本科

美山 ちいさな藍美術館見学 本科 山本李江

7月22日に「かやぶきの里」として有名な美山町北村へ行ってきました。

この山に囲まれた小さな集落に、藍染作家の新道弘之さんの工房があります。
工房は「ちいさな藍美術館」として公開されていて、新道さんの藍染工房や作品、
世界中で収集した藍染めの資料を見ることができます。

展示されている資料は作られた国や技術、目的、年代の様々で藍が古くから
世界中の人々に親しまれてきたことが分かりました。

新道さんのお話の中で「小豆3つ分乗る布は捨てない」という言葉が印象に残りました。
私の祖母も端布や着なくなった服を大切に保管し、
それらをつなぎ合わせて敷物を作っていたことを思い出しました。

布は本来、無駄な部分はなく、
いろいろな物に形を変えて生活を支えてくれるものなのに、
私はそれに気付かずに布を無駄にしてきたなと反省しました。

また、藍染めの体験をさせてもらいました。
藍瓶から出したばかりの時は緑がかっていた布が、
空気に触れると徐々に青くなっていく様子に感動しました。

新道さんの作品は現在、神戸ファッション美術館で行われている
『インディゴ物語 藍が奏でる青い世界』で展示されています。
新道さんの作品をぜひ見に行こうと思います。

テキスタイルの現場 本科 坂口美幸

大高亨先生(京都造形芸術大学準教授)の5回にわたる授業がありました。
組織や色彩、世界/国内のテキスタイルデザインのこと等を教えて頂きました。
講義だけでなく布のサンプルを見せて頂き、実際に触れることが出来たので、
より理解を深めることができました。

最終日は現場見学に行きました。
今回お邪魔したのは、プリント会社3件とプリーツ加工会社、
有線ビロード会社の5件です。

まず、叡山電鉄八幡前にあるデジタルパレット芝山さんへ。
こちらでは環境に配慮したインクジェットプリントを行っていました。
インクジェットプリントは、広い場所が無くても簡単にプリントが出来、
一品物に適しているそうです。
布に前処理をし、プリントします。
プリントした状態では発色があまりよくないのですが、加熱発色させることで
鮮やかな色に変化します。
色が変化するのは、布に前処理をしているからだそうです。
Tシャツ一枚からプリントして頂けるそうで、気軽にプリントが楽しめるようです。
現在も新しいインクジェットプリントを開発しているそうです。

次に茶山にある佐藤染工場と太田重染工さんへ
佐藤染工場さんは90年も前からシルクスクリーンという技法でプリントしています。
シルクスクリーンとは、メッシュの張ってある版を使用し、
インクを通したい部分のみメッシュに穴が開いておりインクが通るようになっています。
実際に刷っているところを見させて頂きましたが、一色目が刷り終わってすぐに
二色目に移り、あっという間に刷り上がっていました。
一色目から二色目に移る際に、一色目の色が滲まないのは、
メッシュの細かさと圧力をかけて布に色を入れているからだそう。
ですので、すぐに二色目をのせても問題がないそうです。
メッシュは目に見えないほど小さな穴で構成されていました。
シルクスクーリーンプリントをする上で重要なのはメッシュと繊維の選び方だそうです。
社長の佐藤さんは、とても探究心があり、
現在も様々な手法で新しい物作りをされていました。

同じく茶山にある太田重染工さんは、ローラープリント行っている会社です。
ローラープリントを行っている会社は現在国内で2〜3件のみだそうです。
ローラープリントは約50キロある銅メッキした捺染ロールを用いてプリントします。
会社の中にはかなりの数のロールが保管されており、
チェックや水玉の柄やびっくりするほど細かい柄のものまで並べられていました。
古い物では2〜30年前のものまで保管されているようです。
2〜30年前のものでも現在も使用できるそうです。
ローラープリントは、昔からパジャマの素材によく使用されているようですが、
今後幅広い生地に使用されるようになればと思います。
古くからの手法を現在も行っており、
職人技を必要とされる物作りが今後も残っていってほしいと思います。

午後からは、西京極にあるプリーツ加工会社の三協さんへ
こちらの会社ではISSEY MIYAKEさんのプリーツを作っている会社で、
ウェディングドレスなどの服地から、梱包材などまで幅広いプリーツを作っています。
プリーツ加工は3種類あり、ハンドプリーツとマシンプリーツと
手折りプリーツがあるそうです。
今回マシンプリーツでプリントする加工を体験させて頂きました。
機会はとてもゆっくり動きプリーツを作っていきます。
出来上がった布はしっかりとプリーツ加工がされており、
ちょっとしたことではとれることはないそうです。
プリーツの種類もかなり数多くあり、制服のスカートのイメージが強かった私には、
こんなにもプリーツに種類があることに驚きました。

最後に西院駅からバスで日本ビロード工業へ
ビロードというものは緯糸を織り込むときに間に針金のような細い棒を入れ、
その棒を入れたところを織り上がってから切ることで、毛羽がたつようになっています。
最後の切る作業は職人さんが一本一本丁寧に切っていきます。
実際にやらせて頂きましたが、力の入れ加減や道具の使い方が難しく
うまく切ることが出来ませんでした。
さすが職人さん、一本一本的確に切っています。
ビロードは主に鼻緒に使用されるそうで、
明治頃の鼻緒に使用されていた貴重な資料も見せて頂きました。
昔の鼻緒は色鮮やかで、粋なものばかりでした。
ビロード以外に馬の毛で織ったというものも見せて頂きました。
馬の毛はつやがありしっかりとした贅沢な物でした。

今回様々な現場に行って実際に作る工程を見させて頂き、
布になった状態で見ていたものがこのように作られていることを知る
貴重な一日となったと同時に、自分の物作りの参考になりました。

最新技術から昔ながらの技術までを見て、
こうした技術を後世に残していかなければいけないと思いました。
昔からあるいいものがこの世からなくなっていくことは非常に寂しいものです。
新しいものも取り入れつつ、昔からあるものも大切にしていきたと感じました。

アトリエ訪問 本科 清水わかな


先日田中千代子さんのアトリエを訪問しました。アトリエは京都のしょう山周辺で、バス停から山道を歩いて15分かかる静かな森の中にありました。

2階建てのアトリエは色々な所が改造されており、大きな機や整経台、糸のストックや先生の作品が綺麗に収納されていました。作品を見る機会はあっても、作家のアトリエをこうして見せていただく機会は今までになく、皆センスの良いアトリエに溜め息をついていました。

2階へ案内された私たちは先生の過去の代表的な作品を沢山見せていただきました。先生は作品に関して技法等以外は特に多くを語られませんでしたが、私は先生の人柄や思いがとてもよく作品に表れていると思いました。
私が一番印象的だった作品は泥染めで仕上げた作品と、織物を石でこすって表情を出したものでしたが、そのどちらも自然をダイレクトに作品に取り入れていたり、技法がとても自由でそれが先生の印象とピッタリ合ったからだと思います。

今私たちは織物の基本的な技法を勉強しているので型にはまった考え方になりがちですが、田中先生の様に自分の作りたいように作ったり、自分の表現したいものを素直に表現している姿は、新鮮でしたし、「こんなこともありなんだな」と少し安心する気持ちもありました。

先生は簡単そうに制作に関してお話されていましたが、その展示に対する徹底ぶりや作品の保管の仕方など、制作以外の事でも大変な事をきっちりされているとも思いました。作品だけでなく、アトリエを見る事で、また違った視点で学ぶ事が出来たと思います。

武田浪・田中千世子 展 ギャラリー恵風 
10月6日(火)〜10 月18日(日)

2006年京都府美術工芸新鋭選抜展で卒業生が最優秀賞受賞

2月11日から26日まで京都文化博物館で開催する2006年京都府美術工芸新鋭選抜展 〜新しい波〜 で修了生の吉本直子さんが300枚の古着の白いシャツを素材にした「白の棺」を発表、美術部門(ミクストメディア)で最優秀賞を受賞しました。
一枚一枚の白いシャツに込められた個々の生の痕跡と死に至る結びつきを作品のコンセプトとしたものです。他に同じく修了生の島崎政美さんの作品「pony」が工芸部門(染織)に入選しまた。