
Garland Magazine(オーストラリア)のニュースページ「Loop」に、当スクール講師、表江麻の絣を教えることについてのインタビューを掲載していただきました。聞き手はアーティストで元受講生でもあるHelen Tingさんです。ぜひご覧ください。
>> Garland Magazine “The Kawashima Textile School | Ancient kasuri is live in Japan“
Garland Magazine(オーストラリア)のニュースページ「Loop」に、当スクール講師、表江麻の絣を教えることについてのインタビューを掲載していただきました。聞き手はアーティストで元受講生でもあるHelen Tingさんです。ぜひご覧ください。
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川島テキスタイルスクール(KTS)を紹介するシリーズの国際編をお届けします。第3回は、海外からの留学生向けに初心者コースと絣コースを英語で教える表江麻講師のインタビューです。自身の海外経験、テキスタイルとの出会い、KTSで手織りや絣を教えることの思い、留学生との出会いから影響を受けたこと、スクールから見える国際性について語られた内容をお届けします。
◆ 暮らしが豊かになるものを作る
表講師は2009年にKTSを修了後、スクールのアシスタントに。同年、スクールが海外向けに「ビギナーズ」と「絣」を英語で教える「留学生コース」を設定したタイミングで、留学生の授業を山本講師と共に担い、国際コーディネートも担当することになりました。
自身も海外で暮らした経験が2度あります。最初は、子どもの頃にアメリカで。現地の公立の小学校に通っていた時、英語はアジア人である自分が周りと対等に交流するのに必要な手段だったそうです。次は、京都精華大学に在学中、交換留学でフィンランドへ。美術を幅広く学びたいと思い洋画を専攻し、留学先でやりたいことが少しずつ見えてきました。「テキスタイルを専攻している友人たちが、『使う』『着る』という明確な用途のあるものづくりをしていて制作に対するアプローチに魅力を感じたことと、明るいテキスタイルを室内に使って暗い冬を過ごすなど布が生活の中に溶け込んでいて、暮らしが豊かになるものを作るのが素敵だなと思ったんです」
日本が本場の技術を日本で学びたいと思い、大学卒業後にKTSへ。「年齢、国籍、経歴問わず、学びたい人に対してオープンなKTSがあったからこそ、好きな技術を身につけられました」。色の組み合わせと直線で考える、制約がある中でのものづくりが好き。作家活動で着物制作をし、スクールで海外からの学生に手織り技術を教える。いま、日本のことを世界に伝えるという、目指していたことが実現できている実感があるといいます。
◆ 世界中の織り手との出会い
母校が職場になり、主に海外から学びにくる人たちに教えて約10年。少人数制で、確かな技術を教えるスクールの方針に加えて、自身としては「学生にとっていい経験になるように」、「自国に帰ってからも一人で織れるように」心がけてきたそうです。「授業では、緯糸を織り込む角度や密度を安定させるなど美しく仕上げるコツを教えています。学んだことを帰国後に生かしてもらえたら嬉しいです」。
スクールから見える、世界の距離感があります。「織りをする人は、手仕事が好きで根気強い人が多いのではないかと思います。国や文化の違いがあっても、そうした技術との相性や、手織りに対する価値観の共有など、似たところがある人が集ってくる印象があります」。世界中の織り手との出会いが、教える喜びの一つ。その中で、自身の織りに対する思いに変化が生じます。
◆ 絣にとって何ができるか
変化のきっかけは、受講者から「歴史について聞かれることが多い」ことから。「留学生は、技術に加えて、昔は何の道具を使っていたのか、各地域の特徴など歴史的な背景の質問が多いです」。日本の手仕事、その伝統を作ってきた人たちに思いを馳せるようになり、「絣に対する思いが強まり、単に技術を教えるだけではなくなりました」。
そこで芽生えたのは、「技術を継承し、世界中に種まきをしている」という意識。「手織りは紀元前からつながっている歴史のある技術。(デジタル化が主流の)今の時代に、あえて手織りに特化したユニークな学校があり、47年続いていて、そこで学び働いている。時代が変わり消えてしまう技法がある中で、絣という手織りの技術をどうつなげていけるか。絣にとって私は何ができるか、役割を考えています」。
機が百台以上あり、染色室も整備され、織りも染めも専門の先生がいて、寮など設備が整うKTS。この規模で運営し続ける「手織りに特化したスクールがあるのはすごい」と留学生に言われることが多いそう。「海外でも大学のテキスタイル学科が閉鎖された話を聞きます。織りが好きな人が学びに来られる場として、KTSがこれからも息長く存続していけるよう力になりたい」と話します。
川島テキスタイルスクール(KTS)を紹介するシリーズの国際編をお届けします。スクールは開校当初から、世界中の手織りを学びたい人を受け入れています。2019年までの直近14年間だけでも、28カ国140人以上の留学生を受け入れてきました。第2回は、近年の国際化の流れについてです。
海外からの希望に対して、以前は期間や学びたいことに合わせて個々に対応していましたが、問い合わせの増加に伴い、2009年からは英語で教える「留学生コース」を設定しました。内容は、手織りの基本を身につける「ビギナーズ」と、「絣」の基礎・応用。絣の技法自体は、世界各地に地域色豊かで多様な絣がありますが、日本の絣を学びたいという海外からの需要に応えてのことです。それまでは英語の共通言語でikatと呼んでいましたが、コースを設定してからは日本独自の名称kasuriとして定着しました。
毎年春と秋に定期開催するようになると、受講者の口コミで評判が徐々に広まり、2013年頃から応募者が年々増え続けて毎回定員オーバーとなる状況が続いています。受講者は、初心者や趣味で続けている人から、大学・大学院生、作家やデザイナーなどテキスタイルを仕事にしている人まで幅広く、手織りという共通の目的で世界中から集う方々を通して、それぞれの人生において自分に合った織りとの関係があるとわかります。織物を世界目線で見つめると、個々のライフスタイルや、社会・文化的な背景が多様である分、関わり方の可能性がさまざまに見えてきて、選択肢が広がります。KTSの国際性は国や文化の違いだけではなく、織りとの関わりの多様性があること。それは、手織りに特化した学校だからこそ見えてくる世界です。
川島テキスタイルスクール(KTS)を紹介するシリーズの国際編をお届けします。本シリーズでは、創設時から続く国際化の広がりや、担当講師インタビュー、留学生の声など、スクールの織りを通じた国際的な関わりについて紹介します。第1回は、国際化の背景についてです。
スクールの国際化は、設立の構想段階から視野にありました。美術系大学院のCranbook Academy of Art(米国)など欧米30カ所以上を視察し、織物を世界目線で見つめて独自の土台を作ってきました。開校してからは、基礎から高度な専門技術まで幅広く学べる内容と充実した設備で、海外でも類の少ないテキスタイル教育機関として注目されました。以降、世界中の染織作家や同好者に創作に打ち込む機会と場を作り、海外から講師を招いてレクチャーを行うなどして国際関係を繋いできました。テキスタイルの伝統校HV Skola(スウェーデン)との交換留学制度は、現在も続いています。近年は、海外向けに英語で授業を行う「留学生コース」と「海外ワークショップ」を定期開催。海外旅行グループ用に染色や綴織りなど希望に合わせた講座も行っています。
KTSは、洛北の里山にある手織りの学校。種をまき、じっくり育てるような静かな持続を実践するうちに国際的な知名度は高くなり、かつてここで学んだ方が自国でテキスタイルを教えてKTSのことを生徒に紹介し、今度はその方が学びに来るという世代をまたいだ繋がりも育まれています。手から手へ、人から人へ、まかれた種が着実に世界に広がっているのが、47年続いているスクールの国際面の特長です。
*現・株式会社川島織物セルコン
スウェーデンでの残り20日はとても早いものでした。Damast、DTプロジェクトが終わり、次の大きな課題は、1m×1mの刺繍の作品をつくるというものでした。私は、その課題が本格的に始動する前に帰国することになっていたので、デザインのみ考え、日本で制作を続けることにしました。使うテクニック、素材、テーマ、全て自由に決めて良いため、デザインを膨らませる為だけの授業があったり、水彩絵の具を使った絵を描くだけの授業があったりと、HVでは作ったデザインに対して指導をするのではなく、デザインを作る前にどうデザインを膨らませていくかを教えてくれることが多く、おもしろいなと感じました。20日に帰国することを伝えると、刺繍を担当する先生が、放課後にわざわざ個人面談の時間を取ってくれ、私のデザインに合うテクニックやそれにおすすめな素材などを教えてくれました。日本でこの課題に取りかかることがとても楽しみになっています。
○学校の階段とDTプロジェクトで作ったクッション
校外学習では、スウェーデン版新幹線のような列車で、ノルウェーの近くにあるアルヴィカという町にリネンの工場見学に行きました。個人的に列車にのることが好きなので、この校外学習は行き帰り、見学を含めて全てがわくわくするものでした。車窓から、ヘラジカを見つけた時などは感動で言葉も出ませんでした。リネン工場を見学する前に、小さな織りのスタジオに行きました。そこには昔ながらのスウェーデンの家があり、機が置いてあり、夏の間、そこに滞在して織物が出来るというサマーハウス×アトリエのような興味深い施設です。
○織物が出来るサマーハウス
去年川島に来ていたカタリーナさんもその施設に滞在し、織物をしていたと聞きました。その後見学したリネン工場は、スウェーデン王室やノーベル賞授与式で使われているリネン類を制作していました。日本のデパートでも商品が扱われている会社なので、見学自体はスウェーデン語でしたが、日本語で出している会社のカタログを頂きました。また、工場で使われている機械は、川島織物セルコンにある機械と大体同じであった為、スウェーデン語が分からなくとも、何となく理解出来たのは幸運だったと思います。
学校最終日のFIKAの時間にクラスメイトがサプライズでプリンセスケーキを出してくれました。ずっと食べてみたい!食べてみたい!!と言っていたことを覚えていてくれて、こっそり準備してくれたみたいです。ケーキを切ってお皿に取り分けたら拍手をもらい、なんでだろう?と不思議に思っていたら、お皿に倒さず置けたら結婚できると言うジンクスを教えてくれました。一緒にDTプロジェクトをしていたJosefineが私のお気に入りになったスウェディッシュキャンディとプロジェクト中に教えてくれたルシアというクリスマス文化のカードをくれたことも嬉しかったです。
○FIKAROOMとクラスメイト / 緑のマジパンで包まれたケーキ
学校外では弾丸でフィンランドに行きました。北欧に行ったら、絶対に見てみたかった一番好きな建築家のALVAR AALTOの建築を見学する為です。今回は余り時間が無く、見学できたのはAaltoの自邸のみだったのですが、見学ツアー参加者が私と、出張中のスペイン人という二人のみという少人数で、解説をしてくれたスタッフの方が、こんなに少ない回は珍しい、プライベートツアーみたいでラッキーだよと言っていました。実際に見ることが出来たAaltoの建築は、色、カタチ、装飾全てに意味があり、建物自体に物語がつまっているようでした。
○ALVAR AALTOの自宅
滞在許可が下りず、学期の最後までいられなかったことはとても残念でしたが、この留学を経験し、自分の凝り固まっていた色々なものがほぐれた様な気がします。北欧のテキスタイルや建築、インテリア、生活文化を見ることで、建築を学んでいた大学時代に決めた、インテリアテキスタイルをやりたいという初心を思い出すことが出来ました。そして、クラスのみんなや、知り合った作家さんから、自信を持つことの重要性を学べました。モノを作るということは、日本でもスウェーデンでも自問自答を繰り返すというところは同じであり、そして作った後に、それを人に見せていくことが大切であるように感じます。これからまた作品を作る道を歩むため、HVでよく言われた、”You can do, if you want”という言葉を忘れず、向き合っていきたいです。今回、このような経験をさせて下さった全ての方々に、感謝し、残りの川島テキスタイルスクールでの制作に取り組みます。
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写真はスウェーデンで見つけた面白いものたちなどなど。
↑クレーンにキリンの柄が塗られていた。裏の小島から見える風景。
↑Saturday Candyという、土曜日は子供達が お菓子を食べていいということわざ? CandyShopには大人も沢山買い行くる
8月下旬より、提携校であるスウェーデンのHV Skolaに交換留学に行っている
創作科(3年目)の谷さんより近況報告が届きました。
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Damastの授業が終わり、DesignTorgetとのコラボレーションプロジェクトが始まりました。
このプロジェクトは、HVの 生徒が作ったものを来年の春にDesignTorgetの店舗にて販売するというものです。
まず始めに、DesignTorgetから来たアマンダさんよりアーティストやデザイナーにとって何を考える必要があるのかというレクチャーを受けました。そこで印象的だったのがHow~という言葉です。どう働きたいか、どうなりたいか、自分の人生、生き方をどう作るか、どんな層を的にするか、どういう素材を使うのか、他にもいろいろなHow~があり、またHowを考えたら次は行動に移すべきというレクチャーはとても面白かったです。経済の知識が創作側の販売生活を大いに助けるというお話も、今まで自分があまり考えていなかった、作品を売るという点を考えるきっかけになりました。実際HVのみんなは経済学の授業があり、使った材料、制作時間、クオリティなどを考慮して、利益を得るための価格設定を学んでいます。他にも経済学の授業で、会社の立ち上げ方やインターネット販売の方法なども学んでいると言っていました。
このプロジェクトはグループワークで、白色と黒色しか使えないという条件があります。
私はJosefineさんと一緒に、来年2018年がスウェーデンと日本の国交樹立150周年記念の年だというところから、
スウェーデンの技術と日本の技術を合わせ たクッションカバーJapanese and Swedish Plow Colectionを作ることに決めました。まず、思いつくそれぞれの国の織物や テクニックをリストにして、いろいろな素材でサンプルを作りました。(RYAWAFFULDROPDRALLRIPS、刺子、緋り、絞り) HVでは綿やリネンを染めるのに反応性染料を使っているのですが、何度も調整を繰り返してもうまく黒を得ることが出来ず、結果、統一性を求めるため、使う素材をウールにしました。
こちらの染色方法は日本でやっていた綛を繰る方法ではなく、鍋に綛全部をドボンと入れるという方法で、始めの頃は何かすごく悪いことをしているような気持ちになっていました。この方法は糸を繰らない分、沸騰をさせずに長時間煮て色を得ます。なので待っている間に刺編をしたり、編み物をしたりしている光景をよく目にします。
編み物をしている人の姿は染色中だけではなく、先生が話している授業中や仕事中のトラムの駅員さんなど日本だと確実に怒られるだろうなという場所、時間にも目にしており、そこにスウェーデンらしさを感じます。
素材をウールに統ーし、もう一度サンプルを作り、それぞれのテクニックが一枚織るのにどのくらいの時間を取るかや、RYA部分にどの種類の糸を混ぜるか、時間短縮のために線続通し順を変えず、ワッフルからドロップドラルに移る組織の作成、刺子刺編の代わりに刺子に見える織組織の作成などを話し合い、本番を作り始めました。
このプロジェクトを通して、商品にするためのクオリティーを求める姿勢や自分たちのクリエイティビティをコントロールする力を身につけることが出来た上に、スウェーデンのテクニック、日本のテクニックを通じてお互いの知識を増やすことが出来たこと、織組織りを学べたことなど、沢山のことを得ることが出来ています。来週の最終プレゼンに向けてこのままの姿勢を保っていきたいです。
↑絣 Munkabålt DesignTorgetプロジェクトのサンプル
DesignTorgetProjectの間にTaqueteというテクニックを学びました。二週間に一回くらいのペースでBLという授業があり、そこでいろいろな織組織りの学習をしています。TaqueteはWeft-Ripsの多重織で、特別な線続を使うと自由に絵柄を織ることが出来ます。また、GORAEGETMATERIALという学校全体で行われたワークショップにも参加しました。GORAEGETMATERIAL はMakeyourownmaterialという意味で、緋、スピニング、ミシンワークの三箇所を回りながら、自分の好きなように好きな 素材で糸を作るというものでした。ここでいつもはあまり関わりのない、ファンデーションコースの人とも話すことが出来、良い機会になりました。
10月の頭の頃に、学校全体でプレゼンテーションがあり、なんでも良い好きな写真を3枚提出するように言われ、
よくわからず出席しました。この授業では、写真1枚につき1分の説明で3枚紹介し、自分自身をプレゼンするという、おそらくプレゼンテーションの練習のための授業だったのだと思います。スクリーンの前のふかふかなソファーチェアに座りながら、前に座っている全校生徒に自分の好きなものについて話すと、なんだかアメリカのテレビ番組のように思えて1人で二ヤ二ヤしてしまいました。
学校外では、隣のお店でRosemaryさんというご近所さんとなぜか友達になり、Rosemaryさんと娘のVictoria、息子Andresとご飯を食べにいきました。お子さん2人は14歳で日本のアニメが大好きと、私が知らない日本のアニメを教えてくれました。Rosemaryさんごー家は二年前にアメリカからストックホルムに引っ越してきたそうで、スウェーデンで日本好きなアメリカ人と友達になるという不思議な体験をしています。娘のVictoriaは特にセーラームーンが大好きで、日本版とアメリカ版のOPの違いを解説してくれたり、なんだか妹が出来たみたいで可愛いです。
HVの卒業生の個展も見に行きました。主に自然染色でインテリアテキスタイルを織っており、アボカドの種で染色している作品は暖かさと冷たさが混合したなんとも言えない色味がとても素敵でした。
毎日、朝から夜までやることが沢山あるのですが、休憩の取り方がうまくなったのか、あまりストレスを感じません。ただ、スウェーデンに来てから確実にコーヒー中毒のようになっています。クラスメイトのMariaさん日く、これはスウェーデンに来た外国人の通る道だそうです。
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写真はスウェーデンで見つけた面白いものたちなどなど。
↑とんがりキャベツ、丸いキャベツより柔らかくて苦みが少ないのが特徴
チェーン店のお寿司屋さん。無機質な内観とレンガの外観のギャップがすごかった。
↑やる気の無い羊。
NORDISKA MUSEETはノーディスカッ ミュージーエットと読むとシャミさんに教えてもらった。
8月下旬より、提携校であるスウェーデンのHV Skolaに交換留学に行っている
創作科(3年目)の谷さんより近況報告が届きました。
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8月27日、大きな期待と少しの不安を携えてスウェーデンに到着しました。
入国審査で引っかからないかが一番の不安だったのですが、スウェーデンの空港には
入国審査というものが存在しておらず、どこだどこだ?と歩いている内に入国が完了しておりびっくりしました。
(後から分かったのですが、乗り継ぎの空港にて入国審査を受けていたそうです。気づきませんでした。)
到着日はとても有り難いことに、少し前まで本校にて学んでいた留学生の Anneli さん宅に泊めて頂きました。
Anneli さんに入国審査について尋ねてみると、彼女は逆に、日本に来た際、
入国審査場で滞在する場所の住所まで聞かれた事にびっくりしたと言っていました。
初日の登校日からダマスクの授業が始まりました。授業は基本全てスウェーデン語で行われています。
ダマスクでは普通の綜 絖の他にパターン綜絖というものを使用するのですが、
スウェーデン語で聞こえてくるそれがモンスタースキャッフトにしか聞こえず、
飛び交うモンスターという単語にダマスクの授業中、度々ファッションモンスターの歌が脳内再生されています。
HV の授業はとてもスピーディです。
進みが速いという事ではなく、先生の説明から作業に移るまでにかかる時間や、
自分が織りたいと思うデザインを決めるのにかかる時間、そのデザインを出すにはどのような色、糸の種類を使えば得る事ができるかを考える時間に無駄が無く、
織る・作るという事への熱意をクラスメイトから感じるからです。
また、先生と生徒という関係性が対等であり、授業が議論の上に成り立っているところが興味深いです。
学校での授業の他に郊外授業がたまにあり、ボタニカルガーデンでスケッチをしたり、
そこで自然染色をしている方のお話を聞いたり、テキスタイルのエキシビションを見に行ったりと
沢山の刺激をもらっています。
特に、小さなシルクの美術館で行われたアメリカ人で現在ラオスで Lao Textiles という会社を立ち上げている
Carol Cassidy さんの講演会は胸を打たれるものがありました。
自分が日本人である意味、そして今スウェーデンでテキスタイルを学んでいる意味を深く考えるきっかけになったと思います。
少し嬉しかったのは、講演中アジア人の顔が目立っていたのか、あなたはどこから来たの?と尋ねられ、
日本と答えると日本の織物文化についても話してくださったことです。
ボタニカルガーデンでは染色家の方がスウェーデン語で話していたので
彼女の話を理解するのが難しかったのですが、後からクラスメイトで
昨年そこのワークショップを受けていたという Cissi さんが豆知識を加えながら付きっきりで英訳してくれ、
さらにはバンドルテクニックをやってみたいという私に色々なサイトや過去の彼女の作品などを見せてくれました。
また、スケッチも「スケッチ=鉛筆」ではなく、刺繍を使ってスケッチをしている人も居て、自分の固定概念を砕かれた気がします。
ダマスクの授業が終わる頃に個人面談がありました。
面談ではメインティーチャーのエリザベスと今まで自分がやっていたことや、
これからやりたいこと、クラスの雰囲気をどう思うかなどについてお話ししました。
今回、ビザが下りなかった為、本来の刺繍の授業が受けられないのですが、
そのことを伝えると月末に行われているウィークエンドコースに参加できるようにしてくれることになりました。
持ってきた自分のポートフォリオを見てもらうと、
もしあなたが望むなら、クラスで時間を設けて日本でのあなたの作品をクラスメイトに見てもらう時間を設けましょうと提案してくれ、
結果、クラスでお互いの作品を見せ合う小さなプレゼンテーション会をすることになりました。
HV に来てよく言われる言葉が『If you want』です。
あなたが望むならそれをしましょう、それができます、という様に使われるのですが、
この言葉を聞くたびにワクワクした前向きな気持ちになれ るのがとても嬉しいです。
エリザベスは自称英語が苦手らしいのですが、私にとってはゆっくり話してくれるので聴き取り易く、
彼女がメインティーチャーでよかったとつくづく思います。
また、私のスピーキング力の無さを謝ると、問題ない!だって私たち分かり合えてるじゃない!!と言ってくれ、二人でちょっぴり盛り上がりました。
しかし、もっと沢山ありがとうの気持ちや 嬉しい気持ちの内容を伝えることが出来たら良いなと思うので
スピーキング力を上げれるよう、勉強しようと決意した面談になりました。
HV では毎年カリキュラムが変わるらしく、昨年のノーベル博物館とのコラボレーションは今年は無いのですが、
代わりにスウェーデンの有名なアンテナショップ Design Torget とのコラボレーションプロジェクトを行います。
これはグループワークなので迷惑をかけないか少し不安なのですが、
自分たちが作ったものが店頭に並ぶという体験は想像するだけで顔がにやけます。
このプロジェクトについては次のレポートで詳しくお伝えするつもりです。
昨年、川島に来ていた HV のみなさんにもお会いすることが出来ました。
そのうちの一人、カタリーナさんは今、HV の上にあるアトリエで働いており、
放課後コーヒーをご馳走してくれた上に、色々な情報を教えてくださり、
困ったことがあったらいつでもなんでも聞いてねと、あまりの優しさに帰り道少し泣きそうになりました。
その一週間後には、染色室でばったりマリアさんに出会い、あれ?ここは川島かな?と不思議な気持ちになりました。
そして先週は、Ia と Siri が彼女たちのアトリエに招待してくれ、二人が作ったスウェディッシュパンケーキ・リンゴンベリージャム添えとトンガリキャベツのサラダをご馳走してくれました。
Siri は日本から帰ってきてからスウェーデンでも味噌を買うようになったそうです。
また、VÄVMÄSSAN というテキスタイルの祭典に日本の秩父から出展していた日本人の方二人 (Siri と Ia の友人 )も招かれており、銘仙やシルク、伝統工芸士といったお話しを聞くことが出来ました。

スウェーデンに来て約一ヶ月、日本で出会ったスウェーデンの方々、スウェーデンで出会ったスウェーデンの方々、スウェーデンで出会った日本の方々。
様々な人たちに支えて頂きながら、素晴らしい日々を送らせて頂いています。
希望より短い期間になってしまいましたが、約三ヶ月間、沢山のことを吸収したいと思います。
追記:語学向上のためなのかなんなのかは分かりませんが、スウェーデンでは受け身だと何も起こらないので、
誘ってくれたり、おすすめしてくれたことは積極的に参加したり、やってみたりしています。
そして、その感想をできる限り伝えています。 また、会話の中でよく使われるけど、自分は使ったことがない単語などは、真似して覚える様にしています。(supposed to←ディスカッション中によく出てきた。)
写真は、スウェーデンで見つけた面白いものたちなどなど。
↑スウェーデン名物ザリガニ、シャコのような味がして以外と美味しかった。
↑クラスメートの Ida さんと Maianna さん
アートマーケットで RYA というテクニックを教えてもらった。