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糸見本販売開始

本日より糸見本の販売をはじめます!糸見本は各ケース限定100個のため、HPよりお早めにご注文ください。

糸ごとにカードに結びつけてあり、手触りなどの特徴がわかりやすくなりました。また、一枚ずつ広げて色合わせをすることができます。

・ウール染色糸(80色)
・綿染色糸(63色)
・綿、ウール、絹、麻、その他生地糸(60種)

各ケース1000円(税込)送料別途*
*通常の販売糸とは別発送になりますのでご注意ください。
配送・配送料についてはこちら

詳細はこちら
糸・糸見本のご注文は糸・機料品注文フォームからお願いいたします。
2022.1.13価格改定致しました。

月1〜2回、集中して学べる「ウィークエンドクラス 暮らしの織り」開講!

2022年4月「ウィークエンドクラス」を開講いたします。織りを始めたい方が、週末にかけて学べるクラスです。2022年度は月1〜2回、金・土曜、連日で集中して学べるスケジュールを用意しました。

織りの基礎から応用までスキルアップできるカリキュラムです。初めに手織りの工程や織り機の仕組み、織物知識の基本を学びます。織りの基本を学んだ後は、ガラ紡のタオル、シルクのストール、オリジナルデザインの日傘を作ります。作品を作ることを通して、ていねいな手仕事とセンスを学ぶことができます。

期間 2022年4月15日(金) 〜 2023年2月4日(土)
※授業は金・土曜に2日連続で実施。

回数 全27回
時間 10:00 〜 16:00
定員 5名 (先着順ではありません。申込締切後に選考を行います)
出願締切 2022年3月10日(金)
講師 仁保文佳

※ 27回全ての授業への出席が必須です。
※ ウィークエンドクラスはウェブ出願のみとなっています。

その他詳細はウィークエンドクラスのページでご確認下さい。

皆様のご応募をお待ちしています。

冬期休暇のお知らせ

誠に勝手ながら下記の期間におきまして冬期休暇とさせていただきます。

冬期休暇:2021年12月25日(土)-2022年1月5日(水)
冬期休業前出荷分の受付最終日:2021年12月22日(水)
商品最終出荷日:2021年12月23日(木) 

※在庫状況により、最終出荷日までに商品が発送できない場合があります。

なお、期間中のご注文およびお問い合わせはメールでお願い致します。期間中にいただきましたご注文、及びお問い合わせにつきましては、2022年1月6日(木)以降に順次対応させていただきます。

ご迷惑をお掛け致しますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

糸見本プレゼント企画!

川島テキスタイルスクールでは手織り用の糸を取り扱っています。2022年1月13日(木)より糸見本の販売を開始します。(事前予約はできないので、どうぞ販売開始のお知らせをお待ちください。)

以下の3セットを販売します:
・ウール染色糸(80色)
・綿染色糸(63色)
・綿、ウール、絹、麻、その他生地糸(60種)

各ケース1000円(税込)送料別途

また、販売開始を記念し、instagramアカウント@kawashimatextileschoolで、プレゼント企画を開催しています。(2021年12月17日(金)〜2021年12月20日(月) 日本時間17:00)皆様のご応募お待ちしています。

詳細はこちら↓

修了生を訪ねて:布づくりからの洋服づくり「のの」長友宏江さん

川島テキスタイルスクール(KTS)の専門コースでは、年に一度、織りを仕事にしている修了生による授業を行っています。2000年度に専攻科を修了した長友宏江さんは、10年に「のの(nono)」というオリジナルブランドを立ち上げ、布をつくり、洋服や鞄、小物の企画、デザイン、製作、販売までを手がけている方です。校外学習として、長友さんのアトリエ兼ショールームを訪ねました。そこで学生の頃の作品や、今実際に販売している洋服や布小物、生地サンプルなどを見せてもらいながら、これまでの学びや仕事の経験を、どう製品づくりに生かしていったのかなど、お話を伺いました。

◆拠点も人生も、DIY精神で

長友さんは2021年2月、それまでの10年間ショールームを運営していた場所を離れて、同じ京都市内の一軒家に新たな拠点を立ち上げたばかり。案内してもらった2階のショールームはアットホームな雰囲気で、壁塗りや床張りなどのリフォームは自ら行ったそうです。その自分でやるというDIY精神は、ご自身の人生にも通じていて、「学生時代に取り組んだことが、今に至るまでずっとつながっているんです」と、長友さんはにこやかに話し始めます。

子どもの頃からつくるのが好きだったという長友さんは、「洋服を仕立てる仕事がしたい」と、まずは服飾の大学へ進学しました。そして「自分でつくった布で仕立てたい」という強い思いのもと、卒業後に家庭科の講師をしてお金を貯めて、KTSに入学。織りと染めの基礎を学んで、自分が純粋に魅かれるものを探し求めた先にステッチの面白さに目覚め、2年目の専攻科では、あえて織りをやらずに、ひたすらステッチの作品づくりに取り組んだと言います。当時身につけた独自のステッチ使いは、現在もカバンや帽子などの製品づくりで生かされています。

綴織の緞帳製織の仕事を経て、その後、母校の大学で助手として勤めながら大学院へ進学。「多重織りの洋服をつくりたい」、構造や質感など「テーマを決めて織る」という目標を持ち、洋服制作を行ったそうです。多重織りの洋服づくりは今も続けていて、学んだことを製品に応用するのに、素材やストレッチの強度、形を変えるなどして、着心地を良くするための工夫をしています。

◆一人でも続けていく

次に求めたのは、編みの仕事。卒業後は生地から企画・デザインして洋服をつくるジャージ製造会社に就職しました。そこで使っていたのは丸編み機という、丸く筒状に生地を編むニットの機械で、中が見えない編み機の仕組みを理解するために、「部品を外し、分解した状態で各パーツをスケッチして、頭に叩き込んでいました」と。そう当時の経験を語る長友さんは、どこか楽しそう。機能や仕組みが細かく記されたページを「結構面白いです」と言って見せてくれました。「針が通る道があり、どこに引っ掛けて編んでいくか、どこで糸を上げ下げするのか。織りも同じですよね。仕組みを知らないと、うまく使いこなすことができないと思うので」

「のの」の製品には、手織りの他に、編み地のものも多く、なかには当時の勤務先で培った技術を自ら展開させたものもあります。長友さんは一枚のショールを見せて、端っこを縫わない工夫を説明。それは勤めていた会社で自ら編み出した方法だそうですが、その後、会社は倒産。しかし、そこであきらめないのが長友さん。「じゃあ、私やろうかな」と、一人でも続けていったそうです。当時、勤務が終わってから夜な夜な取り組んでいたという、たくさんのサンプルづくりも、現在の製品づくりに生かされています。

◆好きなことを続けるために、補う何かを持つ

いま、独立して10年。ショールームに並んでいる製品は、長友さんがこれまで学びや経験を糧にして、幅を広げてきた賜物なのでしょう。オリジナルな魅力にあふれた製品の数々には、長友さんの静かな情熱が込められています。

「ただ単に好きなことをして暮らしたいという、わがままなやつなんです」。そう穏やかに笑う長友さんですが、「安定はしない」という現実も伝えます。とくに、ここ2年近く続いているコロナ下で、展覧会などのイベントが軒並みキャンセルになっている状況。そこで「一つの道だけじゃなく、それを補う何かを持っておく」と再確認したそうです。「私の場合は家庭科の免許を取ったのも、大学院に行ったのも、教える仕事で生活を安定させるためでもありました」。それが、好きなことを続けていくための道、と。

その上で長友さんは、「やりたいことはやった方がいいかな。やらないでいると、たぶん後悔すると思うんです」と、まっすぐに語ります。「大変な状況でも、いろいろ考えればできちゃうもんなんで。あの時、コロナで大変だったからあきらめたというよりは、大変でも、やったって思う方が力になる」

いま、スクールで学んでいる学生たちも、それぞれに昨年からの大きな変化で自分を見つめ直して、やっぱり手織りを学びたい、続けていきたい、という思いで日々、制作に励んでいます。だからこそ、いま、長友さん自身の実感から語られたことは、ストレートに胸に響いたことでしょう。最後に長友さんは、こうエールを送りました。「大変な時期を乗り越えた自分というのが、後々すごく力になると思うので突き進んで。私も突き進みます!」

◆  長友さんにとって織りとは? 「楽しみなこと」

何もないところから、何を自分が選ぶかで形にしていける。織りにしても編みにしても同じですが、縫製など自分が手を加える範囲が狭い状態で洋服になり、織ったまま、編んだままで着られる。そうやってゼロから100まで、すべて自分でやる楽しみがあります。出来上がりを想像する楽しみもあって、想像を超えたものができたりもする。それが面白いです。

〈長友宏江さんプロフィール〉

ながとも・ひろえ/杉野女子大学(現・杉野服飾大学)卒業。家庭科の講師を経て、川島テキスタイルスクールで学ぶ。2000年、専攻科を修了し、織物会社で綴織の緞帳製織に携わる。東京に戻り、母校の大学で助手をしながら多摩美術大学大学院美術研究科へ進学。卒業後、ジャージ製造会社に就職し、ジャージ生地のデザイン・企画・製造を担当。07年から10年まで、atelier KUSHGULに参加。10年10月に「のの」を開業。

website: nono
instagram: @nono_2010.10

スクールの窓から:「好きを信じる、その心を持ち続けるのが基本です!」西陣絣加工師・葛西郁子さん工房訪問

京都が産地の「西陣絣」。その絣づくりを担うのは、絣加工師と呼ばれる職人さんですが、80代、70代と高齢化が進んでいます。いずれ後継者がいなくなる状況を知って職人の世界に飛び込んだ葛西郁子さんは、現在、唯一の若手西陣絣加工師として活躍している方です。専門コース「表現論」の授業で、西陣にある葛西さんの工房を訪ねました。

京町家の奥行きのある部屋。紫と白の鮮やかなコントラストの糸束が、目線と同じほどの高さで、手前から奥にピンと張られています。「経巻きのセッティング中なんです」と、葛西さんは作業の活気そのままに迎え入れてくれました。はじめに、西陣絣加工師について「ザ・絣の経糸をつくる職人」と力を込めて紹介する葛西さん。それは織るでも染めるでもなく、「絣をつくる」に特化した仕事です。日本各地に絣の産地があるなかで、西陣絣の特長は「経糸」をずらす経絣であること。先染めした糸を組み替えたり、ずらしたりして模様を作り出す技法で、全盛期だった1950年代頃は、おもに絣御召というおしゃれ着用の着物に使われてきたのだそうです。

葛西さんは師匠から授かった当時の生地見本を見せながら、西陣絣の変遷や、現在の仕事の流れなどを教えてくれました。「西陣の絣の最大の特色は、高さのある梯子(はしご)という道具に経糸をかけて、縦方向にずらす」と、実際の道具を見せながら説明。「大胆なずらしや、幾何学模様の面白さがあって、私は学生の時に初めて見てショックを受けたんです。何これ!? かわいいし、楽しいし、ずらしのレベルが半端ない。何この角度、うおー!って」。その語り口にも、西陣絣への情熱がほとばしります。

絣の着物制作に励んでいる学生から、「括り」の技術に関する質問が上がると、葛西さんは実際に西陣絣で用いる技法をやってみせながら説明してくれました。1つ聞けば、5倍は返してくれる。一つひとつの手順とコツを、実地に基づいて具体的かつ丁寧に。そんな葛西さんのオープンな姿勢からは、西陣絣を伝えたいという思いと、広い意味での織物に携わる仲間として、学生に接してくれる親身さを感じました。

葛西さんは、着物や帯、能衣装、神社の几帳の制作などの伝統技術を継ぐ仕事のほか、西陣絣を今とこれからに生かす仕事にも取り組んでいます。ファッションの仕事ではイッセイ ミヤケのコレクションに、手がけた絣の生地が4シーズン連続で採用され、パリ・コレクションで披露。2015年からは「いとへんuniverse」という団体を仲間と立ち上げて、西陣絣をつくるだけではなく、その魅力を伝える活動を精力的に行っています。

学生に対して、「がんばろうね、日本のものづくり」と声をかける場面も。織物の業界自体、存続が厳しい現代において、織物を仕事にすることは、たやすいことではありません。それでも、その厳しさを跳ね飛ばすほどの「好きの力」を葛西さんは持っていて、実際に道を切り開いて体現しています。最後に、学生に向けて、こんなメッセージをくれました。

「好きを信じる心が大事。織りがいいなと思ったら、その心をとにかく持ち続けること。これ基本です!好きって思う気持ちが、とにかく、すべてを救ってくれるので。曖昧に聞こえるかもしれないけど、ほんとにこれは事実だと思う。そうやって私もやって来られたし、この仕事にも巡り会えたので。そのご縁で出会えている人たちは面白い人ばかり(笑)。織りを続けていく上で、困ったことがあれば何でも聞いてください」

◆  葛西さんにとって西陣絣とは? 「生きがい」

師匠との出会いで、西陣の絣はすごい!と思ったのが始まり。今は後継者が私一人なので、絶やさないで次につなげていくという使命感でしかないです。何より大好き。寝ている時も糸を括る夢を見るぐらいに好きすぎて、生きがいです。

西陣は基本的に分業ですが、いろんな職人さんと横のつながりがあります。私の仕事でも染め屋さんや整経屋さんと相談して、お互いの次の仕事が良くなるよう、高め合いながらやっています。そんなチームで作っている感覚を味わえるのも、やりがいです。

〈葛西郁子さんプロフィール〉

かさい・いくこ/京都市立芸術大学美術学部大学院修士課程修了後、同大学で非常勤講師として勤務。西陣絣の後継者がいなくなると知って、職人の世界へ。2010年から西陣絣伝統工芸士の徳永弘氏に師事。15年に独立し、葛西絣加工所を開く。唯一の若手西陣絣加工師として仕事をし、「いとへんuniverse」の活動も行う。

website: いとへんuniverse

instagram: @itohen_universe @itohenmirai
facebook: @いとへんuniverse

スクールの窓から:北欧の織りを学ぶ「昔の人の知恵と工夫を感じて」

その世界観に憧れを抱く人も多い、北欧の織り。専門コース2年次の専攻科では、「北欧の織り」の4日間の実習が行われました。講師は「北欧手織りのアトリエ LAILA」を主宰している白記麻里さん。授業では、スウェーデンの伝統的なダマスク織りを学び、自らデザインを考えてプレースマットを2枚織りました。本場ではダマスク装置が付いている専用の機を使って織りますが、その織り機がなくても、スクールにある天秤機に“工夫”を施すことで、ダマスク織りができる。織りの技法に加えてその工夫を学べるのが、この授業の醍醐味です。

ダマスク織りは、表裏で配色が逆の同じ組織で構成。なめらかな曲線やリピート柄など、好きな箇所に自由にデザインをし、複雑な模様が織れるのが特徴です。現代では、経糸を上げる特殊なダマスク装置が付いた織り機が使われていますが、その昔は身近な道具を駆使して織っていたそう。この授業では、昔のやり方に倣った方法で織るのに、天秤機に穴の大きい綜絖を取り付けて、専用のスティックを使います。そうして「昔の人の知恵と工夫を感じていただきたいです」と白記先生は話します。

ポイントは、スティックで経糸をすくい上げる「ピックアップ」という技術。経糸の一部にスティックを垂直に通して、織る、また違う経糸にスティックを通し直して、織る。そうして、1本ないし2本以上の異なる大きさのスティックを駆使することで、織れる柄の幅がぐんと広がります。イニシャルなどの曲線や、複雑なパターンのサンプルを見ながら「こんな織り方ができるのか!」と学生が目を見張っていると、「夢が広がりますね」と白記先生は語ります。

織り機と道具、柄の出方の仕組みを理解しようと頭がいっぱいになっている学生たちに対し、「大丈夫、楽しいから」とにこやかに話す白記先生。学生たちは実際に織り始めると、スティックですくって織って、模様が出る面白さに気づいていき、それぞれに没頭。「もっと複雑な模様にしたい」と意欲が増していき、最終日を迎える頃には、晴れやかな顔でサンプル織りを仕上げていました。

技術を応用し、これまで学んできた織りの経験と結びつけて考えることができるようになった2年目の学生たち。以前に習った組織織りとの違いとして、ダマスク織りは「織っている途中で、模様を入れたい部分にポイントで入れられる」と気づき、また一つ、技の幅を広げることができました。学生の一人からは、こんな声も。「専攻科に進んでから、綟り織りにしても、今回のダマスク織りにしても、天秤機一台で、少しの工夫をすることで、いろんな織り方ができると知りました。織りは、まだまだ奥が深い!」

この授業のポイントである「工夫」は、白記先生ご自身が大切にしていること。スティックの他にも、ゴムや手鏡、透明シートなど身近にあるものを使った工夫のヒントが、授業のなかに散りばめられていました。不便と思ったときに、そこで工夫の余地があるかどうか、ちょっと考えてみる。自分が学んで「へぇ〜」と思ったことや、自ら改良したアイデアを惜しみなく分かち合ってくれた白記先生。「結論として、このピックアップの技術を考えた昔の人はすごい、ということですね。これからの創作活動で生かしてもらえたら嬉しいです」と伝えました。

◆白記先生にとって織りとは? 「戻ってくる場所」

アトリエを開くまでは、仕事をしながら織りを学び続けていました。別のことをやっていても、どこかで織りとつながっていたかったんですね。祖父が織物に関わる仕事をしていて、昔から身近にあったので。私にとって織りは、一時離れても、また戻ってくる場所。学びに来てくれる人の、織りの悩みを解決するのが、私の喜び。人生の節目で織りに救われてきたので、織りを通して人の役に立てたら嬉しいです。

〈白記麻里さんプロフィール〉

しらき・まり/高校時代にホームステイしたフィンランドで、織物に出会う。立命館大学文学部地理学科卒業後、北欧専門の旅行会社に勤務。2003年、川島テキスタイルスクール専門コース本科修了。たびたび北欧を訪れ、現地やアメリカ、東京などで北欧の伝統技法を学ぶ。2015年より、北欧手織りのアトリエLAILA を主宰。

website: 北欧手織りのアトリエLAILA