インターンシップ(後編) 専攻科 小林七海子


イメージボード

<<前編(1週目)

二週目は工場での研修と、制作したイメージボードを元に織物デザイン・設計を行いました。工場で今まで見てきた作業が具体的にどのような役割があるのか、機械がどのように動いているかを間近で学ぶことができました。ワインダーの工程では紡績の機械で意匠糸を作って頂き、テンションのかけ方を少し変えるだけで全く異なる表情になる様子はとても興味深いものでした。完成度の高い商品を作るために、すべての工程で人の手や経験が欠かせないのだと感じました。

織物作成実習ではジャカード機を使用して実際に自分が企画した布を織らせて頂きました。糸や組織を選ぶ作業はわからないことが多く、社員の方に頼らなければいけませんでした。織り出してからも、硬い組織があって機械がうまく動かないなど問題もあり、机上では理解できない難しさを感じました。

最終日の講評には今までの研修で指導していただいた社員の方々にプレゼンを行いました。組織や糸の入れ方、織物として魅力的に見えるデザインなど具体的な指導をして頂きました。プレゼンは商品を引き立たせる重要な部分なので、もっと魅せる工夫を考えた方が良いと言われました。単にものを作るだけでなく商品として売り出すことを常に考えていけないのだと改めて理解できたように思います。

とても充実した経験が出来た二週間でした。現場の社員さんたちからは普段聞けないような仕事や機械のお話など、学校では触れられないようなことを学べました。この経験を忘れずに、魅せるものづくりをするための制作や勉強をしていきたいと思います。

インターンシップ(前編) 専攻科 山本李江

イメージボード

5月28日〜6月8日までの2週間、川島織物セルコンでインターンシッププログラムを受けました。自分が企画デザインし、織物設計したものを工場で織ってもらいました。そのテキスタイルを最終日にプレゼンテーションしました。

1週目は各専門の社員の方々からインテリアや機能・加工技術、織物、編物についての講義を受けました。これらはインテリアテキスタイルを企画する上で大切な知識です。また、イメージボードを作成しました。イメージボードは、空間やそれに付随する小物、デザインイメージ写真などを1枚の紙にまとめたものです。これは、その企画に関わる人の考えを統一化し、目標を定めるために欠かせないアイテムです。イメージ通りの写真を選び出し、1枚の紙にわかるやすく貼ることは予想以上に難しい作業でした。

学校での制作とは違い、会社ではブランドや販売価格によって使用できる素材や技術などの制限があります。また、守らなければならないルールもあります。その制限内で、お客様が「欲しい」「買いたい」と思える製品を企画提案していくことが大切なのだと学びました。

インターンを終えて、テキスタイルの知識だけでなく、経験を積まないと魅力的な製品は作れないのだと気づきました。これからは様々な素材や技法にチャレンジすることを目標に制作に取り組んでいきたいと思います。

>>後編(2週目)へ続きます

5月14日 専攻科フックド ラグ見学  ディレクター 野田凉美  


フックドラグは、枠にしっかりと基布を張り、模様に合わせてフックガンで糸を刺して制作していきます。以前、スクールに隣接する川島織物セルコンの工場でも、電動フックガンを使いラグを作っていたのを見た事がありますが、今回は、コンピューター制御のジュ−タン自動織機を設計製造されている日本省力機械へ伺い、その工程や機構を見学させて頂きました。
写真原稿を37色のグラデーションに分解し、毛足の長さの調整やフックガンの無駄ない動線などを全てコンピューターにより設計します。シャーリング(表面のカット仕上げ)までの工程は、見ていてとても楽しいものでした。また、電動フックガンの体験をしましたが、手動のフックとは重さも早さも全く違い、なかなかコントロールするのが難しいものでした。


資料やサンプルを準備して下さった上、社員の方ばかりか辰村社長自らご説明いただき有難うございました。

はじめての絣  京都市 樫藤佐智子

以前から「はじめての絣」のワークショップに参加したいと思っていました。今回やっと実現することができましたので楽しみにしていました。 初日はデザインを決めて、経緯絣のガイドテープ作り。ガイドテープにそって整経。経絣は二種類の整経をしなければならないため、テンションを合わせるのに苦労しました。そして絣の部分の糸括りはどのようにするのか?何を使用するのか?と考えていたのですが、ラップとスズランテープ(ビニールテープ)という意外と身近な素材を使って出来ることに驚きました。 次に染色。サンプル通りの色を出すつもりでしたが、染料を間違えて染色をしてしまい、色抜きの方法、染め直しの仕方を教えて頂きました。

思った以上に可愛い色に染め上がりました。 ほっとしたのも束の間で、染色の時に糸が毛羽立ってしまったため、機準備の時に毛羽立った糸一本ずつに糊をつけて、撚りをかけて、乾燥させて織り出しました。失敗したことで得ることがたくさんあり、ひとつひとつの工程を丁寧にする大切さも知りました。 このようなミスが重なり、最後まで仕上がるかどうか不安でしたが、無事にクッションも仕上げることができましたのも先生のお蔭だと感謝しています。本当にありがとうございました。

成人式 専攻科 廣瀬文乃

振袖と帯を織り、今年の成人式で着ました。

デザインに時間がかかってしまい、成人式までに出来上がるかとても心配でしたが
無事に織り終える事ができました。

成人式の日には、自分で着付けをしました。
織りの着物を着るのは初めてでした。着心地が良く、とても着やすかったです。
自分が織った物を着るのはちょっと恥ずかしかったのですが、家族には、似合ってるね、色が綺麗、などと言ってもらえ、久しぶりに会う友達に自分で織った事を話すと、とても驚かれました。

今回、振袖を織ったこと、それを自分で着る事ができたことは一生の思い出になりました。

東京デザイナーズウィークに参加して 修了生 単珊

Tinytoadstoolというのは小さな毒きのこのことで、
2008年川島テキスタイルスクール在学中に制作した刺繍フェルト帽子シリーズのことです。
制作手法は主にフェルテイング、染め、刺繍です。
2010年に私はその中の一つの帽子を世界旅行させるhello tinytoadstool project
というプロジェクトを計画しました。
自分のブログにプロジェクト参加者の募集を掲載してから、
世界各地沢山の応募から17か国、18人の参加者が決まりました。
一人の参加者は3枚の写真を撮ってから次の参加者に送るというルールで、
3枚の写真はそれぞれが帽子をかぶっているポートレイト一枚と、参加者が住んでいる町または自分の中の象徴物の前に一枚、そのほかは自由という内容です。

ギリシャからスタートし、スウェーデン、フランスなどヨーロッパの国、
そして北アメリカ、オセアニアとアジアを経て、一年半の長い旅を終えて
今年の10月無事に日本に帰ってきました。

このプロジェクトを通じて、多くの方々が私の作品に触れ、楽しんで貰って、
また、この小さな旅帽子を通して、多くの人々が繋がり、様々なストーリーがおきて、
一つ愛の形になったのではないかと思います。

そして、テキスタイルという分野はあんまり人に知られてないということを直々に感じ、
今回の東京デザイナーズウィークをきっかけに、多くの方々にテキスタイルというのは
とても多様で幅広い分野で、いろいろ面白くクリエイティブなことできるよ、
というメッセージを伝えることができたらいいなと思います。

tiny toadstool

「一衣舎秋展・京都」 修了生 川俣貴美子

2006年に専攻科を修了してから5年半が経ちました。
2009年までKTSのスタッフとして経験を積ませて頂きましたが、スクールを離れてから早いものでもう2年になります。

在学中は着物を制作していましたが、最近は制作の中心が帯に移ってきました。そしてこの度作品を販売して頂ける機会を得ました。

皆さんは「一衣舎(いちえや)」をご存知でしょうか。着物がお好きな方ならご存知かも知れませんね。雑誌「七緒」などにも紹介されている方です。ご専門は着物や帯、長襦袢などのお仕立てですが、
20年以上前から織り手と直接会って、ご自身の考えに合った作品を着る方に直接紹介する会を催されています。最近では少し動きもありますが、着物の世界では織り手と着る方が直にお会いできる機会が少ないのが現状です。そのような中で一衣舎さんの活動を、織る側としても、また着る側としてもとても興味深く思っていました。

何度かお邪魔して作品を拝見する中で、自分の目指す方向と非常に近いものを感じたので、昨年思い切ってアドバイスを頂きに伺いました。そのお話をもとに制作し再度持参したところ、この度取り扱って頂けることになり、早速9月21日から25日まで京都の「ちおん舎」さんで行われた「一衣舎秋展・京都」で初披露となりました。

自分の作品に値段をつけてお客様に提示するというのは、とても独特な今までに味わったことのない感覚でした。自分にとっては愛着のある作品ですが、お客様にとっては沢山ご覧になられる中の一つです。そしてその場には私自身も素敵だと思う作品が数多く並んでいます。その中で自分の作品がお客様の目にどのように映るのか不安に感じました。

会場でお客様方は、作品に囲まれた空間そのものを楽しむかのように長い時間をかけて一つ一つご覧になっていきます。中にはこの会の為に遠くから来て何時間もいらっしゃる方もいます。その中でピンと響く出会いがあると作品が売れていきます。その時のお客様の表情はとても良いものですね。勝手な想像ですが、恐らく皆さん良い日もイマイチの日も頑張って生きて働いて、そのお金で購入されているのでしょう。そしてそれを着るのが楽しみで明日からの力が湧いてくる。自分の作品がそんな元気の源になるのであれば嬉しい限りです。

私の作品にもピンときた出会いがありました。これから制作を続けて行く中で、今回選んで下さった方の表情を忘れることはないでしょう。このような機会を与えて下さった皆様に感謝して、伺ったご意見も参考に、でも影響され過ぎないよう一度頭をリセットしてから次の制作を始めたいと思います。

一衣舎さんは全国各地でこのような会を開催されていますが、来年も秋頃に京都でこのような機会があるはずです。気になられた方は是非お越し下さい。(詳細は「一衣舎」HPへ)