スクールをつづる:綴織編4 海外グループの声 「場所に惚れ込み、情熱的な織り仲間と共に毎年KTSへ」テキスタイル・アーティストNatalie Millerさん

洛北の自然豊かな環境で織りに没頭できる空間や、伝統的な西陣綴機で織る経験に価値を見い出し、インスピレーションを受けられると海外から継続的に川島テキスタイルスクール(KTS)に綴織を学びに来られる作家グループがいます。オーストラリアを拠点にテキスタイル・アーティストとして世界で活躍するNatalie Millerさんと、その仲間の方々です。

綴織編シリーズ第4回からは3週にわたり、Natalieさんと、参加者のうち初回から連続で受講している2人に、受講の動機や、KTSで印象深いことについてお話を伺った内容をお届けします。まずはNatalieさんのインタビューから。

——グループでツアーを組んで、KTSで綴織ワークショップを継続的に受講するようになったきっかけは何でしょうか? ご自身の織りの経歴と併せて教えてください。

私は建築家であり、テキスタイル・アーティストです。オーストラリアでタペストリー制作を何年も行っています。タペストリー織りを教え、織りのリトリート・ツアーを主催し、世界の織り文化が発達している地域を旅しています。KTSで織りを学んだAroonprapai (Prang) Rojanachotikulさんがいるタイで、サムイ島にリトリート・ツアーを開催したことがあります。PrangさんはKTSのことを絶賛していて、興味をそそられて私も行くしかないと思い、6年前に訪れました。初めての訪問では感動しきりで、壁に掛けられた大きな綴織のタペストリーの数々、制作中の織物、織り機、ウール糸、色彩、染色室、言うまでもなくタペストリー工場も素晴らしかった。この場所を織り仲間たちに知ってもらわないと、私がそうであったように、仲間もこの場所に惚れ込むだろうと確信しました。

初回のツアーでは、KTSの熟練の染色の専門家によるワークショップ、翌年は染めと1週間の綴織タペストリーのワークショップを受講。私たちのグループは皆、織りに対する情熱のある人たちばかりで、それは制作プロセスでも表れています。織りに6日間を費やし、非常に緻密で複雑な構造の織物を作り出すことができる美しい手製の機を使って、日に14時間織ることもありました。

——綴織担当の近藤先生のアドバイスやサポート、やりとりで印象深かったことはありますか?

近藤先生は才能のある織り手で、綴織をはじめ様々な織りに関する豊富な知識を持っています。綴れ帯を織る彼の情熱は、その作品の中にある複雑な織り模様の細部に証明されています。彼は、デザインや細部にわたる素晴らしい知識を持っていて、私たちに多くの技法を教えてくれました。生徒に対して寛容でとても忍耐強い。スクールには英語の通訳もいてくれるので、先生とのやりとりもスムーズに運びました。技法を教える時はすべて、まずは先生が実際にやって見せる視覚的な説明もあったので、プロセスを理解するのに大いに助かりました。

——KTSでの経験で、どのような影響を受けましたか?

過去4年間、毎年12月はKTSで織りに打ち込む時間を過ごしていて、毎回とても楽しみにしています。残念なことに、2020年は新型コロナの影響でキャンセルせざるを得ず、もしかして2021年もそうなるかもしれない。ですが、私は将来再びKTSで過ごせる時間をとても楽しみにしています。他にはない素晴らしい経験なので。このスクールは、京都の山々や美しい寺に囲まれた場所にあります。冬には雪が降り、土地の温泉もある。近藤先生に教えてもらったいくつかの素晴らしい技法は、今も日々実践しています。日本の京都のKTSで過ごす時間、KTSのスタッフの温かさと熱意が作り出す素晴らしい経験、このような機会を得られることにとても感謝しています。

the flowers of the sun (2019)
website: Natalie Miller
instagram: @natalie_miller_design