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テキスタイルの現場 本科 坂口美幸

大高亨先生(京都造形芸術大学準教授)の5回にわたる授業がありました。
組織や色彩、世界/国内のテキスタイルデザインのこと等を教えて頂きました。
講義だけでなく布のサンプルを見せて頂き、実際に触れることが出来たので、
より理解を深めることができました。

最終日は現場見学に行きました。
今回お邪魔したのは、プリント会社3件とプリーツ加工会社、
有線ビロード会社の5件です。

まず、叡山電鉄八幡前にあるデジタルパレット芝山さんへ。
こちらでは環境に配慮したインクジェットプリントを行っていました。
インクジェットプリントは、広い場所が無くても簡単にプリントが出来、
一品物に適しているそうです。
布に前処理をし、プリントします。
プリントした状態では発色があまりよくないのですが、加熱発色させることで
鮮やかな色に変化します。
色が変化するのは、布に前処理をしているからだそうです。
Tシャツ一枚からプリントして頂けるそうで、気軽にプリントが楽しめるようです。
現在も新しいインクジェットプリントを開発しているそうです。

次に茶山にある佐藤染工場と太田重染工さんへ
佐藤染工場さんは90年も前からシルクスクリーンという技法でプリントしています。
シルクスクリーンとは、メッシュの張ってある版を使用し、
インクを通したい部分のみメッシュに穴が開いておりインクが通るようになっています。
実際に刷っているところを見させて頂きましたが、一色目が刷り終わってすぐに
二色目に移り、あっという間に刷り上がっていました。
一色目から二色目に移る際に、一色目の色が滲まないのは、
メッシュの細かさと圧力をかけて布に色を入れているからだそう。
ですので、すぐに二色目をのせても問題がないそうです。
メッシュは目に見えないほど小さな穴で構成されていました。
シルクスクーリーンプリントをする上で重要なのはメッシュと繊維の選び方だそうです。
社長の佐藤さんは、とても探究心があり、
現在も様々な手法で新しい物作りをされていました。

同じく茶山にある太田重染工さんは、ローラープリント行っている会社です。
ローラープリントを行っている会社は現在国内で2〜3件のみだそうです。
ローラープリントは約50キロある銅メッキした捺染ロールを用いてプリントします。
会社の中にはかなりの数のロールが保管されており、
チェックや水玉の柄やびっくりするほど細かい柄のものまで並べられていました。
古い物では2〜30年前のものまで保管されているようです。
2〜30年前のものでも現在も使用できるそうです。
ローラープリントは、昔からパジャマの素材によく使用されているようですが、
今後幅広い生地に使用されるようになればと思います。
古くからの手法を現在も行っており、
職人技を必要とされる物作りが今後も残っていってほしいと思います。

午後からは、西京極にあるプリーツ加工会社の三協さんへ
こちらの会社ではISSEY MIYAKEさんのプリーツを作っている会社で、
ウェディングドレスなどの服地から、梱包材などまで幅広いプリーツを作っています。
プリーツ加工は3種類あり、ハンドプリーツとマシンプリーツと
手折りプリーツがあるそうです。
今回マシンプリーツでプリントする加工を体験させて頂きました。
機会はとてもゆっくり動きプリーツを作っていきます。
出来上がった布はしっかりとプリーツ加工がされており、
ちょっとしたことではとれることはないそうです。
プリーツの種類もかなり数多くあり、制服のスカートのイメージが強かった私には、
こんなにもプリーツに種類があることに驚きました。

最後に西院駅からバスで日本ビロード工業へ
ビロードというものは緯糸を織り込むときに間に針金のような細い棒を入れ、
その棒を入れたところを織り上がってから切ることで、毛羽がたつようになっています。
最後の切る作業は職人さんが一本一本丁寧に切っていきます。
実際にやらせて頂きましたが、力の入れ加減や道具の使い方が難しく
うまく切ることが出来ませんでした。
さすが職人さん、一本一本的確に切っています。
ビロードは主に鼻緒に使用されるそうで、
明治頃の鼻緒に使用されていた貴重な資料も見せて頂きました。
昔の鼻緒は色鮮やかで、粋なものばかりでした。
ビロード以外に馬の毛で織ったというものも見せて頂きました。
馬の毛はつやがありしっかりとした贅沢な物でした。

今回様々な現場に行って実際に作る工程を見させて頂き、
布になった状態で見ていたものがこのように作られていることを知る
貴重な一日となったと同時に、自分の物作りの参考になりました。

最新技術から昔ながらの技術までを見て、
こうした技術を後世に残していかなければいけないと思いました。
昔からあるいいものがこの世からなくなっていくことは非常に寂しいものです。
新しいものも取り入れつつ、昔からあるものも大切にしていきたと感じました。

脇阪克二氏レクチャー

11月27日に、sousouのテキスタイルデザイナー、脇阪克二氏に来て頂きました。
たくさんの資料とともに、marimekko、Jack Larsen、ワコール・インテリア・ファブリック、そして現在のsousouでのお仕事のお話をして頂きました。

写真/60-70年代と現在の染料やプリント技術の違いや、リピートのパターンの作り方を説明して頂いているところです

修了生近況7 修了生 松本りん

8/24〜8/29の間、代官山の素敵な布のお店coccaのイベント、「Print Textile Festival of cocca 2010」に作品を出品・販売していました。

coccaは、print textileを扱うお店で、coccaのoriginal textileをはじめ、個性的で素敵なクリエイターの方々とコラボレーションして作った生地など、とっても魅力的な生地やそれらの生地を使った雑貨や衣服を販売しているお店です。
cocca http://www.cocca.ne.jp/

coccaは定期的にtextileに絡めた様々なイベントを開催していて、今回はコンテスト形式でtextile designを公募し、選出された人の作品を展示(一部販売)するという内容のイベントでした。テーマは「ジャパニーズスタンダード」。公募は3つの部門に分かれていて、私が選出いただいたSELL部門の他に、生地の状態じゃなくても、イラストやパソコンデータ出力でも応募できるテキスタイルデザイン部門、オリジナルテキスタイルとそのテキスタイルを使った製品までを企画するプロダクト部門があります。最終的に、350名の応募があったようです。

SELL部門は、選ばれた人自身でオリジナルテキスタイルを10M自作して、それをcoccaで展示販売できるという部門です。私は3柄選出いただきました。選出された3柄は、与えられたテーマ「ジャパニーズスタンダード」に添って考えて、日本・アジアの伝統的な手法である「絣」をテーマに作成したシリーズです。

展示期間中、他の入選者の方々の作品も見ることができ、とても良い刺激を受けました。同じテーマに基づいてデザインしても、それぞれの人で出てくるアイデアや形が様々で、とても興味深かったです。最終日には、入選者・審査員の方々・coccaのスタッフさんで交流が持てる機会を・・・と、レセプションパーティーが催され、様々な分野の第一線でご活躍されている審査員の方々や、意欲的に制作をしている他の入選者の方々と交流が持て、今後に繋がっていきそうな話もできて、有意義な時間が持てました。

これを良いきっかけに、自身のテキスタイルブランドを少しずつ育てていけたらと思っています。このイベントは29日が最終日の予定でしたが、期間を延長して展示販売を続けるそうなので、機会があればぜひ見にいらして下さい。

ジャパンテキスタイルコンテスト スプラウト賞受賞  本科 清水わかな

この度12月に行われた愛知県一宮市ファッションデザインセンター主催のジャパンテキスタイルコンテストに応募し、学生の部でスプラウト賞(愛知県知事賞)と奨励賞をいただきました。
このコンテストには、テーマを「毛むくじゃらのお化け」とし、手織り、ジャガード(機械織り)、プリントという手法で3つの作品を作り応募しました。

この3部作は学校の授業で「袖」のテキスタイルを考えた時、沢山の毛糸をまっすぐ横に並べてみた時から始まりました。とても単純なアイデアですが経糸のラインの美しさに感動し、それをそのまま残した生地を作りたいという提案を先生にも認めてもらい、自信を持って制作に取り組む事ができました。また、毛糸が並んでいる様はまるで何かの動物の様だったので、従来の毛皮やフェイクファーとは違う「毛むくじゃらのお化け」というテーマをしたら面白いなと思いテーマを設定しました。

最初は毛糸を縮絨で固めて生地にしようとしましたが何度サンプルを作っても納得のいくものができず、日数ばかり過ぎていきました。一からアイデアを練り直し、手織りで布を作ってみましたが、これも経糸が毛羽だって上手く織れませんでした。行き詰まっていた時に、夏の研修旅行で行ったジャガード織りの工場を訪ね、機械織りで表現できないか相談をしてみたところ、同じ物は出来ないけれど、同じ様な表現は出来そうだという事でそこにある糸から出来る作品を作ってみる事になりました。

その時出来た布が「YAK」という布です。細いモヘアと黒い接着糸という特殊な糸を緯糸に用いた布で、その黒い糸を細い針で裂くと人間の黒髪の様な表情になり、ちょっと気持ち悪い感じになりました。なるべく糸をとばして織って毛の畝りや光沢を多く出して目立たせ、地を埋め尽くすようにモヘアを織り込みました。チベットの高地にいるヤクの様な色をしていたのでその名前をとり、この布がスプラウト賞をいただきました。

3部作の内2つが賞をいただき、結果にはとても満足していますが、一枚の布として見ればやぱりまだまだ改良の余地はあると思っています。今回最後の最後まで諦めず挑戦した様に、この「毛むくじゃらのお化け」シリーズを納得のいくまで改良をして、修了展で発表できればいいと思っています。

ジャパンテキスタイルコンテスト シーズ賞・奨励賞 本科 松本りん

「ジャパン・テキスタイル・コンテスト」に応募した2作品がそれぞれシーズ賞と奨励賞を受賞しました。

「micro graphy」ジャガード織  シーズ賞受賞

この作品は、micro graph(顕微鏡写真)という名の通り、microな世界をテーマに作成しました。たまたま、自分の撮影した画像をパソコンで加工していた時、昆虫の顔のアップのような模様が現れてきました。その画像の断片を反転させてリピートし、ひとつの画面を作っていき、このデザインが出来ました。昆虫の顔や動物の顔、アニメーションのような風景・・・等の様々なものが、鑑賞者の想像力によって、それぞれ異なった世界が見えてくる不思議な画面。これを活かす方向へもっていきました。
6月に学校の研修旅行で訪れた、岐阜のY’sテキスタイルさんにご協力いただきました。デザインデータを持っていき、織物用のデータに変換していただきました。そして、試織をして糸を検討し、デザインの詳細を詰めていきました。白糸の部分のみ、緯糸を飛ばして織っていただき、後に自分でそれをカットして、さらにスポンジで擦ることにより、糸の撚りを解き、ボサボサにさせました。そうすることによって、昆虫の顔をアップで見た時の、産毛のような毛の質感が表現できました。
インパクトの強いデザイン、そして多色で織ったために厚く硬めの生地に仕上がりました。この生地の用途として、布張りのソファのための布という、インテリアの一部として使うことを提案しました。スタンダードなデザインが多く見られる中で、もっと遊びの要素を取り入れ、そのテキスタイルに触れる人の想像力を掻き立てるようなデザインがあっても良いなと思い、今回のデザインに挑戦しました。

「ヒカリノムコウガワ」 オパール加工 奨励賞受賞

 「透」を楽しむことをコンセプトに作成しました。オパール加工とは、生地の一部を薬品で梳かすことによって、その部分を透けさせる加工技術です。春の穏やかな光のイメージで、オパール加工で透けさせた部分をポリロンで、その他のグラウンド部分を直接染料のぼかし染めで、それぞれ染め分けしました。染め分けしたために、ひとつの画面にふたつの世界が入り混じっているような感覚。さらに、透けて見える向こう側の世界が入り込み、より一層不思議な画面に見えてきます。
 このテキスタイルは、レディース服地として提案しました。透けるので、重ね着を前提とした服の提案で、下に着る服の柄や色が透けることを考慮したレイヤードを、着る人自身が楽しめることを目的としています。

ジャパンテキスタイルコンテスト 奨励賞 本間陽子

ひらひら舞う


シルクオーガンジーの布にストライプ状にアイロンプリントをし4〜7mm幅に1本づつカットして、緯糸にモヘア糸と交互に織り込みました。
織る事によって出る線のゆらぎのおもしろさ、所々に見えるアイロンプリントの裏の白と,表の色との違いで,プリントがひらひらと舞っている様子を表現しました。

経糸 梳毛糸3/18
緯糸 シルクオーガンジー モヘア アイロンプリント
サイズ 140×62cm

帽子デザインコンテスト 本科 松本りん

全日本帽子協会主催の帽子デザインコンテストに、作品を出品していました。このコンテストは、今年の6月に一次審査が行われました。一次審査はデザイン画による審査で、いくつ応募しても良いということだったので、私は3作品応募しました。審査の結果、3作品のうち2作品が一次審査を通過したとの通知がきました。通過した2作品のデザインは、ひとつはアジアの伝統的な被り物である笠を現代風にアレンジしたもの、もうひとつは、革と柔らかいシフォン地を使用したアシンメトリーなデザインのハットです。

 最終審査は、一次審査で通過したデザイン画を元に、実際に制作した帽子を審査されます。締め切りは8月末日だったので、夏休みの暑い最中に制作しました。笠は、細いテープ状の素材をミシンで接いでいくブレーディングという手法で作ることにしていて、この技法は素人には難しい技法なので、6月の研修旅行で訪れた名古屋の帽子工場・(有)森安さんにご協力いただきました。森安さんで、デザイン説明をし、職人さん方と相談しながら制作を進めました。自分ひとりではここまでのクオリティのものはできなかったと思います。(有)森安のみなさんにはとても感謝しています。
 もうひとつのアシンメトリーのハットは、(有)森安さんにてフェルトの型押しで土台部分のみを作っていただき、その他の部分は自分で縫製することにしました。このハットは、硬い革と柔らかいシフォン地を縫い合わせるので、ミシンの目調子がうまく調整できなかったり、シフォンにギャザーを寄せるのですが、ギャザーが均等に寄らなかったりと、思った以上に苦戦しました。最終的に、ミシンは諦めてほぼ手縫いで完成させましたが、時間をかけた甲斐もあって、ほぼデザイン画通りに仕上がりました。

 最終審査の結果、上位30名に選ばれたとのことで、入賞祝賀パーティーに招待していただきました。そのパーティーで、最優秀賞・優秀賞・各特別賞の発表があるとのことでした。同じ本科の岡本くんも30名に選ばれ、2人で参加してきました。パーティーでは、ファッションショー形式で、私たち30名の帽子がお披露目されました。実際に自分の帽子を人が被って歩いているところを見られて良かったです。そして、いよいよ賞の発表・・・。結果は・・・!二人とも落選でした・・・残念。でも、上位30名は入選とのことで、立派な賞状をいただきました。正直、悔しかったけど、入選作品全てを見た上で、やっぱり自分の作品が一番好きだったので、満足しています。

 最終結果が出るまで長かったですが、このコンテストを通して(有)森安さんを再び訪れることが出来たし、精一杯モノ作りをする機会が持てて、良い経験になりました。入選した帽子は、機会があれば披露したいと思います。