在校生の声1(2021年度・専門コース本科)「過程の面白さに気づいて」德本治子

2021年4月に専門コース本科に入学した学生たちは、織りに向き合って半年が経ちました。それぞれに、織りを通して、自分の中にある何かが少しずつ変わり始めているようです。コロナ下で留学の一時中断を余儀なくされ、帰国中に川島テキスタイルスクールに出会って、新たな一歩を踏み出した德本治子さん。この半年の気づきや変化について、ご本人の言葉でお届けします。

テキスタイルにはずっと興味があったのですが、進学した美術大学では別の学科を選びました。それでも織りがずっと気になって、卒業後、海外で織りを学ぼうと、まずは英語力を身につけるのにイギリスに留学していました。コロナの影響で帰国し、身動きが取れない状況が一年も続くうちに、どんどん心がしんどくなってしまって。そんな最中にスクールのワークショップに参加。手を動かして学ぶのがすごく面白くて、前に進んでみようと入学を決めました。

ここは自然が豊かで、織り機がたくさんあって環境も整っていて集中できる。もしかして、私は手を動かすのが向いているのかなって思い始めています。

織りを学び始めた頃は、出来上がった時が一番楽しいと思っていました。そのうち、織りは準備からが一連の流れ、と視野が広がっていくにつれて、過程そのものが面白いと思うようになりました。織物には設計が必要で、ゴールが見えているからかな。失敗もそのまま表れるので、次はこうしようと段階を踏んでいける手応えもあります。

クラスメイトとも、よく話をします。みんな、コロナ下で立ち止まって、それぞれの節目でこの学校に来たんだなと知りました。この学校では糸の成り立ちから学べるので、ものを作るって何だ?っていうことを、手で触った実感から考えていける。これって私だけの感覚なのかなとか、クラスメイトと気づいたことを口に出し合って、お互いの考えを知っていけるので、私は以前よりもおしゃべりになったなって(笑)。

将来のことは、コロナで状況が変わってきているので本当にわからない。それでも、今は不安ではないです。一つ決めているのは、ずっと織っていきたいということ。今学んでいる技術は、自分の中に積み重なっていて、これからも自分の中にある。だから、ちゃんと作って、人と関わっていればどうにかなるって、今は前向きに思っています。手を動かして、ものを作ることが、いかに自分の支えになるかを、この半年で実感しています。