スウェーデン留学記4 創作科 沼澤瑠菜

専門コース3年目の創作科では、希望者は選考を受けた上で、提携校であるスウェーデンのテキスタイルの伝統校 Handarbetets Vänner Skola(HV Skola )へ3ヶ月の交換留学をすることができます。

8月からの3カ月間、留学していた沼澤瑠菜さんの4回目の現地報告です。沼澤さんは11月まで、ダマスク織りや刺繍などの授業に参加しました。


個人プロジェクトを始めるときに、マットに興味があることを先生に相談したところ、リップス織り(リップ=畝)という経糸で柄を見せる伝統的なマットを教えてもらいました。リップス織りの古い本の中で見つけたLissabonstjärnan(リスボンの星)というデザインが花のように見えるところに興味を持ち、織ることにしました。暮らしにずっと寄り添うマットを作りたいと思い、ベッドやソファの横などに置いて空間が明るくなるものを目指しました。青色に緑よりの灰色を組み合わせて落ち着きを表しながらも、存在感が感じられるように両端に赤色を使っています。リップス織りは、通常は緯糸に太い糸と細い糸を交互に織ります。私は、太い糸の代わりに刺繍のカタリーナ先生がくださった、使わない布を糸の代わりにして織りました。布を使うことで現れた自然な畝りが面白く、より空間に馴染む気がします。

裂織は、日本では寒い気候のために繊維が手に入りにくかった地域で発祥しました。私が布を使用したきっかけは、スウェーデンにも不要になった布を使った織物(トラスマット)が存在することを留学前に知って、さらに関心を持ったことです。セカンドハンドやヴィンテージショップでは、既製品の他に手織りで作られた裂織のマットや布を目にすることがあり、暮らしの中で織物が身近にあるのだなと感じました。

船で通学することは内陸で育った私にとって特別なことでした。朝は太陽に照らされる海とその先の街並みを、夜は街の光を船からぼんやり眺める時間が心地良かったです。

長く感じるだろうと予想していた3ヶ月間はあっという間で、有意義な時間を過ごせました。織物を学ぶこと以外にスウェーデンの食文化、暮らし、そして様々な人との交流を通して、自分の価値観が広がり、客観的に物事を見る力を身につけることができました。

留学前は絣やノッティング織の制作を重点的に取り組んでいたため、HVでは新たに学ぶことや久々に行う作業が多かったように感じます。使う道具や方法が違うと、これまでと同じように事が進まないことを痛感しました。しかし、クラスのみんなや先生の前向きな姿に励まされ、私も次第に前向きになれました。時々受けたデザインの授業では、外に行って花をスケッチしたり、自分が興味を持った布のテクスチャーに着目してデッサンする時間があり、それが自分の興味や関心を引き出す良い時間となりました。そのおかげで色んなことに挑戦してみたいという気持ちが芽生え、特に10月に入ってからは意欲的に行動できた気がします。これから川島テキスタイルスクールで最後の個人制作に取り組みます。ストックホルムで学んだことや感じたことを忘れずに自由な発想で制作できたら良いなと思います。

HV Skola 。手前の白い建物には刺繍に使う教室や展示スペースがある。