
誠に勝手ながら下記の期間におきまして夏期休暇とさせていただきます。
夏期休暇:8月7日(土)~16日(月)
期間中にいただきましたご注文、及びお問い合わせにつきましては、
8月17日(火)以降に順次回答させていただきます。
なお、期間中はFAXまたはメールでのご注文をよろしくお願い致します。
ご迷惑をお掛け致しますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
誠に勝手ながら下記の期間におきまして夏期休暇とさせていただきます。
夏期休暇:8月7日(土)~16日(月)
期間中にいただきましたご注文、及びお問い合わせにつきましては、
8月17日(火)以降に順次回答させていただきます。
なお、期間中はFAXまたはメールでのご注文をよろしくお願い致します。
ご迷惑をお掛け致しますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
2021年8月3日
首都圏・大阪等緊急事態宣言、京都府等まん延防止の発布及び感染者増加のおさまりが見えない状況であることから、受講者皆様の安全第一を優先させて頂き8月開催の下記ワークショップについては中止させて頂きます。
—対象講座(8.2決定、受講者連絡済)—————————————
織物がわかる5日間 2021年8月17日(火)-21日(土)
ノッティング でラグづくり 2021年8月18日(水)-21日(土)
紗と絽を織る 2021年8月25日(水)-28日(土)
化学染色データ作成 ウール 2021年8月30日(月)-9月1日(水)
———————————–———————————–————————
なお、今後スケジュール変更は決定次第お知らせさせて頂きます。
最新状況はホームページにてお知らせいたしますので、ご確認ください。→ワークショップ一覧ページ
参加者の皆様にはご迷惑をお掛け致しますが、何卒ご理解頂きます様お願い致します。
暑さが増す時期、風通しのいい「紗」や「絽」、「羅」の織物は見た目に涼やか。専門コース専攻科(2年次)で「綟(もじ)り織り」の授業が行われました。講師は、染織作家の小田芽羅さん。綟り織りは隣り合う経糸を絡ませる、特殊な組織織りとして位置付けられています。授業では、2本の経糸が互いに絡み合う「紗」と、紗を織った後に平織りを織る「絽」を取り混ぜて一枚のショールを作り、更に紗と絽を変化させた組織サンプルを織りました。
小田講師は紗と絽、そして経糸がより複雑に絡み合う「羅」のサンプルを見せて織物の特徴を説明。さらに自身が手がけた作品で、新聞紙を緯糸に用いて羅の技法で制作したタペストリーを見せてくれました。糸を絡み合わせる特殊な織り方に、生徒たちは身を乗り出して興味津々に。織り目の隙間から向こうが透けて見えるこの特殊な織物には、人の目を引く何かがあるようです。
実習は、綟る仕組みを理解するところから。必要なのは「ふるえ」と呼ばれる道具で、自分で作ります。カタン糸で均一の大きさの輪を作り、それを機がけした経糸の半数分用意。綜絖枠に取り付け、綜絖に通した糸を更にふるえに通して織ることで、経糸を絡ませる仕組み。「こんなシンプルな装置でできるの?」「これまで経糸を動かすという発想がなかった」と生徒たちは驚きながらも、「踏み木を踏んだら、経糸がねじれて出てくる」と新たな織りに引き込まれていました。
昨年に入学し、一年を通して染織の基本を身に付けた専攻科の学生たち。基礎を習得しているからこそ、「これまで織ってきたやり方と全く違う。経糸がねじれているので、織っている時の感覚も違う」とこの織物の特殊さを理解して、「もっと織りたい」と夢中になっていきます。
小田講師は、川島テキスタイルスクール(KTS)の修了生。「KTSで初めて織りを学んだ37年前、アトリエで羅の作品を見て感動し、引きずりこまれました」と話し、在学時に制作した羅の作品と共に、一冊のノートを開いて手書きの組織図を見せてくれました。ノートには当時の染めと織りの学びの記録が詰まっています。それを「私のバイブル」と言って、今も大切に活用している小田講師。3日間の授業を通して繰り返しアドバイスしていたのは、メモを取るということ。「組織が理解できたら、その組み合わせでデザインを変えていけます。それぞれの踏み順などを必ず書いておいてください」「メモしたことが何十年後も生きる。経験がよみがえって、それが糧にもなる。今分かっていても書かないと消える。記録は大事です」
指導の合間に小田講師は紗を変化させたサンプルを織り、課題の講評と合わせて紹介。柄を自在に変えていける可能性を目の当たりにした学生は、「幅広い表現ができるのが面白い」と目を輝かせていました。そんなさりげない楽しさの演出は、小田講師の体からにじむもの。そう感じたのは、小田講師自身もKTSの同じアトリエ空間で学び、染織作家として活動を続けてこられた原点に、ここで織りの喜びを得たことがあるからかもしれません。学生に手渡すのは、技術だけではない。時間の経過が深みとなって思いをめぐらせ、織りを続けていく道筋を示しているような授業でした。
私が唯一ずっと続けているのが、織り。今も織っていると心が弾み、立ち上がって「楽しい!」と声に出す時も(笑)。作る時の感情は常に大事にしたい。手を通して作品に流れ込み、見る人にも伝わるので。羅は不思議な織物。どうやって織るの?と皆がのぞき込む。私は、その伝統技術を使って「私の表現」をして、知識を深めると共に自由に変化していく。織りは、そんな私と一緒にいてくれる伴侶です。
〈小田芽羅さんプロフィール〉
おだ・めら/1984年川島テキスタイルスクール修了、1989年京都市立芸術大学染織専攻卒業。新聞紙で織るタペストリーを制作。中学・高校の教師を経て、アトリエ・ヒュー工房を設立。現在、高校、大学の非常勤講師。新匠工芸会会員、京都工芸美術作家協会会員。
website: Atelier hue故郷の新潟で18年間ギャラリー&茶房を主宰してこられた神田洋子さん。2年間の京都滞在を機に、「染織の基礎をきちんと学びたい」と川島テキスタイルスクール(KTS)のワークショップをいくつか受講。そのうちの一つ「ずらし絣のマフラー」を受けた時、「もっといろんな絣模様に挑戦したい」と思い、3カ月の技術研修コースに進んで絣の技法を使った帯を制作しました。70代で新たに学びに踏み出して、修了時に「先が開けた感じがしています」という神田さんのインタビューをお届けします。
◆ 私にも「できた」を体感
−−新潟県ご出身の神田さんは、2年間限定で京都に来られました。織りを学びたいと思われたきっかけは?
私の住んでいる地域は、新潟県の中でも小千谷や十日町、塩沢など織物の産地が近く、昔から織物に携わっている方が多いです。そんな土地柄と、友人の好意で織機5台を自宅のアトリエに入れたのをきっかけに、経験者の仲間の指導と本を頼りに5人で平織りを中心に楽しんできました。ギャラリーの仕事を一旦お休みして京都に来たのを機に、染織の基本をきちんと学んで、それを帰ってからも生かしたいと思いました。
−−ワークショップから技術研修へ、KTSで学びを継続された理由は何でしょう。
自宅に織機があって仲間もいるので、学んだことを今後も続けられるような形で持ち帰りたいと思ったからです。KTSではどの講座も内容が充実していて、学びの緊張感がありました。絣はプロの職人がやるものと思っていましたが、絣のワークショップを受講して私にもできたのがすごく嬉しくて。学びの緊張感と結果の充実感を、もう少し長く体感したい、そして3カ月で形にすることで、その先につなげていきたいと思いました。
−−技術研修コースでは、デザインから始めて試作を行い、帯を制作されました。制作過程における学びを教えてください。
お太鼓の部分に、川の流れをイメージした流水紋をデザインしました。流れるように生きてきた私の人生にも重ねて。デザインから取り組むのは初めてで、思いついた図案が絣に合うかが分からず、イメージを制作につなぐのが難しかったです。糸を一本一本動かして、なめらかな曲線を作るのに苦心しましたが、織り進めるにつれて線が表れてくるのが面白くて! 糸の引っ張り具合や角度を試行錯誤する中で、経と緯の糸がイメージどおりにピタッと合う回数が段々と増えていく。緯絣は何度もやり直して自分が納得いくまでできましたが、経絣は機に糸を張ってしまうので、やり直しがきかない。絣は最初の組み立てが大事だと分かりました。思ったようにいかなくても、先生に相談しながらどうしたらいいかを考えながら進めていく過程そのものが楽しく、それが学びでした。
◆手仕事でお返ししたい
−−初めての挑戦で、3カ月で作品を仕上げるご苦労もあったのではないかと思います。前向きに受け止めることができるのはなぜでしょうか?
私は手仕事が好きで、織りは長年やりたかったこと。まずは、好きなことができた喜びと感謝が大きいです。やっぱり私は、糸や布にまつわる手仕事が好きだと実感しました。次やる時には反省点を生かして、もう少し自分の図案に合うよう、染めやすいように色を重ねる工夫ができるかなと思います。家に帰ってから、もう一度挑戦してみます。そんな意欲が芽生えるほど充実していました。手織りに加えて、絣が学べた喜びもあります。
−−絣の魅力は何だと思いますか。
絣の細やかさや素朴感が好きです。方眼紙のマス目の上に模様を描き、経と緯の組み合わせで様々な絣模様ができる可能性を思うと夢が広がりますね。スクールで絣を学んで、どう織るかを想像できるようになり、ものづくりのスキルが増えて先が開けた感じがしています。
−−先が開けた感じとは?
今住んでいる地域に里山があり、自然の恵みと共に生活があります。スクールで天然染色を学び、その難しさを知りましたが、周りにある自然がものづくりの素材になると思うと嬉しさがありますね。これから染織を取り入れて、自然と暮らしと相互につながっていくと思います。
それから制作しながら、この先、もう少しきれいに織れるようになったら、あの方に差し上げたいな、あの方ならこんな色が似合うだろうなと想像しながら、次の夢を描いていました。これまで私は周りの方にたくさんお世話になってきたので、手仕事でお返ししたい。今、生きていることに感謝していて、元気でいられる時間を本当に大事にしたい。スクールで学んだ3カ月を基本にして、手仕事の次の夢を描いていきます。
川島テキスタイルスクール(KTS)の専門コース専攻科(2年次)では、希望者は(株)川島織物セルコンでインターンシップを経験することができます。2021年度は呉服開発グループで10日間のインターンシップ・プログラムを設け、専門家数人の指導を受けながら、企画開発から生産までの流れを学び、製作現場で帯をデザインして試作、プレゼンテーションまでを行いました。KTSは、(株)川島織物(現・川島織物セルコン)が1973年に設立した学校。手織りを教え、社会でその技術と表現力を活かせるように、独自の教育を続けて48年になります。そんな企業とのつながりがあるからこその充実した研修が実現できました。
参加を希望した学生たちには「一流ブランドの帯の生産現場に興味があり、この先自分が商品としてものづくりをする姿勢などを勉強したい」、「将来やりたいことを明確にしていきたい」という動機がありました。スクールでは作品制作を行い、個々の表現力を伸ばすのに軸を置いているのに対し、今回のインターンでは、用途や対象を設定し、ニーズに合わせた名古屋帯の商品作りを経験。実務を通して、その違いを体感できたのは大きかったようです。普段会社で開かれている図案研究会にも参加し、作り手や売り手が集って意見を出し合う場や、帯の企画の過程を間近で見て「商品として成り立つか客観的に捉える」「チームで一つの商品を作る」という視点を得られたと言います。
自ら考えたデザインを織物にしていくために、紋作成ソフトを使ってドット(点)で描画にする意匠図作りも経験。「たった1ドットで形が変わるので、より良い形になるように何度も熟考して試しました。そこで妥協せずに丁寧に取り組めたのは、細部にわたる指導と、一つひとつの工程に時間をいただけたから」。作品と商品の違いはあっても、妥協しない丁寧なものづくりはスクールの姿勢にも通じていて、学生はインターンシップを通じて、その意識を更に深めたようです。
学生からは「しっかりと自分の中に落とし込むことができて、有意義な10日間でした」、「社員の方は担当の業務を行いながら全体の流れを把握し、ものを作るだけではなく、営業の方々とも協力して商品がお客様に渡るまで、渡ってからどう使われるのかを視野に入れて取り組んでおられる。そんな一つの商品ができるプロセスがとても勉強になりました」という感想がありました。受け入れ側の社員の方からは、「生徒さんにどのように指導したら伝わるのか等、改めて自分たちの仕事を客観的に捉えることができました」という所感がありました。
スクールは織りに没頭して自分と向き合い、ものづくりを通して可能性を広げていける場。作品と商品、異なる趣旨のものづくりを学んだ学生たちが、この先、どのように自らの織りの道筋を立てていくのか楽しみです。
*オープンスクール開催!(8月28日、9月11日、10月2日、10月16日〈事前予約、いずれも土曜。8月分は10時・14時から、9月以降分は10時・13時・15時から〉。見学の際、実際に機織りを体験していただけます〈専門コース本科の入学希望者のみ〉、他の日をご希望の方はご相談ください。)
川島テキスタイルスクールの専門コースの授業を紹介します。本科(1年次)では、最初の「織実習」として綴織のタペストリー制作を行っています。綴織はスクールの柱の一つとして、1973年の開校当初から教え続けている織法です。(詳しくは「スクールをつづる:綴織編1『KTSの綴織とは?』」へ。)
この実習では、綴の技法の基礎から応用までを網羅した2枚のサンプルを織った後、縦横45センチのタペストリーを制作します。「デザイン演習」の授業と連動し、タペストリーを絵画的な織り表現で見せるのにデザインも学びます。モチーフの果物を観察し、面白いと思った部分をデザインにふくらませる。描いたデザイン画を基にして、どういう糸や技法を使えば織りの表現ができるのかを考え、実際に織り上げていく。並行して(株)川島織物セルコンの専門家による「色彩演習」の講義を受け、色彩の基礎知識を学ぶ。綴を柱に、そんな濃密な2カ月を送ってきました。
4月に入学したばかりの学生にとっては、綴織も、デザインからの制作も初めての経験。それは一人ひとりが自らの視点を持って、織りと向き合う入口に立った経験と言えるでしょう。講評会で学生は、「デザインの段階で、描いたものが織りになったらどうなるかをきちんと考えられていなかった」「筆で描いた表現に、ぼかしの技法を使った。グラデーションをどこまで織るか、決めるのが難しかった」「この部分は試し織りをしてからやるべきだった」「同じ力加減で織っていかないと、線が揃わなくなる」と実感を語り、それぞれに次の課題が見えた様子です。
近藤講師は「技量的に今は難しいことでも、続けていけばできるようになります」と話し、「織物は出来上がったら戻れない。だから織っている途中に迷ったら、大変でもやり直してください。完成後に後悔しないように」と最後に伝えました。この綴織実習を礎に、グループで取り組む大きなタペストリー制作へと、これから歩みを進めていきます。
*オープンスクール開催!(7月10日、8月28日〈いずれも土曜10時・14時から、事前予約〉。見学の際、実際に機織りを体験していただけます〈専門コース本科の入学希望者のみ〉、他の日をご希望の方はご相談ください。)
スクールの玄関に、このほど新たなタペストリーが飾られました。「芽萌ゆ」と名付けられたこの作品は、2020年度本科生のグループ制作の一作です。川島テキスタイルスクール修了展(2021年3月開催)で初披露時、制作した2人の学生は、こんな紹介文をつづりました。
「この豊かな大地から どんな芽を出し どんな葉をつけ どんな花を咲かせ どんな実をつけようか」
養分を吸い上げて力にする、根の力強さに着目して、その先の成長に思いはせる。その発想力は、スクールで実技を重ね、学びの根っこを育んできた学生だからこそ。制作にあたっては、初めからスクール玄関に展示するという目的がありました。幅220センチ・高さ126センチの綴織タペストリーは、繊細な色使いや、根が浮き上がるような見え方で綴れを存分に生かした織りの表情が魅力。近くからも遠目にも見応えがあります。一年学べば、これだけ作れるようになる。そんな学生の成長も表れています。
手織りを教えるスクールは、いわば織りの未来を作る場所として存在している。そんな場所に、学生たちが精魂込めて未来に向かって力強く作り上げた作品は、しっくりと入口の空間になじんでいます。フレッシュな感性光る「芽萌ゆ」、来校の折にはぜひご覧ください。
*オープンスクール開催!(6月26日、7月10日、8月28日〈いずれも土曜10時・14時から、事前予約〉。見学の際、実際に機織りを体験していただけます〈専門コース本科の入学希望者のみ〉、他の日をご希望の方はご相談ください。)
*グループ制作の背景については、スクールのブログでも紹介しています。