スクールをつづる:綴織編3 「1年の学びの集大成、タペストリーのグループ制作」

専門コース本科(1年次)では、個人制作とグループ制作を1年の集大成として取り組んでいます。川島テキスタイルスクール(KTS)綴織編シリーズ第3回は、綴織のタペストリーのグループ制作を紹介します。作品は地域社会とつながる機会にもなっており、近年は、保育園や老人福祉施設と提携して、グループ制作で作ったタペストリーを施設に飾ってもらっています。学生にとっては自己表現だけではなく、飾る場所を考えたデザイン・制作のやり甲斐になっています。

竪機での制作風景 (2015)

毎年冬になるとスクールのアトリエには、縦幅およそ2メートル・横幅約3メートルの垂直の竪機(たてばた)や、水平の臥機(ねばた)で、綴織のタペストリーを懸命に織る学生たちの姿があります。使う人の思いを汲んで、喜んでもらえるような作品づくり。施設の理念を学び、作品のテーマを決め、飾る空間に合わせてデザインを考え、原画を描き、(株)川島織物セルコンの専門家による講義を受けて織下絵を作り、スクールの講師の助言を受けながら約7カ月かけて織り上げていきます。大きな作品を作るには場所も時間も必要になり、学生時代だからこそ挑戦できる面があります。2〜3人が1グループになって、それぞれが得意なところを生かし、また助け合う。一つの作品を共に作るのは時に苦労はありますが、出来上がった時の喜びもひとしお。施設の方々からは「心がいやされる」「温かみがあってほっとする」といった声をいただき、学生たちの励みになっています。

夢を抱いて (2017)
1280 x 1870mm
市原野児童館

2020年度本科生が制作したタペストリーは、このほど完成したばかり。仕上げ加工を施し、春には近隣の福祉施設やスクールの玄関に飾られる予定です。それに先立ち、3月10日(水)から京都市美術館別館で開催される修了展で初めて披露されます。修了展期間中、SNS(instagram/facebook)でも配信予定です。どうぞお楽しみに!

* 次回の綴織編4は、春休みをはさんで4月に更新予定です。