スウェーデン交換留学近況報告3 創作科 水野友美

スウェーデンから創作科(3年目)の水野さんから近況報告が届きました。
水野さんは8月下旬から、提携校であるHV Skolaで刺繍や織りを学んでいます。

こちらストックホルムは12月1日に初雪が降り、本格的な北欧の寒さを体験しています。
夜が長くなった一方、街は11月半ば頃からクリスマスの装飾で華やかです。
NKデパートのクリスマスショーウィンドウは冬の風物詩の一つで、
いつも人だかりが出来ていて外国のクリスマスらしい雰囲気がたっぷりです。

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12月4日で私の留学の授業が終わりました。
個人プロジェクトが終わった後はダマスク織の授業に入りました。
実践と理論の授業が上手く組み込まれていたのでとても勉強しやすかったです。
ダマスク織は既存の天秤機に様々な綜絖や器具を取り付けるなど、
織るまでの準備が本当に大変です。
そのため2人1組で経糸をシェアし、機建てを行いました。
ブランケットを作る人が多かったのですが、
私は前回の個人プロジェクトでブランケットのような物を作ったので、
今回は折り紙パターンのポーチを作りました。

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クラスメイトに日頃お世話になっている感謝を込めて、私の部屋で日本食パーティを開きました。
テーブルセッティングや材料の調達など中々大変でしたが、皆喜んでくれて良かったです!
日頃のお礼として開いた会ですが、クラスメイトから手作りのジャムや北欧のお菓子の本を
プレゼントしてもらい、私がまた嬉しい思いをしてしまいました。
ちょうど樹木希林さん主演の日本の映画「あん」が上映されていて皆で見に行ったり、
その映画でどら焼きを皆が食べてみたい!となり、丁度私の家族が来るタイミングだったので
どら焼きや日本のお菓子、北欧のお菓子でフィーカをしたりしました。
皆と私の家族でフィーカが出来、とても良い思い出になりました。

その他、クラスメイトのお家でヌードデッサン会をしたり、リンディーホップダンスを習ったり、
学年の違うお友達のお家でジンジャークッキー(スウェーデンではペッパーカーカと言います。
クリスマスに作るクッキーで今がシーズン)を作ったり、
クラスメイトとサウナに行ったりしました。
サウナは湖に面しており、サウナで暑くなったら湖へ入ります。
私も挑戦しましたが、死ぬかと思いました…。
などなど、クラスメイトのおかげでとても充実したものとなりました。

8月末から今月初めまで4ヶ月近くHVskolaで沢山の人に助けて貰いながら、
充実した留学生活を送ることが出来ました。
私の授業参加最終日となった金曜日、
クラスメイト達がリュックサックをプレゼントしてくれました。
このリュックサックは私が欲しがっていたものでした。
それを何となく世間話の一つとして話していたのを覚えてくれていたこと、
そして何よりスウェーデン語がほぼ分からず、英語も拙い私だったのに、
こんなにも素晴らしい関係を築いてくれたことに感激し、涙が止まりませんでした。
勉強も遊びも伸び伸びと出来たのは出会った方達のおかげです。
この絆と経験は一生の宝になると思います。
不安だった初めの頃を忘れてしまうくらい、素敵な出会いと日々に恵まれた留学生活でした。

スウェーデン交換留学近況報告2 創作科 水野友美

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スウェーデンから創作科(3年目)の水野さんから近況報告が届きました。
水野さんは8月下旬から、提携校であるHV Skolaで刺繍や織りを学んでいます。

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こちらは先週サマータイムが終わり、日本との時差が1時間増えて8時間になりました。
来たばかりの8月には夜の9時まで明るかったのに、今や夕方4時に日没です。
冬は3時日没になるようで、スウェーデン人は少しでも日があれば、
今のうちに日光を浴びようとしています。ちょっと面白いですが、
私も冬の長い夜を経験すればそうなるのだろうな…と思っています。
秋は早足で過ぎ、一部地域ではオーロラが観測されたようです。

織りのプロジェクトは自分の組んだスケジュール通り、順調に進めています。
木曜日に全てのパーツを織り上げ、本日金曜日に湯通ししその後縫製に入ります。
この織りのプロジェクトで初めて北欧式整経機を体験したのですが、
初めは和式と綾の取り方がごっちゃになり見事失敗しました。
サンプル用に整経したその経糸は川島方式で機がけをし、
本番からはHV Skola式で先生や友達に聞きながら習得しました。
日本にあってここには無いもの、またその逆も然りで、使い方を聞く度、
なるほど!と感心する道具や方法とたくさん出会えました。
来月初めにこのプロジェクトのプレゼンテーションPecha Kuchaがあります。
PowerPointを使用したプレゼンテーションになるので、
翻訳に時間がかかる私はちょっと焦っていますが、しっかり準備したいと思います。
この織りプロジェクトの合間に組織織の理論の授業があり、
Linnea先生やクラスメイトの通訳で何とか理解出来ています。
このプロジェクトが終わったら次はダマスク織のプロジェクトに入ります。

今月はクラスメイトからのお誘いも多く、とても充実した生活になりました。
お家でディナーをご馳走になったり、HVskolaとはまた別の小さな織りの教室
(クラスメイトが先生として教えています)でお手伝いをしたり、
美術館にみんなで行ったりと距離感が一気に縮まって嬉しいです。

みんなにお世話になっているお礼として、日本食パーティーを来月企画しました。
寿司しか知らないと言っていたので、日本の食べ物って美味しい!
と言ってもらえるように腕を振るいたいと思います!

スウェーデン交換留学近況報告 創作科 水野友美

スウェーデンから創作科(3年目)の水野さんから近況報告が届きました。
水野さんは8月下旬から、提携校であるHV Skolaで刺繍や織りを学んでいます。

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9月は刺繍のプロジェクトに参加し、無事プレゼンを終えることが出来ました。
スウェーデンに来てから街に出かけると必ず素敵な窓に出会います。
建物や窓の中の灯りや人の生活、それを少し羨ましく、
同時に寂しい気持ちも生まれた自分の気持ちをパッチワークで表現しました。
初めての体験となるフレームを使った刺繍やパッチワークの技法は、
先生のアドバイスのもとスムーズに作業出来ました。
板締めの布を持って行って良かったです。

クラスメイトの作品はどれもダイナミックで、私のものは繊細と言われましたが、
もっと弾けようとするか、これが自分らしさなのか…と色々考え中です。

次のプロジェクトは織物で、put ーon, down, up 着る、置く、かける。
そんなテキスタイルを製作します。
それらを全て満たす存在だった日本の布、ぼろへのオマージュでもあります。

クラスメイトとも段々と打ち解け、来年川島に行きたい!という人が増えて嬉しいです。
モダンダンスの講演や、近くのミュージアムにも誘って貰い刺激になりました。
刺繍のプロジェクトが終わった放課後は教室でワインパーティを開き、
良き人達に恵まれ楽しく過ごしています。

◎おすすめ情報◎
安くこちらの色々なテキスタイルを探すなら、
second hand(リサイクルショップ)のお店Myrornaがおすすめです。
組織織や刺繍のティーマットなど安く買えました。
何店舗かあるようなので、今度は大きい店舗へも行ってみたいと思います。

組織がわかる5日間を受講して

8月開講のワークショップ「組織がわかる5日間」に参加しての声を西田さん(倉敷市)からいただきました。

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私の住む倉敷は瀬戸内に面して干拓地が広がり、かつては稲作には不向きな土壌であったことから、
綿やイ草を植える農家が多くありました。

懐かしさ半分興味半分で8年前から自宅の畑で綿の栽培をしていますが、糸紡ぎから機織りまで一通りの工程は、
ネットや文献から得た知識に頼った「自己流」のため、試行錯誤を繰り返してばかりでした。

昨年両親を看取った後、この先自分はいったい何をしたいのかと度々自問するようになりました。
介護の最中も両親を送った後の空虚感の中でも私を慰めてくれていたのは常に「糸」に触れること、
機の前に座ることでした。そうだ!織りを基礎から勉強しよう!勉強したい!と思うようになりました。
60歳を過ぎてから寮生活をするなんて、子育て中には考えられないことでしたが、
年々歳々体力も集中力も衰えてきているこの歳だからこそ思いは日を増すごとに強くなっていきました。
5月に「はじめての織り10日間」を受講したのち、さらに多くを学びたいとの思いからこの講座を申し込みました。

ところが、初日から整経を経て第一のサンプルの綜絖通しを終えて寮に帰るとぐったりと疲れる始末、
残りの4日間に不安を抱いてしまいました。それでも初めて触れる天秤機と、杉綾からスエディッシュレース、
サマー&ウィンター、数種のオーバーショッへと綜絖とタイアップを換えるだけで次々と生まれてくる
組織の織りに疲れより好奇心の方が勝り、気が付けばあっという間に迎えた最終日には、不思議なほどの
充実感に満たされていました。

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何もかも整えられて「学び」だけに費やされた5日間。
的確なご指導を下さった先生、夜遅くまでアトリエで織り続け励まし合えた仲間たち、
かけがえのない時間を一緒に過ごせたことに喜びと感謝の気持ちでいっぱいです。
今私は、以前にも増して「布を生み出す」ことに夢中になっています。

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「組織がわかる5日間」は来年度も予定しております。

布を織る 本科 萩原千春

いよいよ夏の到来を迎え暑さが厳しくなってきた7月、
私達のグループは前期最後の課題である「布を織る」の制作に入りました。
前半グループの作業風景を見ていて、私にこれと同じ事が出来るのかという不安がつきまといました。

実際に授業が始まり、まずは各々好きな絵画を選びますた。
その絵の中から抽出した4色+白で縞のデザインを考えていきます。
私は今回上村松園さんの「焔」という作品から縞をデザインしました。
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この絵が持つ重厚感や緊張感を無くさないように気をつけ、
デザインが出来たら染色や整経をし糸を機にセットしていきます。
1200本の細く長い糸が絡まないように切れないように丁寧に作業を進めていくのですが、
本数がとても多いので綜絖通しや筬通しを間違えてしまいその度にやり直しをしました。
色々な事を乗り越えてようやく織り始めます。

やっと織れると喜んでいたのも束の間、織り始めると縮んだり織りムラが目立ってしまったりと、
綺麗に織る事が出来ずにどうしようと頭を悩ましていましたが、毎日織っていくと
打ち込み加減や糸の入れ方の感じが少しずつ分かってきて縮みや織りムラがなくなっていきました。
困ったことがあったり、辛い事があったときはグループのみんなで助け合ったり励まし合ったりして、
無事に全員8mの布を織り上げる事ができました。

展示した布を見たときは、今までの情景が目に浮かびここまで頑張ってきて良かったと心から思いました。

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本科織実習「布を織る」 担当講師:山本梢恵

綴織基礎 本科 後藤

私たち本科生6名は織実習の綴基礎織りに。
技法の修練の為2枚のサンプルを織ったのちに、45cm×45cmの自由制作1枚を制作しました。

先ず、決まった下絵に技法を習いながらのサンプル織りを2週間に渡って作成しました。
下絵を真っ直ぐみれなくて、一目行き過ぎても、一目足りなくても絵から歪んでしまったり、
ずれてしまいやり直しの連続に一同溜息ばかりでした。そんな中で、ちょっとした楽しみが糸選びでした。
2枚目はちょっと違った色味でと思って選んでみても、なんとなくそれぞれの個性や好みが出ています。
2枚目のノッティングの部分は、皆んな自由にカキ氷・お花畑等など、
テーマを決めてざわざわ話題のスポットでしたが、直ぐ現実が、また新しい技法の習得です。

サンプル織りが完成したのも束の間、自由制作に突入です。課題は「花」。
2週間で覚えた技法を使って作成です。先ず下絵に頭を捻りました、果たして織れるのか?
期日までに間に合うのかな?という焦燥感。なんといっても時間との戦いの日々でした。
早朝から最後まで寝る時間以外はほとんど織り機に座って、なんだか皆んなお疲れ気味、
でも日々模様が出てくる様子にワクワクしながら、部屋の壁に飾る日を想像して制作に励みしました。
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左:織下絵 右:完成図

《奮闘記》
サンプル1枚目
第一関門、技法「流し織」」の後の足が合わない(涙)
第二関門、「円」が、丸くならない(焦り)
第三関門、技法「横ぼかし」、どこから新糸が入るのかわからない(ため息)
やっと、終わった1枚目。なんだかいい感じ。

サンプル2枚目
第一関門、「縫い取り織り」糸の加減がわからない(?)
第二関門、「ラッピング」どれだけグルグル巻きにするの(?)
第三関門、「スマック」ジグザグ具合が難しい(あー)
2枚目完成!
綴基礎1綴織基礎2
左:1枚目サンプル 右:2枚目サンプル

 

綴自由制作
自由制作完成作品

 

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織実習「綴織」 担当講師:近藤裕八

フェルトのデザイン演習 本科 菅原由貴

私は約3年前から独学でフェルトを制作している。この度、デザイン演習でフェルトを教わることを聞いた。
初めて習うフェルトに、楽しみでありながらも自分のやり方が良かったかどうか試されるようで、
多少複雑な思いもあった。

デザイン演習の授業はいつも前置きがなく始まるため、少し緊張する。
当日に出される課題に撹拌される脳味噌を落ち着け、いかに自己表現するかということに必死だ。
前回絵筆や身近な道具を使ったり、または何も使わずに思うがままに絵具を走らせたりして、好きに描いた。
いかにもデザインを狙って描くのではなくとも、デザインは出来るのだと先生は教えてくださった。
そのデザインをバッグ型にあてはめてみて、確かにクラスメートの作品それぞれが素敵なバッグの
デザインになっていたことで納得できた。今回そのバッグの生地をフェルトで模倣するという。
私はピンク色を絵筆で下地を雑に走らせた上に輪ゴムでカラフルに色を乗せたものを模倣することにした。
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野田先生のフェルトの作り方はかなりエコだった。洗面器に湯を張り、固形石鹸で泡立てた泡を羊毛に乗せるだけ。
私はこれまで湯や石鹸を大量に使ったり、最後に高めの温度でフェルト化していたため、よく手荒れをしていた。
授業でも初めは手荒れをしないか心配したが、非常に人体に優しいものだった。

材料も限られたもので作るため初めは戸惑った。輪ゴムで色を乗せた輪はウール入りの紐やウール生地を細く裂いて作ってみた。絵の中の輪は伸びやかな曲線を描いていたのだが、紐をそのまま乗せたため、フェルト化する際ウール以外の紐のうねうねの線が出てしまった。ピンク色の下地についても、縦横ランダムに勢いよく殴り書きしたため,フェルトで表現するのが非常に難しかった。
野田先生が「紐やウールを短く切って乗せ、繋げるとうまくまっすぐなります」と教えてくださった。
これまで独学で制作していた時には羊毛のうねりなど考えたこともなく、今回のようにフェルトとは全く別な性質の物を模倣する際にはウールの特性が出ないようすることも必要なのだ、と改めて学ぶことができた。
授業ではウールの種類や縮絨率の違い、羊毛が縮絨する原理など根本的な事から学ぶことができ目から鱗が落ちた。
また羊やフェルトの歴史、利用されてきた背景など知る事も重要であることを学び、もっと深く調べてみたいと思った。

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フェルト・バッグサンプル

出来上がったフェルトは納得のいくものではなかった。
他者の目もあり、どうしても上手く仕上げたいと思う気持ちが強くなりがちだ。
しかしフェルトに限らず、他者との比較ではなく、いかに独自の表現でモノを生み出せるか、いかに昨日の自分より丁寧な仕事ができるかをスクールで学んで試すことが大切で、見られる恥ずかしさを越え沢山の失敗を今後に生かすことも重要であると考えている。野田先生の授業ではモノの考え方やメンタリティなども学ぶことができる。

私は昨年11月、今年3月で25年間勤めることとなった職場を退職し、川島テキスタイルスクールへ入学することに決めた。前月の10月頃、ふと直感で「京都に行こう」と思い立ち、その後に調べて川島テキスタイルスクールの存在を知ったのであった。
スクールのフェルトの授業については時間数も少ないと聞いていたし、正直なところさほど期待はしておらず、まずは染織の基礎を一から学べればいいと思って入学した。
今回の授業で、野田先生が日本でのフェルトの先駆者のお一人であることを初めて知った。
改めて私は本当に運がいいと思ったし、直接野田先生から教わることが出来ることに、心の奥深くで静かに感動し、思い切って決断して良かったと思っている。

※別の授業ではフェルトで食虫植物を制作しました。
私はモウセンゴケを選択して制作し、ピナ子と命名しました。
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デザイン演習 担当講師:野田凉美