市で開かれ、タペストリー2点はそのうち東京と京都で展示予定です。

また、2020年専攻科修了生の陳 湘璇さんの作品「Permanent」が、同じく第44回「日本新工芸展」に入選しました。併せてご覧ください。

東京本展:5月18日(水)〜29日(日)国立新美術館
近畿展:6月28日(火)〜7月3日(日)京都市京セラ美術館
日本新工芸家連盟

制作の先に:あたたかく迎える「home」−綴織タペストリー、デイサービス施設へ

花や葉のリースをあしらったイメージのタペストリーが、このほど京都市内にある福祉施設の社会福祉法人市原寮「花友じゅらくだい」へ納入されました。作品名は「home」。「『ただいま』『おかえり』、家のようにあたたかく迎えるという願いを込めて」がコンセプト。2020年度本科生のグループ制作の一作で、2人の学生が丹精して織り上げました。

利用者にとっては、デイサービスに来るのが元気の源になっている。そんな場所柄を考えて制作するのに2人の学生は、「人生の先輩方に敬意を込めて、感謝の意味を持つ花をモチーフに選び、健康を祈る気持ちと、『わ』になり集う楽しさを表現しました」と話します。

この課題では、施設の理念を学んでテーマを決め、飾る空間に合わせてデザインを考えて原画を描き、(株)川島織物セルコンの専門家による講義を受けて織下絵を作り、スクール講師の助言を受けて綴織のタペストリーとして織り上げます。学生にとっては一年の学びの集大成であり、作品制作を通して社会とつながる機会にもなっています。

このほど納入された幅157センチ・高さ100センチのタペストリーは、施設の利用者の方が使う玄関に飾られました。そこは1日に100名ほどが出入りする場所。利用者の平均年齢は86歳、最高齢で105歳、土地柄、西陣織の職人として働いていた方もおられるそうです。作品を見て施設長の森淳美さんは「空間が明るく、華やかになりました」とぱっと笑顔になり、こう話しました。「ここの利用者の方は男女問わず皆さんお花が好きなんです。作品を見て、会話が生まれるのではないでしょうか。そういう場になれば嬉しいです」

オープンスクール開催!(9月11日、10月2日、10月16日〈事前予約、いずれも土曜。10時・13時・15時から〉。見学の際、実際に機織りを体験していただけます〈専門コース本科の入学希望者のみ〉、他の日をご希望の方はご相談ください。)

*グループ制作の背景については、スクールのブログでも紹介しています。
スクールをつづる:綴織編3 「1年の学びの集大成、タペストリーのグループ制作」

制作の先に:「和菓子の繊細な感覚を織物で」鶴屋吉信に学生のタペストリー作品を展示

京都・西陣にある京菓匠「鶴屋吉信」本店に、専攻科の学生が制作した新たなタペストリーが納入されました。これは、専攻科のカリキュラムの一環「店舗空間のためのテキスタイル制作」で例年希望者が取り組んでいます。展示場所は、店内1階から2階のお休み処へ行く階段の踊り場。学生は実際に本店に行き、お菓子を味わい、空間に身を置いて構想するところから始めます。

2019年度専攻科の学生のうち、加納有芙子さんの作品が、このほど新たに展示されています。加納さんが選んだモチーフは「青苔(せいたい)」という琥珀糖の菓子。これは、本店限定商品として販売されているもので、「打ち水に苔が青々と息づく様子を表現」した美しい氷菓子です。作品のタイトルも同じく「青苔」。「五月の雨が庭の石岩に跳ね 苔はみずみずしく光の粒になる そんなうつくしき日」がコンセプト。

制作を振り返って、加納さんはこう話しました。「和菓子が持つ繊細な感覚を、織物で表現するという試みは、自身にとって魅力的な体験でした。五月雨の中に、溶けていくような美しい色合いが印象的で、初めてこのお菓子に出会った時、その美しさに魅せられて、これを織物のデザインモチーフとすることにしました。茶室という空間に浮かび上がる白い軸に、織物をみたて、またそこへうつりゆく氷菓子の情景に、想いを馳せて制作を進めました。店舗での展示を終えて、空間を生かした制作の難しさを感じましたが、それも含めてよい機会になりました」

「鶴屋吉信」本店に行かれる際には、美味しい京菓子と共に、作品の味わいもお楽しみください。

instagram: @yuko__kano

 *オープンスクール開催!(9月11日、10月2日、10月16日〈事前予約、いずれも土曜。10時・13時・15時から〉。見学の際、実際に機織りを体験していただけます〈専門コース本科の入学希望者のみ〉、他の日をご希望の方はご相談ください。)

制作の先に:織りの未来へ「芽萌ゆ」−綴織タペストリー新作がスクール玄関に登場

スクールの玄関に、このほど新たなタペストリーが飾られました。「芽萌ゆ」と名付けられたこの作品は、2020年度本科生のグループ制作の一作です。川島テキスタイルスクール修了展(2021年3月開催)で初披露時、制作した2人の学生は、こんな紹介文をつづりました。

「この豊かな大地から どんな芽を出し どんな葉をつけ どんな花を咲かせ どんな実をつけようか」

養分を吸い上げて力にする、根の力強さに着目して、その先の成長に思いはせる。その発想力は、スクールで実技を重ね、学びの根っこを育んできた学生だからこそ。制作にあたっては、初めからスクール玄関に展示するという目的がありました。幅220センチ・高さ126センチの綴織タペストリーは、繊細な色使いや、根が浮き上がるような見え方で綴れを存分に生かした織りの表情が魅力。近くからも遠目にも見応えがあります。一年学べば、これだけ作れるようになる。そんな学生の成長も表れています。

手織りを教えるスクールは、いわば織りの未来を作る場所として存在している。そんな場所に、学生たちが精魂込めて未来に向かって力強く作り上げた作品は、しっくりと入口の空間になじんでいます。フレッシュな感性光る「芽萌ゆ」、来校の折にはぜひご覧ください。 

オープンスクール開催!(6月26日、7月10日、8月28日〈いずれも土曜10時・14時から、事前予約〉。見学の際、実際に機織りを体験していただけます〈専門コース本科の入学希望者のみ〉、他の日をご希望の方はご相談ください。)

*グループ制作の背景については、スクールのブログでも紹介しています。
スクールをつづる:綴織編3 「1年の学びの集大成、タペストリーのグループ制作」

鶴屋吉信にて作品展示 専攻科 萩原千春

京都の老舗和菓子店の鶴屋吉信京都本店の一階店舗から二階茶屋•お休み処へと続く階段の踊り場に制作したタペストリーを展示して頂いています。
二階では職人さんが目の前で生菓子を作ってくれ、お抹茶と一緒に食べることが出来ます。
そんな素敵な空間に飾る為のタペストリーを作らせて頂くことになりとても嬉しく思いました。

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今回の作品のタイトルは「和敬清寂」で茶道にとても深い関わりのあることばです。
「和」…和合・調和・和楽
「敬」…お互いに敬い合う
「清」…清らかと言う意味ですが、目に見えるだけの清らかさだけでなく、
心の中も清らかであるということ。
「寂」…静寂・閑寂
というように一文字一文字に意味があります。

来店されたお客様に、職人さんが一つ一つ丁寧に心を込めて作ったお菓子を
落ち着いて召し上がって頂けるような空間にしたいという思いからこのテーマで制作をしました。

近くに寄られた際には、是非足を運んでみて下さい。
http://www.turuya.co.jp/tenpo/honten_top.html